【第7話】 王都まで3日
夕刊です。
王都まで3日である。
色々と聞きたい。
王都のこと、学校のこと。
いや、その前に、明日の朝で満月期終り。
私の力は降下期に入る。
マズイ?
いや、獣人族の強さからすると、大丈夫であろう。
問題は、なんで襲われるかだ。
大体、あんな魔獣、王都周辺にいるの?
討伐対象でしょうに。
それを嗾けるとは?どうやってあの魔獣達を操った?
取敢えず、休憩時間まで周囲警戒、私語禁止、と。
黙々と歩き続ける生徒達。
負傷者は、ツタや木の枝で作った巨大なかごに寝かせて、私が引いている。
重くもないし苦痛でもない。獣人族のパワーはホント凄い。
でも、疲れを知らない身体は、ちょっと慣れないな。戸惑いを感じる。
あ、森が見えてきた。
でも、人族の脚では、まだ遠いな。
どうやらあれを越えると、王都が見えるらしい。
しかし、道らしきモノはあるが、整備されているとは思えないな。通行人もいない。
これは流通とか、うまくいっているのかしら?
先頭はシンお姉ちゃん。
颯爽と突き進んでいる。
数名の男子生徒は、シンお姉ちゃんの格好いいお尻ばかり見て行進している。
おい、ヤロー共、バレているからね?覚悟はいいか?
先頭から止まれの合図を確認する。休憩かな?
「止まるよ!」
前世のエルフさんを思い出すなぁ。
ゴブリンを率いて、先頭を走るエルフさん。
殿はアランお兄ちゃんである。
私は中央で魔力感知しながら、かご引き。
「傷口、開いていない?だいぶ揺れたでしょう?」
「いや、大丈夫です」
口々に問題なしの返事が返ってくる。
通学すると、この人達、全員先輩よね?
態度変えるヤツいるだろうなぁ……私の邪推か?
(王都のコロ叔父さんにも、村のレイランにも連絡できない。攻撃は続いている、気、抜くなよ)
(了解、シン姉)
(はい)
(特に明季、暴走するなよ)
(なんで?)
(ターゲットが、リュートかあのドワーフだったらどうする?)
(!)
(ほら、魔力が乱れた。汗の匂いも変ったぞ。クールで行くぞ、いいな)
うう、見透かされている。
先生に質問してみるか?
「ア・ダウ先生?質問いいですか?」
「はい?どうぞ?私に答えられることでしたら」
生徒の体調を聞いて回っている先生に、取敢えず、付いてまわる。
「この授業の目的は、そもそも何なのですか?」
「遺跡の見学、調査です、この先に割と大きな遺跡があるのですよ」
「何かありました?」
「いえ、遺跡といっても調査は終わっていますし、新しい発見はありませんでした」
「授業の一環と?」
「はい、ですがあのような魔獣がなんで……それに定時報告がない時点で、動きがあるはずなのですが、学校からも連絡がありません」
そう言ってやや大きめの魔石を眺める。
どうやら魔石で通信しているみたいだ。
「保護者からの連絡とか無いのですか?」
これだけの人数、連絡無しとは、保護者の皆さん、心配なのでは?
「保護者?」
「保護者」
ん?なんか踏んだかな?私の常識、ズレていたか?
「学校は生き残りを覚える場所です、実習での落命はやむなしですが?」
うごっ!なんちゅう学校!?
それ学校?どんな教育方針?
シビヤ過ぎない?
思った以上に凄い所みたいだな?
俄然、学校に興味が沸いてきた。
私の、生徒達を見る目が変った。
この生徒達、私以上に戦士かもしれない。
ん?いい匂い?
「明季くん、食べる?」
ん?ドワーフのドロトン君が、木のお皿に一口サイズのお肉を載せてきた。
「いいの?」美味しそうである。
「ティーが持って行けって」
チラリ、と見るとティー君が自慢げにこっちを見ている。
何やら、色々作っているみたいだけど?
では遠慮無く。
お肉を摘まみ、魔力を通す。
毒物反応無し。
ぱくっと。
お?
「おおおおいしいいっ!なに!?このお肉?」
これはアイお姉ちゃんに是非!
「おいしい?よかったね、無事、王都についたらこの肉、食べ放題だよ?しかもタダ」
「あ、そうか!」
「クラスの皆、ビックリしていたよ、ティーはコスト重視で無駄なことは一切しない氷の料理人って言われているんだ。それが、食べ放題なんて!明季くん達、余程ティーに気に入られたんだね」
「……こ、このお肉が、食べ放題?しかもタダ!?」
「聞いている?明季くん?」
ん?アランお兄ちゃんとシンお姉ちゃんが、ティーくんの方を見ている?
「おかわりは、王都に着いてからだよ。それから僕一人だけ、王都到着とかも嫌だからね!」
こくこく。
二人とも、胃袋握られた?これは餌付けか?
もしかして、獣人族のお肉好き、知っての行動か?
500万とか1200万とか、どこにいったの?
次回配達は 2023/02/24 朝7時頃の予定です。
サブタイトルは 王都まであと2日 です。




