【第40話】 それはちゅんちゅん2
夕刊です。
雀だ!
しかし、スケールがでたらめだぞ!
が、が、この可愛さはなんだ!目が離せないぞ!
「ぢゅん、ぢゅん、ちゅん」
し、仕草が、素直に可愛い!
一瞬、梅の木が脳裏を過ぎった。
梅の木?
ああ、あの小さな雀。
雀も生まれ変わるのだろうか?
(今から狼に変わるね、うち裸ん坊だからこの儀式中は、狼かちゅんで過ごすね)
リアルモーフィング?
全く違和感なく、エノン雀はエノン狼に変態した。
態を変えるから、変態。変な意味の変態じゃないよ!
「うち、ちゅんだと上手く喋れないの。練習はしているんだけど、ん?」
団長以外、全員がエノンを尊敬と羨望と魅惑の目で見ている。
「え?え?え?なに?なに?うち、なにかした?団長?ちょっと怖い!」
ささっとコロ団長の後ろに隠れるエノン。
「エノン、みんなお前が大好きだとさ、さあ肉は焼けている、食べたいヤツは食べて出発するぞ」
ちなみに焼いたのはコロ叔父さんらしい。
巨大ぬいぐるみのような、リアルチュンチュン。
びょびょぢゅんぢゅん、鳴き声もたまらん。
しかし、見かけに騙されてはいけない。
エノンは傭兵団の一員、かなり物騒な存在なのだ。
多分、敵には容赦なしだ。
傭兵団が、どのような仕事をしているのか、分からない。
が、エノンやコロ叔父さんの言葉から察するに、戦闘のプロ集団で相当数の団員がいるみたい。スイッチが入ったら、戦闘マシーンになるだろうな。
結果、怒らせてはいけない気がする。
すりっ。
「ん?」
エノンがすり寄る。
ふさふさもこもこのしっぽがふるふる、と揺れる。
背中にはヒューお兄ちゃんが乗っている。
「……ヒューお兄ちゃん、降りようか?」
「やだ」
次回投稿2023/01/26 朝7時の予定です。
サブタイトルは それはちゅんちゅん3 です。