【第74話】 迷惑再び
号外です。
あ、まずい?
大轟音と共に、吹飛ぶ大地。
空から次々に落ちてくる雷。
え?雷!?
その雷は、次々に魔獣ラグナルを打ち抜いていく。
「ちゅぴ?ぴぴぴぴぴぴっ?ピギイイイイイ!」
(かか、回避!突撃むりいいいっ!あわわっ!間に合うかなっ!?頑張れ!うちぃ!)
大きく抉られる大地、噴煙は凄まじく、何も見えない。
バラバラと雨のように音を立て、落ちてくる大地の欠片。
そして次々と空中で魔力還元していく大きな魔ゴブリン達。
くるくると回りながら落下していくエノンと私。
ひいいいいいっ!
必死にしがみつく。
両手、両脚で雀エノンを抱きしめる(強め)
「チューン!ピピピピピピッ」
ヒュン!
絶妙のバランスでどうにか落下を防ごうとするエノン。
地面すれすれで落下を回避する、墜落は免れた?
(明季くん!?大丈夫?)
こくこく。
声が、声が出ない!こわかったよぉ……。
(あの、明季くん、そこ、あの、ちょっと困るの……ポッ)
雀エノンにしがみついているのだが、どこがどう、なっているのか、今ひとつ掴めない。手が翼?なら摑んだのは?脇?それともその先の胸か?
胸?
!!!!!!!ごごごごごめんなさい、ごめんなさい!
「エ、エノン!ごめんなさい!痛くなかった!?」
胸って、握られると、むちゃくちゃ痛いのだ!
あわわわわわっ!
「ご、ごめんよエノン!あの、大丈夫?どこも怪我していない!?私、強く握りすぎた?痛くしていない?どうしよう?痣とかできたら!」
(慌てないで!うち、大丈夫だよ!獣人族、怪我に強いし、痣とかならないよ!周囲、警戒するね)
周囲と聞いて、辺りを見回す……噴煙凄まじく、なにも目視できない。
魔力感知で辺りを探るが、うまく感知出来ない。これは山茶花の影響か?
……やっちゃった!
飛び交う思念、周辺、大混乱。
敵も味方もさあ大変。
(明季くん、凄いね)
興奮のエノン。
青くなる私。
なんで?なにこの威力?
噴煙の中から浮かび上がる東の砦。
よかった!無事だ!あれ?
(明季くん!砦が半分くらい壊れ……)
「エノン、あれは少しって言うんだよ?」
(嘘はだめだよ……明季くん、どうする?救助が先かな?)
あばばばばば、ど、どうしよう?ゴブリンの砦が!ヒューお兄ちゃんとミューお姉ちゃん!
レイランお姉ちゃん、無事かな?ゴブリン達!他にも妖精がいるって聞いていたけど!
(エノン!コロだ!今のはなんだ!敵の新型兵器か!砦が!)
(団長、あれ、うちらの新型兵器!)
(……明季か?)
こくこく。
(明季なんだな!?焼肉の時点で警告するべきだった!魔法は使うな、と!)
なんだこの異常な魔力は?さすがにここまではおかしい。
どこからこんな魔力が?
(月だ、明季。月からの力だ、今からもっと強くなるぞ!)
あ、獣人族!そうだ私は獣人族、月の民だ。
次回配達は2023/02/08 朝7時の予定です。
サブタイトルは 救助はいらない です。