【第52話】 訪問者5
夕刊です。
「3大英雄については、語り部に聞いたことがあるの。あとはオークの武神、魔族の護神。皆、ン・ドント大陸を守ったり、妖精を導いたりした英雄よ」
ちょっと待った。
この闘神とは、まさか、私のことか?
サイザンお兄ちゃんでは?色々混ざっている?
「昔話か」
「でも、コロ叔父さん、闘神の名前がアキだなんて。これ、この名前、ゴブリン族の秘密の一つよ?王都の賢者や学者が知りたがっている隠名よ」
「そうなのか?」
レイランお姉ちゃんの言葉は、コロ叔父さんには届かない。
コロ叔父さんは話を急ぐ。
傭兵団の団長としては、現状が早く知りたいのね?
私もそうだけど、この言い伝え、とんでもなく興味ある。
いやそれどころか詳しく聞きたい!
私の死後、皆がどうなったのか、少しでも知りたいっ!
しかし、闘神って私のこと!?何年前だっけ?もう伝説か神話のお話ってこと?
出来れば世界中のゴブリン、長老、語り部、部族問わず全て集めて、話が聞きたい!
「ゴブ、急ぐな、コロ団長ゴブゴブ、お前の名もあるゴブゴブ」
「な、なんだと!?」
「ゴブ、闘神の眷属、風の戦士コロウ、乙女の守護者エイノン他にもいるゴブ」
「エノン!?」
「ゴブ、華の戦士シンイ、奏でる乙女トウアン、闇の戦士ツード、どうだコロ?お前の傭兵団と同じ名、同じと言っていい名が並ぶゴブ、偶然か?ゴブゴブ」
「何の冗談だ?恥ずかしい二つ名が続くな?」
え!?だ、駄目だよ!コロ叔父さん!皆のことを、そんなふうに、言っちゃ!
魂は知っているはずなのに!
「ゴブゴブ、取り消せ、今の言葉。これは、我らゴブリンの支えとなる古の戦士達の名ゴブ」
「!」
凄まじい殺気が辺りに満ちる。
寒さに強い獣人族が、寒さを感じるほどの殺気だ。
「コロ、今のはお前が悪い、詫びをいれなさい」
ランお母さんが凄む。
あ、寒さを通り越して凍る。ランお母さんを怒らせてはいけない!
2023/01/30 7時 朝刊配達予定です。
サブタイトルは 訪問者6 です。




