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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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216/406

【第6話】 努力のドワーフ

朝刊です。

「一度は助けたが、2度はない。獣人の護衛は高額だ、最低500万」


「ご……3名で」


「違う、俺一人、一日500万だ」


「!」


 ざわめく学生達。

 中には頷く者もいる。


 500万とは?金額らしいが?


 価値がわからん!


「……では、そちらの女性は?」


「先生、獣人族は女性の方が雇い賃、高いよ?」


 一人の生徒が言う。


「え?そうなの?」


「先生、よくそれで先生務まるね、魔法以外も勉強しないと」


「学校に、緊急連絡したのでしょう?それなら待つべきだ。動かない方がいいよ」

「そうだよ先生、時期に王都の騎士団か、上級生、来るでしょう?交渉よりも、待ったら?」

「そうそう、先生、待つだけでだよ?」


 数名の生徒が抗議する。


 先生、平然としているけど、焦っている?

 汗の匂いが不安定だ。


「シュート家のアランさま、私は王都で食堂開いているリドンの子、ティーと言います」


 エルフ?


「ハーフエルフです、シュート家の明季さま」


 !


 お、思考を読まれた!?

 中々やりますな、この子。


 身長は私と同じくらいか?

 元気いっぱいの男の子!って感じだ。

 眼は鋭く、鼻筋がすっと、通っている。エルフって基本美人さんが多いなぁ。


 私目線だけど。


 あ、あれ?ちょっと赤くなった?


「私は、ン・ドント大陸一の料理人を目指しています、今回、助けていただいたなら、生涯、一流の料理を提供致します」


「ほう、我が姉の護衛は一日、1200万だぞ?」


「うっ」


 旗色悪いか?ティーくん?


「さらに我が妹は、姉以上だぞ?」


 え?そうなの?


 それぞれの学生達が、得意分野でアピールする。


 ようは投資だ。


 よく考えたなティーくん。でも獣人が興味を示す、価値を認める者いる?


「ティーとやら、戦略はいいが、札が今ひとつだな、我らが才能を認めるのは、リュートのみ」


 うわ、シンお姉ちゃん、辛辣!


「では次は私が」


 長身の女の子である。スタイルがいいし、手袋とか、アクセサリーとか、お洒落である。


「私は吟遊詩人、見習いです。名前は星影。古代から現代までの歌を集め、研究しています」


「一曲、歌うのか?」


「はい、500万には届きませんが、将来、有望と思いますよ」


「ほう、聞こうか」


「では、古より伝わる、北のゴブリンの歌を。この歌はとても異質で、不思議な歌です」


 え?


 目の前の少女は、源キーでボカロを歌って見せた。

 よく響く声で、騒がしい生徒も沈黙して聞いている。


 あの、他にも教えたくなったのですけど、この子に。

 と、思わせる女の子だ。


 私はウルウルの眼で、星影さんを見る。

 

「どうでしょう?」


「響く声だ」


 そう言ったのはシンお姉ちゃん。

 気に入ったのかな?


 ん?ドワーフ?


 生徒の中で、一番小さなドワーフが進み出てきた。


「私は古のドワーフ、名も無きドワーフ王の末裔です」


 え?


「おいおい、またかよ、やめとけドロトン」

「何が末裔だよ、控えろよ!」


 一部の生徒が騒ぎ出した。


 この子、なにかある?


「皆、待って、ドロトン君にも話をさせて!あんなに一生懸命頑張って作ったのよ!」


 ん?リュートお母さん熱弁?声を荒げた?


「正確に言うと、血は繋がっていません、ですが、その技術は直系です。シュート家のアラン、この価値がおわかりか?」


 そう言って、直径10㎝程の玉を見せた。


「なんだそれ」


 アランお兄ちゃんが、のぞき込む。


「真球です。材質は純鉄、私が古文書を読み解き、ドワーフの村々を尋ね作りました」


 え?


「見せるな!ただの鉄の玉だぜ?恥ずかしいよ!」


 真球?


「価値ないだろ?何の役に立つんだ?」


 うるさい、だまれ!


「まだ、王都のドワーフ達には見せていない。これは悪用される恐れがある」


 純鉄?


「またまた、お前、その妄想癖、どうにかしろよ」


 私は一歩進み出た。


「見せてもらっても、いいかしら?」


 ちょっと驚く、ドロトン君。


「どうぞ、シュート家の明季さま」


「明季くんでいいよ」


 手に取る。


 直感では本物だ。

 凄い、この子!天才か?


「これを、今、真球と証明できる?無限鉄と証明できる?」


「はい、風魔法で浮遊させ、角度半分(45度)で風魔法を当てると、永遠に近い時間、回り続けます。そしてそれは、回転しているように見えません」


 興奮して前のめりに話す、ドロトン君。

 私を理解者、と認め始めたらしい。


「真球はそれでいいが、純鉄はどうする?」


「ジャイアント・スパイダーの脚を切っています、切り口をご覧下さい」


 アランお兄ちゃんが確認をする。


「まあ、おかしいとは思っていたが、見事な切り口だ」


「アランお兄ちゃん、何がおかしいの?」


「この蜘蛛の脚は、斬るより、折るのがたやすい。ハンターでもここまで綺麗には斬れんだろう。剣はどこだ?」


「これがその剣だ」


 負傷者はチラリ、とドロトン君を見る。


「貸していいのか?ロットン?誰にも貸すなって言っていたけど?」


「貸していいよ、ジェイ」


 負傷者の一人が剣を差し出す。


「軽いな?試していいか?」


「どうぞ、望むところです」


 ドロトン君が不敵に笑う。


 ジャイアント・スパイダーの脚を1本、大地に突き刺し、徐に剣を振るうアランお兄ちゃん。


「よっと」


 脚は瞬時に8っに分断される。


 息を呑む生徒諸君。


 ……見えたか?

 踏み込みだけ、少し見えた……。

 魔石があっても、今の斬撃は躱せないぞ?


「ジェイ、だったかな?」


「は、はい何でしょう?シュート家のお方?」


「君は、この剣に助けられたな?」


「……はい、この剣でなかったら、死んでいました」


「恐ろしい剣だ。しかし明季、これは振動剣が作れるのでは?」


 私はシンお姉ちゃんを見る。


「どう?」


「護衛しよう」


 こうして、王都までの護衛が始まった。


 生徒15名、負傷8名にア・ダウ先生、計24名。


(明季、気づいていないだろう?)


(え?何?シンお姉ちゃん?)


(この学生さん達、狙われている)


(え?)


(おいおい明季、気、抜くなよ?)


(お前もだ、アラン)


(じゃ、お金の交渉は?)


(芝居だ)


(え?お芝居?)


(私達が、リュートやその友達を、見捨てるわけないだろう?)

次回配達は 2023/02/24 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは 王都まで3日 です。

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