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饒舌勇者と寡黙な狼  作者: 空宮 こがも
第2章 人格
5/5

饒舌勇者と寡黙な狼〔3〕

前書きに何を書けばいいのか分からないんですよ

Immortal(不死)の魔法を持った少女。二渡静音。

「……静音さん?不死の魔法ってどういう事?」

素直に疑問を投げかけてみた。その子は少し悩んでからこう言った。

「んー?そのまんまの意味ですよ?死なないってだけです、チート級の魔法なんですけど、制限はあるらしいです」

まぁ教えませんがねっ!

おどけた顔でそんな事を言ってくる。かなり重大な事を言っているように思ったのだが……

「ところでどうしましょう。ここで私を倒しますか?それとも、見逃してくれるんですか?」

「倒そうにも倒せないだろ、ここは一度見逃しておくよ」

隣にいる蒼太がそう答えた。静音さんは嬉しそうな顔をして、

「わぁー!優しい人ですね!隣の無愛想な狼さんとは違って!あ、気を悪くしたのならごめんなさい、悪気はないんですっ!それじゃ!」

最後にとても失礼なことを言って窓から飛び降りた。……飛び降りた?

「危ないっ!……って、あれ?あの子は?」

蒼太の声で窓の外を覗くと飛び降りた静音さんは居なくなっていた。

不死の魔法だけじゃなかったのか。

「……とりあえずどうする?あこちゃんだっけ?」

「あこでいい。ちゃん付けで呼ばないで」

タッグを組まないか、なんて言われたら困る。ただ、ここですぐバトルというのも気が引ける。何せ私はまだ自分の魔法の事をしっかりと把握出来ていない。

「実は僕、まだ自分の魔法の事がよく分からなくて。饒舌の魔法なんだけど……試してもいい?」

試す……?私に?

「……殺されるのはごめんだよ」

「大丈夫、多分危害を加えるような魔法じゃないから」

そんな信用のないことを言う。ただこれでは蒼太だけが得をしてしまう。

「だったら、私の魔法も試させてよ。私の魔法は寡黙。どう?想像つく?」

一度一人で使ってみようとしたけれどもし危ない魔法だったらの事を考えて何も試していない。ちょうどいい()()()がいるなら試すのもいいと思う。

蒼太が死のうと生きようと、私には関係ない。

「いいよ、君のテスターになってあげる。じゃあ僕から。Talkative(饒舌)!」

そう叫んだが私の身には何も起こらない。

「なにか起こった?」

「いいえ、何も」

本当に何も起こらない。何かのミスなのか。それとも私には効かないのか。

「まぁいいや。もうひとつの魔法に期待しておくよ。ところであこちゃん、苗字、なんて言うの?」

「未来あこ。みらいあこだよ」

っ……?苗字を言ってしまうと本名がバレる……でもなんで?言うつもりはなかったのに……まさか。

「その魔法……思ったことを言ってしまう。嘘が……つけなくなる」

もしこれが本当なら相手の能力を聞き出したりするのに使える。戦略的に戦える。

これを利用すれば、上手く行けば生き残れる。

「……じゃああこちゃん……ごめん、あこ、僕は今から君に質問してみる。君の能力は?」

Silent(寡黙)

やっぱり。私の意志とは反対に口が勝手に動いてしまう。

「じゃあ……本名は」

「まお……んっ……」

この質問には、答える訳にはいかなかった。口が勝手に動いてしまうから下唇を噛んだ。

「あはは……必死で耐えてる……いいよ、別に言わなくても」

そう言った瞬間、口は勝手に動くことを止めて下唇を噛むのをやめた。

「少し血が出てるけど、大丈夫?」

「誰のせいだと思ってるの……?」

はぁ、とため息を着くと蒼太はこんな事を言ってきた。

「あこと僕の魔法は名前だけ聞くと正反対だ。ここは僕とあこ、タッグを組んで生き残るべきだと思わない?」

私が一番忌避していた状況になった。

団体行動、二人一組は一番苦手だ。

「……悪いけど、団体行動は苦手なの。とにかく今は私の魔法を試させて。Silent(寡黙)

蒼太に向かって唱えた。

何か反応するかと思ったら、反応はなかった。

「どう?何か異変は?」

「……」

口をぱくぱくと動かしているだけで何も答えてくれない。もしかして……

「喋ることが出来ないの?」

「!……」

首を縦に振っている。この魔法……敵の魔法を封じる事が出来るかも……

「解除……でよかった?」

「はぁ……よかった、話せるようになってる。やっぱり正反対だったね、どう?タッグ組む気になってくれた?」

さっきの必死な顔が嘘みたいな愛想笑いで聞いてくる。

「考えさせて」

確かに蒼太と組めば生き残れる確率は高くなる。ただ、最後に裏切られる可能性も否定出来ない。ゲームマスターの道化師に質問が出来たなら……

「ははっ、大丈夫だよ。裏切っても僕にはなんのメリットもない」

「なら自分に蒼太の魔法をかけてくれる?そしたら蒼太の本当の気持ちが分かる」

これが一番分かりやすい。裏切る気はあるのか。私と組んで私をどう利用するつもりなのか。

「分かったよ。ただどうやってかけるか分からないんだよ。何か上手い方法は?」

「簡単。あなたの声を録音する。この腕時計録音機能があったはず……あった。はい、魔法を。」

蒼太は素直に魔法の名前を呟いた。これを聞かせて魔法が効くのか、その実験もしてみたかった。

「……うん。自分の声が聞こえた。でもこれって本当に効いてる?」

「質問するから答えて。本名は?」

さっきされた質問と同じ事を聞いた。これで必死に耐えたりサラリと言ってしまったら本当。偽名の可能性も否定出来ないが私はクラスの名前は全員覚えている。

その中にいるのか……という所だが。

「さ……とっ……んっ……」

必死で耐えている。舌を噛んでいて今にも血が滲みそうだったので解除した。

「もう一度魔法をかける。質問に答えて。私と組んでどうするつもり?」

「ここの道化師を殺す。あこには知恵を貸してもらいたい。馬鹿みたいに手当たり次第殺す狂人ではなさそうだったからね」

どうやら裏切るつもりは無いらしい。それよりも引っかかったのは道化師を殺す、という所だ。

「何故殺すの?私はあくまで生きて帰れればいいの。殺すつもりは更々ないし、勝手に自滅し合えばいいと思ってる」

「道化師を殺さないと面白くないでしょ?これはデスゲームだ。ゲームマスターを殺したら……どうなるか予想はつくかい?つかないだろ?僕は予想できない展開が大好きなんだ。そんなゲームをもっと楽しむために君に話しかけたんだ。マルチプレイは嫌いかな?」

こいつ……()()()()

整った顔の美しい笑顔が途端に恐ろしくみえる。

でも、悲しいことに心のどこかに共感してしまっている自分がいる。

「……解除。へぇ、なかなか面白いこと言うね。了解。タッグを組もう。ただし条件がある。私、個人的に恨みがある人間がいるの。そいつは殺してもいい?」

本当に個人的な理由だが、この際に殺してしまうのもいいかもしれない。

「全然OKだよ。じゃあ僕も、邪魔するやつは殺すよ。あまり暴力はしたくないんだけど」

仕方ないよね。

そう言って笑った目は、青く透き通っていた。


―――――――――――――――――――――――――

死亡者数ー13人

花依ーLv1

伊織ーLv1


次は1ヶ月後を予定しています。

二人は狂っているのでしょうか……?

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