【第69話】 金と銀1
夕刊です。
一目惚れ!?
魅せられた!?
おい金狼!私は何を見せられているのだっ!
ポチャン。
あ、亀さん?
「!」
ん?どうしたのシルバーっち?金狼?
あれ?尻尾が?
「……分かった、亀殿よ。そこまで言うのなら移るとしよう。話がある時は、遠慮無く訪れるぞ、それでよいか?」
会話が?今、何かお話ししたの?私には聞こえないよ?
移れるの?移るの?
「はい、亀さんが繋げてくれましたから。さすがに魔族チクリさまでも、超空間を繋げることは出来なかったようですが……」
魔族チクリは、何を考えているのだ?
疑似空間を作り出す?
世界の仕組みに挑戦しているのか?
これだけの労力をタダで?見返りは、感謝の言葉のみ?おかしいだろう!
目的はなんだ?
ん?
ゆっくりと動き出す金狼。
パチン!
閃きだ!
あ、金狼は……シルバーっちと同じ、獣人族の集合思念体?怨霊か?
「そうである、が、怨霊は心外である」
!!
ならば、いつかは消えてしまう存在。
シルバーっちもそうだけど、ローローやネーネー程、強くはないんだ。
「消えてはしまうが、明季、我はお主より遙かに大きな思念を持つぞ」
比べものにならないくらい、長生きと、捉えるべきか?
「亀殿が言うには、魔族チクリが作り上げた空間は、記録を残すことが出来るそうだ」
記録?何の?
「我々集合体の記憶や経験。これが空間自体に染み込むそうだ、空間そのものが記憶媒体になるらしい。この蓄積は必ず役に立つと思うが?」
!恐るべし、魔族チクリ!
昔、超空間に来ただけで、ここまで再現し、オリジナルの機能も付けるんだ。
凄いな。
目的は何だろう?妖精達を助けて、彷徨っている?
なぜ助ける?
改心?まさか、あれはそういう存在ではない。
あれからどのくらい時間が経過しているのだろう?
それでも、信用はしない。
あいつのしたことは許せない。
これは譲れない。
次回配達は 2023/02/06 朝7時の予定です。
サブタイトルは 金と銀2 です。




