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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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婚約破棄発魔所パンフレット

作者: 騎士ランチ
掲載日:2020/04/27

はじめまして!デビューです!テンプレ悪役令嬢ものです!

【1.婚約破棄エネルギーと婚約破棄発魔】

 婚約破棄エネルギーとは婚約破棄王子が発するエネルギーです。婚約破棄王子は生まれてから十八年経つと春先にいかなる状況からでも婚約破棄をしようとします。


 その婚約破棄の際に婚約破棄王子が発するエネルギーが婚約破棄エネルギーであり、婚約破棄エネルギーを魔力に変換して利用する事を婚約破棄発魔と呼びます。


【2.婚約破棄王子の主な特徴とかつての対処】

 婚約破棄王子はバルタン王家の血を引く男子から低確率で発生するとされ(一部例外あり)、以下の様な特徴を持ちます。


・婚約破棄王子は十五歳ごろから特殊なフェロモンを出し、十数人を魅了し、それ以外の人間を遠ざけます。王子に魅了されてしまった人々は彼の取り巻きとして婚約破棄に協力します。


・取り巻きを集めるのとほぼ同時期、婚約破棄王子は婚約者以外の女性に恋をし、彼女を王妃にしようと考える様になります。この時ターゲットになる女性は王子の同年代かつ身分の低い女性、大抵の場合は男爵令嬢が選ばれます。そして十八歳の春、卒業記念パーティーが行われると、取り巻き達を引き連れて「真実の愛に目覚めた!」と叫び、婚約破棄を宣言するのです。


・順位が上の王位継承権を持つ王子が婚約破棄王子となる可能性が高いと言われています。バルタン王国には過去に十五人の婚約破棄王子が存在しましたが、その内訳は第一王子が九人、第二王子が四人、第三王子が一人、自分を王子だと勘違いした外国のアラフォー平民が一人でした。


・婚約破棄王子は非常に能力が低く、知能も魔術もその時代の一般人より大きく劣ります。この為、フェロモンを出す十五歳を迎えるより前に婚約破棄王子と判明するケースもあります。しかし、婚約破棄の為に動く時だけは凄まじい力を発揮します。


 この様に、婚約破棄王子は百害あって一利無し、存在するだけで国を傾けるものとして忌み嫌われてきました。婚約破棄王子の害を理解したバルタン王国の

人々は対策を立てましたが、それは婚約破棄王子から王位継承権を剥奪して辺境に閉じ込めるという残酷かつ何も産み出さないものでした。


【3.婚約破棄エネルギーの発見】

 今から約四百年前、バルタン王国の歴史上最強の婚約破棄王子が登場しました。彼の名はマッドナー。彼はバルタン王国の人間ではありません。大陸の反対側にあるザラブ連邦の漁師でした。


 バルタン王国の卒業記念パーティーに乱入した彼は、持っていたブリで公爵令嬢を殴打し婚約破棄を宣言。その後、近くにいた男爵令嬢を連れ去ろうとしたところを衛兵に捕まり、半月後に処刑されました。これだけでも大変な事件ですが、取り調べの際のマッドナーの弁明がさらに国を揺るがしました。


「事件当日、目が覚めるとこの世界が乙女ゲームであり、自分が王の隠し子である事を思い出した。今日が卒業記念パーティーの日だと気付いたので大急ぎで現場まで走って婚約破棄をした。でも、捕まった後冷静に考えたら、漁師のマッドナーが攻略対象なのは同会社の別のゲームで俺はマッドナーと同名のただのモブのオッサンでした。お騒がせしてすいません」


 彼の言葉の意味は現在でもほとんど解明されていませんが、一つだけ確かな事があります。それは、彼が会った事も無い相手への婚約破棄の為だけに大陸の端から端まで三時間足らずで走ったという事です。


 右手の包丁と左手のブリを振り回していくつもの国境を突破し、婚約破棄した後はあっけなく衛兵に倒されるという矛盾に満ちたその生態は婚約破棄王子そのものであると言わざるを得ませんでした。


 この事実によりマッドナーは例外にして最強の婚約破棄王子として世に知られ、それによって婚約破棄エネルギーに注目が集まる事となったのです。


【4.婚約破棄発魔の母にして後の女神アンジェラ】

 マッドナー事件から百年後、つまり今から三百年前に最初の婚約破棄発魔が行われました。


 当時のバルタン王国第一王子ベックは非常に頭が悪く、七歳の頃には彼が婚約破棄王子であると誰もが認めていました。本来ならベック王子はこの時点で継承権を剥奪されるはずでしたが、それを止める人物がいました。ベックの婚約者だった公爵令嬢アンジェラです。


 アンジェラは言いました。


「長年王国を苦しめてきた婚約破棄王子問題を解決する策があります。それを実行するには、卒業記念パーティーまでの間、ベック様が私の婚約者でないといけないのです」


 アンジェラはベック王子とは逆に七歳とは思えない知能を持っており、数々の発明で王国を豊かにし、ベック王子によって引き起こされてきた王国滅亡の危機も彼女の力によって回避されてきました。ベック王子を今すぐ排除しないのは不安でしたが、大人達はアンジェラを信じ細心の注意を払いながらベック王子を見守り、そしてアンジェラの策に協力する事にしました。


 時は流れ、十八歳になったベック王子は卒業記念パーティーの会場に向かいます。今日こそは生意気なアンジェラに冤罪を突きつけて婚約破棄してやろうと、顔を真っ赤にして廊下を進みますが、どれだけ歩いても彼はパーティー会場に到着しませんでした。


 実はこの廊下はアンジェラの魔術によって無限ループになっていたのです。それだけではありません。無限ループの廊下は迷い込んだ人物の魔力を吸収する様になっていました。常人なら数分で力尽きるか、異変に気付き引き返しますが、この時のベック王子は人生で最も愚かで魔力に満ちた状態でした。魔力が奪われている事に気づかないまま歩き続けました。


 ベック王子から吸収した魔力は床下のパイプを通して王国全土に送られ、庶民でも冷凍保存や映像記録といった高度な魔術を利用できる様になりました。これが婚約破棄発魔の始まりです。アンジェラはこの功績により婚約破棄発魔の母として称えられ、死後は王国の女神として崇拝される事になりました。


【5.婚約破棄王子と婚約破棄発魔の現在】

 ベック王子が婚約破棄発魔に取り込まれた後、王国には一人も婚約破棄王子は発生しませんでした。それっぽいのは何人かいましたが、にやけ顔で廊下を歩き続けるベック王子を見せると皆反省し普通の無能レベルで一生を終えました。


 そう、バルタン王国最終婚約破棄王子であり婚約破棄発魔の動力源であるベック王子は318歳になった今も元気に無限ループを歩き続けているのです。既に服も靴も完全に消え失せて全裸になってしまいましたが、肉体は十八歳の頃のままで人生の絶頂の中にいるのです。


 婚約破棄発魔の開発により無限に等しい魔力を得た国民は生活が豊かになって幸せ。

 軍人や冒険者も上質のマジックアイデムを装備出来て幸せ。

 王家も足を引っ張る存在がいなくなって幸せ。

 ついでにベック王子も幸せ。


 婚約破棄発魔のおかげでバルタン王国の問題は全て解決し、皆が救われたのです。婚約破棄発魔万歳!女神アンジェラ万歳!


登場人物紹介


・アンジェラ

婚約破棄王子の持つエネルギーに目を付けた彼女は、婚約者であるベックを罠にはめて婚約破棄発魔の開発に成功した。その後、第二王子と結婚して王妃になり、婚約破棄王子の不在と莫大な魔力供給によりバルタン王国を大陸一の強国へと成長させた。前世は乙女ゲーマーであり、婚約破棄発魔は原作ゲームのバグを利用している。


・ベック

五歳の時、王宮を建て替えるかどうかで議論になったのを聞き王宮を全焼させる。六歳の時、アンジェラと婚約し、その後一年間で十二回国家滅亡に繋がりかねないやらかしをしてしまい、アンジェラに愛想を尽かされると同時に婚約破棄発魔の動力源として目を付けられ、永遠に婚約破棄へ向かい続けるバグキャラとなった。そのパワーはマッドナーに匹敵するが、八歳以降の人生はアンジェラの敷いたレールに乗っていたにすぎないので、王国民へのアンケートを元に作成した婚約破棄王子酷さランキングでは四位という中途半端な順位に収まっている。


・マッドナー

アンジェラと同じく転生者にして乙女ゲーマー。しかし、アンジェラと違いこの世界を別のゲームと誤認した結果暴走し、全く必要の無い婚約破棄をして自滅。さらに、故郷のザラブ連邦はテロリストを送り込んだとされ、それが原因で滅んだ。その実績を評価され婚約破棄王子酷さランキングではぶっちぎりの一位。死後もレジェンドオブ糞としてバルタン王国民からは生暖かい目で愛され、元ザラブ連邦民からは本気で殺意を向けられている。

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― 新着の感想 ―
[一言] あれでちょっと酷い程度なのか( ゜д゜)ポカーン
[一言] FFXIII-2で主人公がデータとして囚われて、 仲間であるはずの人間を殺し続ける ……てゆーバッドエンドを思い出したけど、 あとがきを読んで同情できなくなったわ。
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