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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
二章

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202/406

【第93話】 帰路

おはようございます。

朝刊です。

 帰路、メンバーが変った。


 季羅お父さんとコロ叔父さん達は先に帰り、私達旅のメンバーにケインお兄ちゃんが入った。

 私は召喚で疲れたのか、ポメ・バージョンになっていた。


 なんと、ポメラニアンになると、右目が再生した。

 試しに、どうにか、人バージョンに戻ってみると、残念ながら右目は失明状態に戻った。


 なんで?


 次の満月期に衛生兵さんを召喚して、一度看てもらうか?


 長さんが常駐できるのはよかったな、東の地方は安定するのではないか?

 長さんに挑む者、出てくるだろうか?


 北のゴブリン達も強いし、土地も魔族チクリの祝福で潤っている。

 問題があるとすれば、長さんの設定だろうな。

 ドワーフの王さまと、サイザンお兄ちゃんは、あの設定で大喜びするかもしてないが、私は戸惑うばかりだ。


 色々と考えているうちに、疲れている私は荷台に乗り込み、眠ってしまった。


 夢は見ない。


 私は心配事が多くある。


 アイお姉ちゃんとエノン、彼女達とはもう一緒に暮らせない。

 越冬できないのだ。

 これからどうするのだろう?

 メイドン、会いたいなぁ。

 王都の学校、どうしよう……。



 誰かが抱っこして運んでいる。誰だろう?暖かいなぁ。


 ふと目が覚めると夜だった。


 パチッと焚き火が爆ぜる。


 ランお母さんと目が合う。


「よく寝ていましたね、少しは疲れ、取れましたか?」


「アンアン」


 あ、ポメ・バージョンだ。

 どうやら私は、ランお母さんのお膝の上らしい。

 いつも独占しているヒューお兄ちゃんとミューお姉ちゃんは?

 あ、シンお姉ちゃんと一緒に眠っている。


 何かが香る。


 うわぁランお母さん、凄い、いい匂い!何の匂いだろう?


 私が鼻を鳴らしてフンフン言うと、ランお母さんは優しく私の頭を撫で始めた。


「あなたは本来なら、まだ乳を吸っている赤子です。東の砦では頑張りましたが、母としては嬉しくも思い、心配でもあります」


「アンアン!」


「右目は見えていますか?我が愛し子の右目を奪うとは、許せませんね」


 バキ、バキッ!


 何?筋肉の軋む音?関節音?

 あ、ゾアントロピーだ。

 おおおお、おかさん!?

 お顔が怖いです!

 ここで怒るの、やめてくださいっ!


「クーン、キューン」


「あら、ごめんなさい、怖かったかしら?」


「フンフンフンフン」


 あ、怒った匂いが消えた。

 そしてまた、不思議ないい匂いが漂い始める。


 どこからだろう?


 あ、おっぱいだ。


「フンフン」


 匂いの元はここだ!

 ランお母さんは胸元に手を差し入れ、そのスイカみたいな乳房を露わにした。


「ほしいのか?」


 乳首からは、母乳が滴っていた。


 ぱくっ。


 本能である。


「やっと吸えたな、私の乳房を。成人にはまだほど遠いのに……それなのに無理をさせる。金狼の宿命か……」


 私は愛情を飲みながら、愛情に包まれ、いつしかまた眠ってしまった。


 ……私の中の壊れていた何かが、少し、癒やされたような気がした。



次回配達は 2023/02/16 17時の予定です。

サブタイトルは それぞれの道 です。

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