【第46話】 東の砦前で焼肉5
おはようございます。
朝刊です。
「今の獣人族を見て、どう思う?見識が足りないと思わないか?」
シンお姉ちゃんとアイお姉ちゃんのお話だから、思わず妙齢なお話かと思ったよ。
どういうこと?この質問の先はなんだ?
さて見識とは?
「それは傭兵団の団長として?それとも長の弟として?」
私はストレートに聞き返す。
「市井の獣人としてだ。獣人族の未来はどうだ?」
市井?コロ叔父さんはかなり特殊だと思うけどな。
「明季、あなたの意見が聞きたい」
「私の意見?」
「そうよ」
ランお母さんは真剣だ。
綺麗な目だな。
「時代に取り残されている」
「……!」
「私、明季の目にはそう映る」
「コロ団長がパイプ役でいるけど?」
エノンが弱々しく意見を述べる。
「コロ団長は傭兵団が主だ。王都がこの大陸の中心ならば、絶えず、最先端の情報、技術、文化、を発信、受信するシステムを作らなければ駄目だ」
「駄目か?」
「今のままでは駄目だ」
これは断言する。重傷の私は死を待つしかなかった。
王都と何かしら、強固な繋がりがあれば結果は変わっていたと思う。
獣人族の能力任せのやり方は、必ず限界が来る。
私達の知らない技術が、王都で次々に生み出されているかも知れないのだ。
事実、偽物学生ではあったが、未知の技術で私やミミお姉ちゃんは助かった。
それに、こんなに頑張っている獣人族の努力、苦労を、悲しみや苦しさを王都の連中は知っているのだろうか?
「そこで、だ、シン、アイ、明季」
「?」
「王都の学校に行かないか?留学だ」
「!」
「え?」
「もぐもぐ、あ、私、パス、勉強嫌いだ」
アイお姉ちゃん即答!!
「王都にある、聖龍門学校、ン・ドント大陸、唯一の教育の場だ。最先端の技術、魔力研究、ギルド要員、傭兵、騎士団員の教育養成、文化は音楽、楽器の製造、古代歴史の研究、口伝の編集、項目は切りがないくらいある。そこで、勉強してみないか?何を学ぶかは選んでいい、季羅が言うにはまず、何かに優れた人材が欲しいそうだ」
「何でもいいの?ランお母さん?」
「ええ、シン、なんでも構いませんよ」
「料理でも?音楽でも?武術や魔法でなくても?」
「構いません」
シンお姉ちゃん、王都に行く?このお話、乗るの?
なんか、裏がありそうなんだけど?
本日 2023/01/28日 17時 夕刊配達予定です。
サブタイトルは 東の砦前で焼肉6 です。