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実験室の棚

昼間とも思えない暗さの吹雪の中、薄手の白い着物を纏った女が歩いている。

青い帯を締め、雪原を歩くさまはさながら幽鬼のようである。

風のせいではなく元々乱れている長い長い腰を過ぎるであろう黒髪がそうさせているのであろうか


いつしか雪原は終わり、樹氷の森へ裸足の寒々しい足を踏み入れる

かき揚げるように手櫛で髪をすき、懐から出した簪で丁寧に艶を含んでいる髪を纏める

纏めてもなお華奢な背中に垂れる髪はやはり長く美しい

『ユキさま』

森の中に木霊するような声は女に語りかける

つい・・・とあげた視線の先には白いフクロウが他より少し低い樹氷のてっぺんに止まっている

わずかに見えた顔は美しく整っている。

「セツ、どうしたの?」

フクロウから目を離さずに声帯を静かに震わせ風鈴のような小さく儚い声が広がる

いつのまにか吹雪は止んでいた

『ユキさま・・・』

呟くように名前を呼ぶと誘うように森の奥へ姿を消した。

「もうすぐなのね、セツ・・・」

フクロウの後を追うように森へ消えた


『モウスグ春ガキテシマウノネ

マタ、冬ニナッタラ会イマショウネ?』


姿は見えず、寂しそうな声だけを残して


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― 新着の感想 ―
[良い点] ひんやりとした空気を感じるかのようでした。もの悲しくも静かで美しい作品でした。
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