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「あ、あははは……そうなるよね……でも、俺なんて大した事無い人間だし」


「好きになる人は何か特別じゃ無いといけないの?」


「そ、そうでは無いけど……あ、俺って結構金使い荒いし!」


「スーパーで安くなるからって、タイムセールを狙う木川君が?」


 なんでそんな恥ずかしい俺の秘密まで知ってんだよ!

 そうだよ!

 食費はいくらでも安く済ませたいから、毎回必ずタイムセールを狙って行くんだよ!


「で、でも……その節約も欲しいゲーム買うためだし……ギャルゲーとか!」


 嘘はついてない。

 実際俺は結構ゲーム買う方だし……まぁ、ギャルゲーは買った事無いけど……。


「え? 木川君が好きなゲームのジャンルって、RPGとかアクションとかでしょ? ギャルゲーなんて買ってるところ見た事無いよ? あ、そう言えばこの前は先週発売された格闘ゲーム買ってたよね?」


 バレているぅぅぅぅぅぅぅぅ!!

 この子どんだけ俺の事を知ってるんだよ!

 なんで俺の好みのゲームのジャンルまで知ってるんだよ!

 こえぇよ!! 


「あ、あぁ……よ、良く知ってるな……」


「当然だよ、だって……見てたもん」


 なんだこの子、マジで怖い!

 こ、この子俺の部屋の中に盗聴器とかカメラとか仕掛けてないよな?

 てか、この子を俺の家に上げるのは絶対ダメだ!

 家に入れた瞬間に何かを設置される!!


「あ、あはは……そ、それは気がつかなかったなぁ……」


「うふふ………」


 ヤバイ……一体この子はいつから俺をストーキングしているんだ!!

 も、もしかして一年の頃から?

 ヤバイ! この子は非常にヤバイ!!

 絶対ヤバイストーカーだ!!

 絶対にまともな子だと思ったのに!!

 俺は手を震わせながら、朝食のスープを作り、カップに分けていく。


「どうしたの? もしかして緊張してる?」


 緊張じゃねーよ!

 これは恐怖だよ!!


「あ、あはは……そ、そんな事無いよ……」


「うふふ、じゃあ手伝って上げる」


「え? うぉっ!!」


 高石はそう言うと、俺の手を握ってスープを分けるのを手伝い始めた。

 なぜだろう……女子から手を握られたからだろうか、俺は背中に変な汗を掻いているのに気がついた。

 緊張しているのだろうか?

 それとも恐怖しているのだろうか?


「お、おい……だ、大丈夫だから離してくれ……」


「ん? 私に手を握られるのは嫌?」


 嫌です!

 断固拒否します!!

 なんて事を言えるはずも無く……。


「い、嫌では無いが……大丈夫だから」


「そう? なら離すわ、残念」


「あはは………」


 はぁ……はぁ……なんか疲れるな……。

 やっぱり高石とは出来るだけ距離を置いた方が良さそうだ……。

 このままじゃ身が持たない……。

 色々あったが、俺は無事スープを作り終えて皆のところに持って行く。


「お、お待たせ……」


「遅かったな、琉唯らしくもない……やっぱり具合悪いのか?」


「い、いや……だ、大丈夫だ……」


 まぁ、病を患っているのは俺じゃ無くて高石なんだと思うが……。

 

「ほ、ほらさっさと飯を食おうぜ、時間も無いし」


「あ、あぁ……本当に大丈夫か? なんか顔色も悪いぞ?」


「だ、大丈夫だ! 問題無い!」


「絶対に何か問題があった見たいな顔して言われても……」


 俺たちは他の班から数分遅れて、朝食をとり始めた。

 朝食は昨日のカレーよりも簡単な物ばかりなので早く出来上がった。

 朝食の後はテントを畳み、合宿場に移動になった。

 移動の途中も強は俺がいつもと違うことに気がつき、俺に話し掛けてきた。


「なぁ、どうしたんだ? やっぱり具合でも悪いのか? 今朝も変な事言ってきたし」


「あ、いや……心配させて悪いな……」


 荷物を持って歩きながら、俺は強にそう言う。

 このことを強に話す訳にはいかない。

 強に話せば、多分……強に殺されるからだ。

「はぁ……」


「………ちょっと、琉唯ちゃん」


「ん……なんだよ早乙女……」


「……高石ちゃんと何かあったの?」


「え? い、いや……別に?」


「じゃあなんで目をそらすのよ、もう女の勘を舐めないでよね!」


「いや、お前は女じゃなくて化けm……」


「ちゅーするわよん」


「よ、よく分かったな! 流石は女の勘だ……」


 しまった、なんか流れで話してしまった……。

 まぁでも早乙女になら話しても問題は無いか……幸い今は強も居ないし……。


「実はな……」


 俺は昨日の高石との出来事を八島の事を省いて、早乙女に話した。

 

「なるほどね……なんか怪しいと思ったのよ、あんたら二人、朝から」


「お前は気がついてたのか?」


「バレバレよ、まさかそんな面白……げふんげふん、大変な事になっていたなんて……」


「おい、今面白そうって言いかけたか?」


「気のせいよ、それでどうやって高石ちゃんに嫌われる気? 聞いた話だと、高石ちゃん何をするか分からないみたいな子だけど……」


「そうだよなぁ……俺の行動とか趣味とか……色々詳しいんだよ」


「まぁでも気持ちは分からなくもないわ………好きな人の色んな事を知りたいと思う気持ちは……私もそうだったわ……」


「え?」


「冗談よ」

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