表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
饒舌勇者と寡黙な狼  作者: 空宮 こがも
第2章 人格
2/5

プロローグ【2】それぞれの始まり 伊織の場合

遅れました。

プロローグ2伊織くんです。

最近キーボードを変えました。

可愛いです

「ねぇ、本当は嫌いなんでしょ」

「……」

意地悪な質問だった。言ってから気づいた。

こんな世界にしたのは

こんな学園(せかい)にしたのは

いったい

誰?


―――――――――――――――――――――――


「でさーそんとき俺、言ったわけよ」

「やっぱ面白いよなー。お前の話」


話したくて話している訳じゃない。誰一人分かってくれない。こんなつまらない世界


「抜け出したいよ」

「ん?なんか言った?」

なんでもない、と言ってから俺は席を立とうとしたが、ある男子生徒に呼び止められてしまった。


紗塔 伊織(さとう いおり) 15歳 男。

自分で言うのもなんだが、クラスの人気者。告白された回数は数えきれない。

無理に笑顔作って生きてくのにも疲れた。この私立風合瀬(かそせ)学園の日常をぶっ壊してくれるような、そんなことが起こらないか常に考えている。良く言えば想像力豊か、悪く言えば厨二病。


いつものようにそんな事を考えていたらガッとマイクが入る音がした。

いつものような朝の放送。いつもの様に席につく人、『じゃあね』と言って自分のクラスに帰る人。


『レディース&ジェントルメン!これから学園デスゲームを初めまーっす!』


……………………は?

女子グループは固まって、男子は驚いたような顔をしていた。久し振りに笑顔以外の表情をした気がする。

『あ、イタズラなんかじゃないですよー。まじまじ』

先生が駆けつける頃だろうと思ったが、足音がいつまでたっても聞こえてこない。

『センセー達はもう居ませんよー、私が消したからねぇ』

驚きの声の中に『何なの?』『イタズラ、だよね…』

などの恐怖の声が混じってきた。

馬鹿なヤツだ。こんなのただのイタズラ好きの不良生徒の仕業だろう。


黙れよ。


『それでは、ルール説明でも』

「うるさい!!!」

物静かな女子が、痺れを切らして叫んだ。

「おかしいよ、こんなの。イタズラでしょ。いたずらなんでしょ!ねえってば!」

泣きそうな声だった。「大丈夫?」と心配する声も少し(かす)れている。

『あー、まだ大半の人は嘘だと思ってますねー。私は気の利く後輩でもないし、イタズラ好きの不良生徒でもありませんよー』

心を読まれた感じがして気持ちが悪い。

『私はただの道化師(ピエロ)ですよー』

道化師、ピエロ。

『ただ、私は皆様のつまらない学園生活に終止符を打ってあげようとしただけですよぅ』

それはありがたい。と思ったがこれは相当ヤバい事態だ。

ざわめきがより一層大きくなった気がする。

余計なお世話?そんなことは無い。


「むしろ楽しーじゃん」


独り言のはずが大きな声になってしまった。だが、放送の音で掻き消された。


『それでは、うるさい皆様は置き去りにして、ルールを説明しますよ。』

言葉だけ聞くと怒りを含んでいるように聴こえるが、感情の変化など一切無い。台本でも読んでいるのだろうか。


『さて、ルール其の壱、一人一部屋、自分の拠点を与えます。ルール其の……って、めんどくさいですねぇ。ルールブックを置いておくので、読んどいてください。それでは、さよーならー。また会いましょー』

独り言のように早口で言い切った。バチリとマイクが切れた。

頭が痛い。眩暈がする。

「っ……」

突然視界が真っ暗に……


――――――――――――――――――――――


目を覚ました時、そこは俺のクラスではなく、謎の教室だった。廊下に出ると、部屋の数が倍以上に増えている。ここが俺の拠点だと考えるとこの部屋の数も頷ける。なのに話し声一つしない。

「何なんだよ……」

いつも、この世界の人間が自分しか居なくなったら、だとか、

ある日突然異世界に転生してしまったら、だとか、そんなことを考えていた。

「まさか本当にこんな事になるとはな……」

これはこれで楽しむべきなのだろうか。ピエロが言うには『ゲーム』らしい。


部屋を見回した。ルールブックが見当たらない。あるのは箱のみ。

箱を開けるとそこには

首輪、腕時計(?)、ルールブック、そして謎の紙。

「首輪って……何なんだよ」

気持ち悪いぐにゃぐにゃとした模様があしらわれている。

つけてみた。特に何も起こらない。

ルールブックを開くと、ルール説明が長ったらしく書いてあった。

大事なところだけ抜き出すと、


・ここは俺の拠点。好きな様に使って良し

・ゲームネームは必ず設定。

・ゲームネームとは、自分の名前のアナグラム

・自分の本名を言い合えばその二人はタッグになる

・一人二つ魔法があたえられる。

・魔法の使い方は、人によって違う

・ステータスは腕時計で見られる

・首輪は自爆ボタン


自爆

自殺。


その言葉にゾッとした。

思い出せない

思い出したくない。


気分を切り替え、ゲームネームを考える事にした。

紗塔伊織。

アナグラム。言の葉遊び。

「satou...iori...sota?」

おりい

おりい そうた

オリイ ソウタ

檻井 蒼太

これが俺のゲームネーム。

そう呟いた瞬間、付けていた腕時計から冷たい機械音がして、半透明のモニターが映し出された。

「ゲームネームガセッテイサレマシタ」

一瞬、ほんの一瞬、モニターに自分の顔が映った。


薄紫色の髪、勇者(ナイト)のような服。

雪のように白い肌。


「どういう事なんだよこれは!!」

流石の俺でも動揺した。動揺しまくった。


「有り得ない……有り得ない……」

何か腕時計が喋っているが、何も聞こえない。

どういう事だ。他のみんなもこんな状況なのだろうか。


さっき一瞬自分の顔が映ったモニターに目を向けると、

『ステータスLv1 初期魔法 Talkative(饒舌)

学園デスゲーム。これでどの様に戦えと。


仕方がないので、さっき置いておいた謎の紙を開く。

【最後に生き残ったタッグ又はプレイヤーは脱出可能】

最後に()()()()()プレイヤー。

最後まで()()()()()()プレイヤー。

「なるほど……な」

花曇りの空。抱え込んでいた物を今にも落としてしまいそうだ。

可笑しい魔王(ピエロ)を倒す為、勇者(愚者)は呆れて

動き出す。

前書きで関係ないこと話してすいません。

読んでくださってありがとうございます!

次回からグロシーンが出てくる可能性があるので、気をつけてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ