【第48話】 訪問者1
夕刊です。
さて、とんでもないゴブリンだぞ。
と言うことはこのゴブリン、5年ゴブリン?ブーステッドフェアリー?
今で言う秘のゴブリン?
お話し、してみたいな。
囲まれていると、感じているけど、実は二人?
敵対しているわけでもないし、これはお迎えでは?様子見?
「明季!迂闊に動くな!」
「大丈夫だよ、コロ叔父さん」
私は朱槍を摑み、すたすたと森の闇に蠢く、おそらくゴブリンであろう影に近寄る。
「秘のゴブリンは魔王級だ、よせ」
まさか。
確かに、私達より強いだろうけど、魔王級ではない。
魔王は魔力500万以上だ、存在感が違う。
それに魔王級だったら菌糸算譜が動く。
……まだ動いているよね?
連絡できないんだよねぇ、出来たらいいんだけど。
あと詳しくは知らないけど、勇者システムも起動するはず。
この勇者がどんなのか今ひとつ、分からないんだよねぇ。
それに、私の直感では、強いゴブリンだけど、秘のゴブリンではない……多分。
「私はシュート家の獣人明季、遺品と朱槍を届けに来ました、これです。朝の訪問が良いと聞きましたので、ここで明日の朝まで待ちます。なにか迷惑でしょうか?」
(……朱槍)
「そう、朱槍です。ですがこれは……」
(ドライアドより賜った、妖精の杖。その杖は主を選ぶ、シュート家の者よ、お前は誰だ?本家のお方の技、どこで身につけた?それとも本家、そのものか?)
疑っているよね、ま、当たり前か。
ふっと現れる影が二つ。
私の真後ろに、その影は現れた。
気配無し、これはもう上位存在ではないか?
それとも、今はこれが普通?
私の知識、技術が古いとか?
ぐーきゅるるるるるるるっ。
?
なんだ?なんの音?
「ごぶごぶ、お、おにやん、なんか、お腹に住んでいるゴブ、こえーよゴブゴブ」
「ゴブ……それは、お腹が空いているのだゴブゴブ」
振り向くと、やや大きめのゴブリンと、明らかに子供のゴブリンが、手を繋ぎ並び立っていた。
もちろん、こっちを見ている。
こっちを見ている?では、これは、是非、仲間にしなくては!
次回配達は2023/01/29 朝7時 の予定です。
サブタイトルは 訪問者2 です。