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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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214/406

【第4話】 クリティカル

おはようございます。

朝刊です。

サブタイトル クリティカル に変更しました。

 声が聞こえてくる。


 ……おい、シュート家だぞ……ここ数年、氷獣狩りで名を上げている。


 ヒソヒソ声が、そこかしこ。


 シュート家と言ったら鬼猫ミミか、大空のケインだろ……。

 ……アキなんて?

 ……でも見た?全て一撃よ?魔獣なんて三体同時、一撃で!

 え?蜘蛛は違ったような……。

 あれは先の黒豹と、足の速い大きな猫がいたからできた技さ。


 噂に、憶測、大きな猫?皆さんそれぞれの評価、さらに自慢げ。


 まずは、お礼が先でしょうに。

 あなた達、死んでいたわよ?


 ……助けに来るなら、もっと早く来いって話だ……。

 そうそう、何処かで見ていたんじゃない?

 北の獣人族は、かなり野蛮な種族らしいよ……。

 

 うわぁ、助かったのが当たり前?

 耳がいいのは、いいのか悪いのか。聞きたくないな、こんな会話。

 こうんな連中もいるんだな。


 ねえ、先生、聞こえているでしょう?


 教育とは?


 これだから、学校は……。


 ま、ある意味、社会も同じかな?

 どこにでも批判する奴はいる。


 まあこっちは、勝手に助けただけだしね。

 しかし、一度は助けたとなると、今後どうするの、シンお姉ちゃん?


「シュート家の明季さま、ありがとうございます、助かりました。先程の豹と……?」


「チーターです。私の姉と兄です。誤射を恐れ、今は身を隠しています」


「そうですか」


「一同、集まった方が、集合した方がいいのでは?」


 集まった方が守りやすい。

 

 まあ、攻撃もしやすいかも知れないが、今のところ、敵影なしだし。


「そうですね、委員長!集合の合図を!それと現状報告!急いで!シュート家のアキさまこのお礼は、後日改めて」


 ん?誰かが近寄ってくる。


 明らかに私をターゲットにしている。

 視線と意思を感じる。


「シュート家の阿騎さまですか?これを」


 先程、シンお姉ちゃんとアランお兄ちゃんの服を頼んだ女の子だ。


 よく見ると、とんでもない美少女である。


 容姿からして、人族であろう。長い髪、ポニーテイル?大きな綺麗な目、きめ細かな白い肌。

 うわぁ、この子。クラスのアイドル的存在では?


 特に声がいい!優しさが伝わる声?

 この子が子守歌、歌ったら皆眠ってしまうのでは?


 まどか以来の衝撃?


「繕っておきました。よろしければこの服の感想とか、お聞かせください」


 戦闘後にこの会話。

 この子、ちょっとズレていないか?


「脇や胸元から、乳房が見える時がある。とんでもなく恥ずかしい」


 真面目に答える私も、ズレているかも。


「そ!それはいけませんっ!すぐ改良を!ああ、ここでは無理ですね、時間をください!」


 改良?


 あ、なんか会心の超一撃を、喰らいそうな気がしてきた。


「あ、申し遅れました。私、この服をデザイン、縫製しました、聖龍門学校三年生リュート・フルートと申します。以後、お見知りおきを。あ、お礼がまだでしたね、助けていただいて、ありがとうございます。命を落とすところでした」


 クリティカル×∞!


 この超美少女が私の(元)お母さん!?


 どうしたの?なにがあったの!リュートお母さんっ!


 なんで学生しているの?


 いや、本当にリュートお母さんだろうか?


 たまたま偶然、名前が同じで、お裁縫好きの別人とか?

 そう、そして、婚約者が私のお父さんと、たまたま同じ名前で、得意分野も薬草、という偶然。


 あり得る現象か?


 じっ、と私を見るリュートさん。


「どこかで、お逢いしていますね」

 

 ……え?


「どこかしら?私、記憶力いい方なんですけど……思い出せません。失礼ですみません、どこでお逢いしたか、阿騎さまは、覚えておられますか?」


「!」


 断言した。


 会ったことがあると!それに聞いてきた!


 私は一歳未満、会ったことは絶対にない。会えるわけがないのだ。


 この世界では。


「そ、そうでしょうか?」


「はい会っています」


 私は、前世で、あなたを散々泣かせて死んだ、親不孝者の馬鹿息子です。


「リュートさん、どうかしましたか?」


「いえ、怪我はもういいのですか?ニトが心配していました。3人の中で、一番治るのが大変だと」


「よくご存じで」


「あっ!その、ニトとは……いつも……逢っていますし」


 頬を染めて、俯くリュートさん。


 うわっ、か、可愛いっ!

 なに?生まれ変わっても夫婦って?いやまだ婚約中らしいけど、絆、愛、凄くない?


「私は、この通り元気になりました、ニトさんにお礼を言わなければ。あとの二人も元気になりましたし」


「それは良かったです。ニトは今、騎士団と共に、ゴブリン西の村に向いました。本当は東の砦に向うはずでしたが、魔獣が出たらしく……」


 パキッ。


 足下の枝が踏み割れる。


 え?え?え?


 一歩近づくリュートさん。


 なに?


 リュートさんは、息がかかるほど、近づいてきた。


 そっと右手を伸ばし、私の左頬に優しく当てる。


「また、頑張りすぎてはいませんか?どうしたのです、その目は」


 え?


「無理はいけません」


 なっ!?


 その口調はまるで……。


「リュートさん?」


 涙!?


「あれ?なんで私?涙が?す、すみません!た、助かったので、ほっとしたのでしょうか?」


「リュート!手伝ってぇ!止血ってどうするのぉ!」


 遠方でア・ダウ担任が呼んでいる。


「ご、ごめんなさい、阿騎さん、私ったら、助けてくださったお礼は必ず!」


 そう言って、彼女は走り去った。


 私は呆然として、リュートさんの揺れる髪を見つめ続けた。

次回配達は 2023/02/23 朝7時頃の予定です。

サブタイトルは 一緒に行きませんか? です。

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