【第57話】 それは心に響く、彼女との思い出の歌2
朝刊です。
「な、なんだよ、この歌?ゴブリンの歌か?」
「ん?ランお母さん、明季、止まっちまったぞ?金狼も消えちまった!?」
「ゴビッゴビッお、お許しをゴビッお許し……ごぶごぶ」
「フーララさん?」
「明季!フーララさんなんかブツブツ言ってるぞ?」
フーララさんは大地に沈み込むように座り、頭を垂れ呪文のように謝罪の言葉を繰り返していた。
「これは、何の歌だ?」
ん?シンお姉ちゃん、歌に興味があるのかしら?
シンお姉ちゃんがリラちゃんに問う。
リラちゃんは答えない。
必死に歌を歌う。
答えたのはフーララさんだ。
「ゴブ、こ、これはゴブ、闘神の鎮魂歌ゴブ」
「レクイエム?」
「ゴブ、この歌は闘神の故郷の歌ゴブ。闘神は雷の気性ゴブ、もし闘神が怒りに染まったときには、この歌を歌えと、必ず鎮まるから、と言い伝えられてきたゴブ……」
辺りが騒がしくなる。
(てて、て、て、て、偵察、行かなくて、よ、よかったぁ、こ、怖くてちょっと、お漏らししたかも……)
(だから言ったのじゃ!包み隠さず、話せ、と!試してはならぬと!)
(今更言われても)
(凄い怒りだったな、この酒場で意識があるのは俺だけだぞ)
(おい、物見櫓が燃えているぞ!速く消火を!)
(お怒りは収まったのか?鎮まったのか?)
(今、襲撃があると、砦が落ちるぞ!皆、目を覚ませ!速く!)
東の砦どころか、世界中の北のゴブリン一族が騒ぎ出した。
(盗まれた魔導書どころではないぞ!)
?
盗まれた魔導書?
2023/02/01 17時 夕刊配達予定です。
サブタイトルは 知らない超空間でお話1 です。