【第51話】 訪問者4
日曜版2です。
何か言いたいのかな?
迷っている?
「ゴブ……朱槍の獣人よ、その……我々は……ゴブゴブ」
「?」
「ゴブ、我々は、あなたの名を呼ぶことが出来ないゴブ」
「え?」
「ゴブ、遙か昔ゴブ、我々を死の島から連れ出した闘神と、同じ名ゴブ」
「闘神?」
「ゴブ、闘神しゃまの名前は畏れ多いゴブ、口に出したらいけないゴブ」
リラちゃん?
「ゴブ、砦に入れば、どちらにしろゴブゴブ、長老か語り部が話すとは思うがゴブ」
(フーララ、話してよいぞ)
(東の魔物の動きもある、お主が話してくれると助かる)
(構わぬ、ドライアドの杖が選んだのだ)
(今はちと、手が足りぬからな、代わりに話せ。そこで遺品を受け取っても構わぬ)
(うわぁいいなぁトビトカゲ、私も偵察に行けばよかった)
(明日の朝まで終わらぬ)
(フーララ何を話しても構わぬ。その獣人達は杖が導いた者達だ。特にシュートさまは本家のお方だ。抜きの本家、闘神さまの話が聞けるかもしれん。もしかしたら、闘神さま、その者かもしれんぞ?)
(こちらは任せておけ、盗んだ者は必ず探し出す)
探し出す?何を?盗んだ?
「ゴブ、では皆の者、構わぬゴブ?若輩の私が話を進めてゴブゴブ?」
(ああ、構わぬ。我々は個にして全体、全体にして個、不死のゴブリンじゃ)
「ゴブ、シュートさま、我々は先にも話したが、あなたの名前を呼ぶことが出来ない。闘神さまの名前と同じだからだ」
「闘神?」
最初に反応したのはコロ叔父さんだ。
「ゴブ遙か昔、死の島から我々ドワーフを助け出した者ゴブ」
「3大英雄の一つ、ゴブリンの闘神ね」
「お?レイラン、知っているのか?」
ぼりぼり。
アイお姉ちゃん、食べながらお話しするの、やめて!
それに、ゴブリンさんの前だよ!
ポリポリ。
「ゴブ、しゅーとさま、美味しいゴブ!」
「今度は私が、おかわり取ってあげるね」
ニッコリしてリラちゃんを見る、レイランお姉ちゃん。
2023/01/29 本日17時 夕刊配達予定です。
サブタイトルは 訪問者5 です。