13
「もう私達親友でしょ!」
「出会って数週間で親友は無い」
「酷い!!」
「あらあら、本当に仲が良いのね」
「どう見たらそうなるんだ……」
「これ以上二人の邪魔をするのもアレだし、私はこれで失礼するわ」
「師匠! それじゃあまた!」
「えぇ、またね。今度はしっかりメイクしなさい」
早乙女は上屋敷にそう言うと、そのまま店を後にしていった。
「面白い人だね、師匠って!」
「なんで師弟関係は出来てんだよ」
色々ツッコみたいところはあるけど、何も無くて良かった。
上屋敷も早乙女を軽蔑したりしない奴で良かった。
結構こいつは良い奴なのかもしれないな……。
僕は店で鞄を購入し、上屋敷と共に店を後にした。
「買い物はこれくらいだな、じゃあ俺はこれで」
「待った!」
「ん? なんだよ」
「木川君、引っ越したんだね?」
「そうだが?」
「行ってみたい! 今から行っても良い?」
「絶対ダメだ」
こいつは急に何を言っているんだ。
てか、今俺の部屋には八島が寝てるんだ、絶対に家になんて上げられるか!
「えーなんでー! 私帰っても暇なんだもん」
「知らん、それに俺は今一人暮らしだ」
「本当!? 良いなぁー! てか、尚更行ってみたくなった!」
「おまえなぁ……一人暮らしの男の部屋だぞ? 危機感とか感じないのか?」
「まぁ……木川君だし」
「どう言う意味だ。それとその半笑いはなんだ!」
こいつにとって俺は一体なんなんだ。
しかし、ちゃんと断らないと本当についてきそうだな……。
「良いじゃん! 別にエッチな本とか探さないから!」
「そもそも持ってない」
「大丈夫だから! 何もしないから!」
「それは本来男の台詞だ」
「良いじゃん、なんでダメなの?」
「引っ越したばっかりで散らかってるんだ」
「私は気にしないよ!」
「客を呼べる状態じゃないんだ」
「じゃあ片付け手伝う!」
「なんでそこまでして来たいんだよ……」
「暇だから!」
「じゃあ、一人でカラオケでも行け、俺はこれからやる事があるんだ」
「見捨てるなよぉ~私にか~ま~え~」
「やめろ! 引っ張るな!」
帰ろうとする俺の服を掴んで話さない上屋敷。
子供かよ……。
俺はそんな事を思いながら、強引に上屋敷を振りほどく。
「あっ!」
「んじゃぁな、暇なら他を当たれ」
「う~薄情者ぉ~!!」
後ろから聞こえる上屋敷の声を無視して、俺はその場を後にする。
危ない危ない、今上屋敷に来られたら面倒なことになる……。
「これからも気を付けないとな……」
俺と八島の関係は誰にも話していない。
バレたらクラスの男子達に半殺しにされそうだし……。
「当分は誰も部屋に呼ばないようにしないとな……」
八島とは反同棲みたいな感じになってるし、部屋に誰かを呼んでボロが出たら大変だ。
「はぁ……なんだか疲れたな……上屋敷もげんきだよなぁ……」
「そうかな? 私はいつもこうだよ?」
「そうかよ………ん?」
自分のマンションの前まで来た時だった。
一人事のはずなのになぜか返答が帰ってきた。
俺は不審に思い、声の方に振り向いた。
「やっ!」
「なんで付いて来てんだよ!」
声の方には上屋敷がいた。
まぁ、声でなんとなくそんな気はしていたが……。
てか、こいつここまで付いてきたのか!?
「お前なんでここに居るんだよ……」
「暇だったから尾行した!」
上屋敷は親指を立てて俺にそう言ってきた。 こいつの親指折ってやろうか……。
「おまえなぁ……さっさと帰れよ」
「ここまで来たのに?」
「はぁ……お前まさか……このまま部屋まで付いてくる気か?」
「もちろん!」
「胸を張って言うな……はぁ……仕方ない、少しまってろ」
このままだとこいつは帰らなそうだし、家から八島を追い出しておくか……。
俺は上屋敷を玄関ホールで待たせ、自分の部屋に戻る。
「おい、八島居るか?」
「……ん~……何?」
「まだ寝てたのかよ……まぁ、だろうと思ったけど」
「………おかえり」
「あぁただいま。悪いが直ぐに自分の部屋に戻って貰えるか?」
「ん……良いけど……まだ……目……覚めない……」
「良いから、早く頼む!」
「う~ん……乱暴者ぉ……」
俺は寝ていた八島を起こして、自分の部屋に戻るよう言い、無理矢理八島を自分の部屋に戻した。
少し部屋を片付け、俺は上屋敷が居る玄関ホールに戻った。
「良いぞ」
「なに? エロ本でも隠したの?」
「違う。でも部屋の中は漁るなよ」
「分かってるって~」
俺は上屋敷を部屋に案内する。
「ここだ」
「へぇ~本当に一人暮らしなんだね」
「だからそう言ってるだろ」
俺は部屋の中に上屋敷を入れる。
考えてみれば、八島以外の女子が俺の部屋に入るのは始めてだ。
でも、そもそも女子を部屋に入れる機会が短期間でこんなにあるとは……。
「へぇ~なんだ、片付いてるじゃん」
「あんまり見るなよ」
俺は上屋敷を座らせ、飲み物を用意する。
上屋敷は物珍しそうに俺の部屋を見回していた。
「あ、そう言えば私、男子の部屋入ったの初めてだ!」
「マジかよ……すげー軽い乗りで来たよな、お前……」
「いやぁー、なんか木川君は大丈夫だろうなーって」
「お前の中で俺は何なんだよ」




