表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
饒舌勇者と寡黙な狼  作者: 空宮 こがも
第1章 出会い
1/5

プロローグ【1】それぞれの始まり 花依の場合

初めまして。空宮こがもです。

まだ書き始めたばかりなので、所々おかしい所があるかもしれませんが、読んでくれると嬉しいです。


「ねぇ、本当は嫌いなんでしょ」

「……」

答えられない 応えられない

答えたくない。

こんなことになったのは

こんな事をしたのは

誰?

――――――――――――――――――――――――


「昨日のドラマ少し涙目ー」

「あの最後は泣けたー」

「ねぇ、どう思う?」

「ぁ、うん、よかったよね。」


いつもの会話を耳にする。一緒に話したいとも、仲間に入れて欲しいとも思わない。

「ねぇ、あいつ、今日も一人?」

「ちょっと、かわいそーじゃん」

「なんだっけ、あいつの名前。トイレの花子さん?」


「......煩い。」

いつもの事なのにどうも慣れない。ヘッドフォンをしていても笑っている声だけが耳に届く。

嫉妬とは怖いものだ。少し人より優れているだけで妬まれる。名前は花依だっつーの。かいくん、かいちゃんなんて呼ばれた試しがない。

真織花依。15歳。女。IQ130。


進学校の風合瀬かそせ高校にも楽々合格出来た。

「なのにこれは酷いって。」

中学生の時から何も変わってない。『学年一位の成績を取りなさい!』と言われ続けて早9年。

学年一位な訳が無い。人より少しできるだけ。

「放送、行かなきゃな。」

係の仕事位は真面目にやる。「真面目ぶってる」と言われることにはもう慣れた。

ブツッとマイクの電源が入る音がした。今日の当番は自分だった気がする。気の利く後輩だ。


『レディース&ジェントルメン!これから学園デスゲームを初めまーっす!』


……………………誰?



変声機を使ったような甲高い声だった。

「なに?」「イタズラ?」「ヤバくない?」

ざわざわと教室、廊下、校庭でたくさんの人の声が聴こえる。不思議と私は冷静だった。こういう所が冷たいと言われるのだろう。

『あ、イタズラなんかじゃないですよー。まじまじ』

そろそろ先生達が放送室に駆けつける所だろう。でも先生の声が聞こえない。

『センセー達はもう居ませんよー、 私が消したからねぇ』

教室内では驚き、そして恐怖、怯える声が聞こえてきた。


煩い。


『それでは、ルール説明でも』

「うるさい!!!」

クラスの人の一人が叫んだ。

「おかしいよ、こんなの。イタズラでしょ。いたずらなんでしょ!ねえってば!」

助けを呼ぶ声にも似た、悲痛な叫びだった。

『あー、まだ大半の人は嘘だと思ってますねー。私は気の利く後輩でもないし、イタズラ好きの不良生徒でもありませんよー』

『ただの道化師ピエロですよー』

道化師、ピエロ。

『ただ、私は皆様のつまらない学園生活に終止符を打ってあげようとしただけですよぅ』

殆どの生徒は『余計なお世話だ!』と思ったことだろう。ただ、私は違う。みんなと違う。頭がいいから?違う。


「――――から。」


独り言のつもりが、思わず声が大きくなってしまった。だが、放送の音で掻き消された。


『それでは、うるさい皆様は置き去りにして、ルールを説明しますよ。』

感情の変化が見られない、平坦な声でいった。まるで台本を読んでいるようだ。


『さて、ルール其の壱、一人一部屋、自分の拠点を与えます。ルール其の……って、めんどくさいですねぇ。ルールブックを置いておくので、読んどいてください。それでは、さよーならー。また会いましょー』


ブツリとマイクが切られた。その時、視界が揺らいだ。眩暈がする。吐き気がする。気持ち悪い。



――――――――――――――――――――――――


目を覚ました時、そこは私のクラスではなかった。廊下に出ると、圧倒的に部屋の数が増えている。人は他にもいるはずなのに物音一つしない。

ここがあの道化師が言っていた拠点というやつだろうか。


それにしても広い。広すぎる。教室のはずなのに、机や椅子が一切無い。あるのはベット、食料が入った冷蔵庫、コンロと水道、そして、ルールブック。

ブックと言う割には、箱のような形をしていた。というか、まんま箱だった。その中に腕時計のようなものと首輪が入っていた。真ん中に不思議なデザインの模様が入っていた。


そして、謎の腕時計。とりあえず付けてみた。冷たい機械音がする。まだ何も映らない。仕方なくルールブックを開いた。たくさんの事が書いてあったので、簡潔に説明すると、


・ここは私の拠点。好きな様に使って良し。

・ゲームネームを設定しなければならない。

・ゲームネームとは、自分の名前のアナグラム。

・自分の本名を言い合えばその二人はタッグになる。

・一人二つ魔法があたえられる。

・魔法の使い方は、その魔法の名前を言うだけ。

・ステータスは腕時計で見られる。

らしい。何故か手鏡が最後のページに挟まっていた。


身だしなみを整えろと、そういうことなのか。

魔法の鏡という訳でもなく、ただの手鏡だった。

そこに映っていたのは


人狼

狼の耳が生え、鋭い八重歯が生え、鋭い目つきの狼。


「え、は?ど、どういうこと?」

状況を整理しよう。

・手鏡を覗く

・人狼が映っている

・お尻に違和感

・尻尾が生えていた

「ちょっと待ってどういうことなんか見た目も変わってるし私のメガネどこいったしかもこの髪はなんだこの髪は!」


思考がついてこない。ショートカットの真っ直ぐな黒髪は、所々はね、腰まで伸びた茶髪になり、瞳の色が吸い込まれるような青と、透き通るような黄色のオッドアイ。

「どうすればいいの……」

取り敢えず冷静になろう。まずはゲームネームからだ。

「えーっと、自分の名前のアナグラム?」

アナグラム。文字を入れ替え、全く違う言葉、意味にすること。

「まおりかい、maori kai、真織花依」

平仮名で、ローマ字で、漢字でという縛りはないので、一番沢山のパターンがあるであろうローマ字でアナグラムを作ることにした。

「maori kai mio raika mirai…」

Mirai Ako

ミライアコ

未来 亜子。


「これが私のゲームネーム」

そう口にした瞬間、腕時計からカチャリと音がした。

『ゲームネームガセッテサレマシタ』

機械音声が流れる。その時、私の前に半透明のモニターが写し出される。

『ステータスLv1 初期魔法 silent(寡黙)

サイレント?寡黙、静かという意味だ。

「これを使って何をしろっていうの…」

その時、箱の底に紙が入っていることに気が付いた。

【最後に生き残ったタッグ又はプレイヤーは脱出可能】


最後に()()()()()プレイヤー。タッグ。

生きるか死ぬかのデスゲーム。

「そういう事か」

窓の外を見る。今にも泣きだしそうな暗い空。

『タダイマノシボウシャ8人』

8人、少ないのか多いのかがわからない。

「もう始まってるって事…」

狂いに狂ったこの小さな学園(せかい)を壊す為、私は静かに動き出した。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。

最近本当に寒いので、暖かい部屋でゆっくり執筆しています。次回 プロローグ【2】それぞれの始まり 伊織の場合

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ