表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

211/406

【第1話】 東から南へ

おはようございます。

朝刊です。

 そして、私は獣人族の村に帰ってきた。

 倒れた3人の内、私だけ帰るのは複雑な気持ちだった。


「精霊の墓に報告が終わったら、直ぐに旅立つ。まずは東、ゴブリンの砦、それから南、王都ルゥリー・トゥルゥリーを目指す」


「慌ただしいな、ラン、少しはゆっくりできないのか?」


 丸太のよな腕を、ガッチリと組んでお話をする季羅お父さん。


「私の代わりにアランが走る。私も忙しいからな。東の砦、白のドーム、明季が全て壊したのだぞ、侵攻は無いと思うが、ゴーレムの設置は早い方がいい」


 ボリュームのある腰に、手を当て、季羅お父さんと退治しているランお母さん。

 二人とも大きいなぁ。


「東の地が安定すると、ン・ドント大陸全体が助かる。地続きは東の地だけだからな」


「ただ今戻りました、季羅お父さん」


 屋根も、壁も修理してある。

 懐かしい我が家。


 もう、何年も前のことのようだ。


「すまぬ、政治的に明季を利用している」


 わ、季羅お父さん、正直すぎる!


「それで、獣人族が収まれば、私は構いませんよ」


 と、格好付けて言ってみる私。


「……そうか」


「ただし、自由に振舞います。金狼は自由の象徴ですから。これだけは譲れませんよ」


「構わぬ、自由に生きて、その生き様を獣人達に見せてくれ」


「忙しいね、明季もぐもぐ」


 あ、ミンお兄ちゃん。

 相変わらず食べている。


「何かあったら直ぐに呼べ、ミンお兄ちゃんは何でも修理してやるよ」


 ……開発部長と気が合いそう?


「うん、その時はよろしくね」


 挨拶もそこそこに、私はランお母さんと季羅お父さんと一緒に精霊の墓へ向った。


 そこは村外れの小さな山で、1m程の石柱が3本立っている。

 明らかに人工物、不思議な光景である。

 中央に黒い丸い石が埋めてあり、お墓と言うより、力の場所だ。


 魔力というか、圧力というか、不思議な力が集まっている場所で、ここに長居しては、魂魄、意思にヒビが入るのでは?と思わせるくらい高圧的な場所。


 ハッキリ言うと、怖い。本能的に。危険では無いのか?


「き、季羅お父さん、ここは?」


「ここは精霊の墓と言っているが、本当は力の場所だ。神聖で、長居できない場所だ」


「明季、ここでの報告で成人儀式が終わります」


「はい、ランお母さん。では、精霊よ、これにて成人の儀式を終わります。これから獣人族として、一生懸命生きていきます」


 ちらっ、とランお母さんを見る。

 これでいいのかしら?


「充分です、さあ、帰りましょう」


「ここは強すぎる場所だ、獣人族でも疲労を覚える」


 確かに凄い場所だな。戒めの場所かな?誰が作ったのだろう?

 とても古い場所だ。力の蓄積も半端じゃない。


「「「!」」」


 私達3人は同時に止まった。


 何かいる!?

 とんでもない力の塊?

 この恐怖にも似た感覚はなんだ?畏怖か?

 初めて魔族に会った時より怖い?


《ここは、お父さんのお父さんがいる場所だ》


 !


 お父さんのお父さん?お爺ちゃんか?


《違う、祖父ではない、お父さんのお父さんだ、苦しいときは尋ねてこい、その苦しみ、半分にしてやる。忘れるなよ、秋津川亜紀》


 !

 誰?

 あ、もういない。


「き、季羅お父さん?」


「どうした明季?今、何かいたようだが?」


 私だけに話し掛けてきた?何者だろう?炎の巨人さん?

 この場所は、とても大事な場所だ。忘れないようにしよう。


「明季、報告も終わったし、帰りましょう。ここはン・ドント大陸でも稀な場所、長居してはいけない場所なの」


「はい、ランお母さん!」


 こうして私の成人の儀式が正式に終わった。


 村に着くと……宴会の用意が?


 え?お酒?飲んでいいの?いや、飲まないよ?私、忙しいのよ、早く東の砦に行かないと、満月期、終わっちゃうよ!


 宴会は用意というか、始まっていた。

 みんな浴びるように、お酒を飲んでいる。


 誰の儀式? 

 主役とは?


 え?獣人族、酔うの?何か特別なお酒?


 話題は、私のこと。


 東の砦も、白のドームも、全て瓦礫にしたと、数千の魔獣を次々に灰にしたと、さすがにそれは話の盛りすぎだろうと、私を酒の肴にして盛り上がっていた。


 ゴーレムはドワーフが作った新兵器、となっていた、

 あ、このお話、いいかも。

 それが、どういうわけか、私に従ったらしい。


 ガモサンモのこと、抜きのこと、新しい技、氷獣の毒の剣、話題は尽きないようだ。


 ……ようは、私、ここにいてもいなくても、問題なし。


 そしてランお母さんの爆弾宣言、女性だけに婦人会なるものを発足する、と言い放つ。


 一気に酔いが冷める男性獣人。

 大いに盛り上がる女性陣。


 そしてミンお兄ちゃんも宣言。子供会を作ると。

 婦人会にヒントを得たそうだ。


 狩りに、料理、裁縫、薬草の知識、遊びながら覚えていく、そんな組織を作ると宣言。


 獣人の村に活気が満ち始めた。


 そんな中、私も旅立ちの宣言、唯、一言、行ってきますと言う。


 それだけで、獣人さん達は各自遠吠えを始めて、私達を送ってくれた。


 大きくなって帰ってこい、と季羅お父さんが言った。

 いつでも帰ってきなさい、とランお母さんが言った。


 みんな、総出で送ってくれた。


 優しい言葉に慣れない私は、戸惑うことばかりだったが、嬉しかった。


 そして、3人で村を後にした。

 東を目指す私とシンお姉ちゃん、それとアランお兄ちゃん。

 まさに、飛ぶように走る。


 全力疾走!


 今は満月期、更に獣人族の力が増す時期。


 ほら、東の砦跡が、もう見えてきた。

 あ、ゴブリン達が、瓦礫の撤去をしている!


 一日ぶりのアイお姉ちゃんだ!


 あそこで、待っている!


 私の脚は更にスピードを増した。


次回配達は 2023/02/21 朝7時の予定です。

サブタイトルは 東から南へ2 です、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ