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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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219/406

【第9話】 その日の夜

おはようございます。

朝刊です。

「フーララさん、来てくれたんですね」


「ゴブ、取敢えず一人ゴブ」


(ホルダー阿騎、王都、北のゴブリン達も待機している、いつでも呼べ)


「使うか?」


 ミミお姉ちゃんはブーメランを見せた。


「使う」


 ブーメランを渡すとき、指が触れた。


(魔力感知は使えるが、念話がうまく使えん。レイランが言うには、魔力感知は周囲に広がる感覚、念話は相手に向う直線的な感覚だそうだ。この直線を妨害しているらしい)


(そこまで解析したの?レイランお姉ちゃん!?)


(そこで、全体に広がるように、念話をつかうと、繋がるらしい。だいぶ消耗するらしいがな)


(え?でもそれって、皆に聞こえるよね?)


(そうなるな、試しているか?)


(今はやめておくよ)


(敵の殲滅より、生徒のガードがメインでいいのか?)


(うん、お願い、ミミお姉ちゃん)


(それと、北のゴブリン達は念話できるぞ)


(え?会話できるの?)


(レイランが言うには、あれは念話ではないそうだ。繋がりも強くなっていくらしい)


 繋がりが、更に強くなる?……元々の原因は私だけど、私だけか?

 

 北のゴブリンで、通信網ができる?今度、シルバーっち辺りに、相談してみようかな?


 ん?


 ……おい、あれ……鬼猫?

 え?本物?

 うわっ!本物だぞ鬼猫!サ、サインほしいかも。


 生徒達の声、ミミお姉ちゃん、人気者?しかしサインとは?


「よう、明季、念話が切れたから季羅父さん、うるさくてね、来たよ。ん?いい匂い?美味しいお肉の匂い?」


 ミンお兄ちゃん、ここまで来てお肉?


 それに、コ、コロ叔父さん?エノンも!


「コロ叔父さん!引退したんじゃ……」


「傭兵団は引退したぞ、現役は続行だが?」


「……」


 コロ叔父さんの後ろにさサッと隠れるエノン。

 上目遣いに私を見ている。

 あ、眼を逸らした!


 先生はどうしたの?ここは危険なところだよ?まあ確かに強いけど。今まで通りと思っていると、命を落としかねないんだけど?

 

「エノン……」


「う……」


 隠れて出てこない。


「怒っていないよ?エノン?」


「……ほんと?」


「ほんとだよ、なぜ怒る?私が心配で、迎えに来てくれたのでしょう?」


 こくこく。


「お、遅いから、うち、心配で、心配で……」


 と、ここまではエノンといい雰囲気だった。


「エノちゃん!?どうしたの!」


 え?リュートさん?


「リューちゃん!心配したよ!」


 はい?エノン?


 ひし。


 あ、抱き合った。


「傭兵団、抜けたって聞いたけど、怪我でもしたの?心配したのよ!」


「ご、ごめんね、リューちゃん、うち、相談しようと思ったんだけど」


 私は、何を見せられているのだ?


 母と妻の抱擁?それを見ている1歳に満たない女の子?


 リュートお母さん!エノンは私の大事な妻(元)なの!


(作者注*エノン(元妻)を抱擁していいのは私だけだ!と主張する阿騎(元夫))


 エノン?リュートさんは私のお母さんなんだよ!


(作者注*お母さんが、別の子供に優しくしているのを見て、嫉妬する、ちっちゃい子)


 なんなんだ!

 この関係は!?この感情!この絵は!

 まさにカオス!


 あああああっ前世の記憶!邪魔だ!邪魔でしかないっ!


「どうした明季?リュートに嫉妬でもしているか?」

「いやコロ叔父さん、エノンに嫉妬じゃないの?フフッ」


 コロ叔父さんとミミお姉ちゃんが、静かに笑う。

 両方、当たっているのが悔しいっ!


「明季、寝ておけ、見張りは俺達がする」


「え?でも、コロ叔父さん……」


「まかせろ、ホルダー阿騎ゴブゴブ」


「私も、簡易結界を張りますのでゆっくり休んでください」


 そう言ったのは、ア・ダウ先生。


 結界?


「先生は?」人族?人族の匂いなんだけど?


「私はクオーターエルフよ」


 !


 え?悲しい匂い?フェロモン?


 あまり話したくないようだ、聞かないことにして、さらりと流そう。


「生徒達はどうされるのですか?」


「班分けしていますので、それぞれのチームで結界を張り、見張りを立てます」


「二重結界?」


「そうですね、チーム同士の連帯もできていますので、ある程度は戦えますよ」


 では、お言葉に甘えまして、少し寝るか。


 ゴロリと大地に寝そべる。


 獣人族は氷点下の氷の上でもスヤスヤと、寝てしまう。


 とてもタフなのだ。


 私が寝そべると、右側にエノンが座った。


「うちもここで寝るね?」


 え?


「寒くないの、エノン?」


「満月期の余韻で、うち、まだ頑丈だよ」


「私も、お邪魔します!」


 え?


「リュートさん?」


 リュートお母さんは私の左側に座った。

 毛布らしきモノを纏い、寒くはなさそうだ。


「阿騎ちゃん、エノちゃんと知り合いだったのですね?」


「ええ、まあ……リュートさんもエノンと?」


「ええ、でもエノちゃんたら、傭兵のお仕事をしているから、親しい友人は作らない、話さない、とか言うのですよ、ねえ?」


「リューちゃんは人族だし、巻き込んだら大変と思って」


 他愛もない会話が始まる。


 ニコニコ笑うエノン。


 獣人族の私達を気遣うリュートさん。


「だから、頑丈なんよ、寒さ平気なんよ」

「見た目が寒そうなの!」


 エノン、楽しそう。


 私の両サイドに、大好きな人達。


 これは幸せ、というヤツでは?


 ああ、この二人は、私にまどかを思い出させる。


 見上げると、落ちてきそうな星の空。

 本当に、この世界の星空は綺麗だなぁ。


 辛いこと、苦しいこと、それ以上に嬉しいこと、楽しいことがあればいいのに、と誰かが言っていたな、誰だったろう?


 いや、もっと、簡単な言葉だったかな?


 でも、辛いこと、苦しいことの記憶は、増えることはあっても、消えることはないんだよなぁ。


 ……右にエノン、左にリュートさん。空には綺麗な星達。


 嬉しいな。

 家族じゃないけど、家族?


 壊れた記憶の中の私が、少しだけ癒やされた気がした。


 

次回配達は 2023/02/26 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは 灰色の霧 です。

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