対奈町2
奈町のマウンドには軽沢だ。
「うーし打っちゃるか」
バッターボックスには明智。第1球、投げた打ったーレフトフライ。この後2者連続三振でチェンジになった。
「何やってんだよ田無〜」
「しゃあねえだろ黙ってろ」
この後田無はエラーをし、何とか川山は踏ん張ったものの危ない状況に陥った。
「チェンジ!」
『2回裏、加美高校の攻撃は、4番、セカンド、中西君』
「うしやるかー!!!」
ここぞとばかりに大声をあげ、もはや馬鹿に見える程素振りをし、中西毅義は打席に入った。
「なげえよ中西!」
「良いんだよ!!」
そしてやりたかったホームラン予告をやり、意気揚々としながら構える。
「馬鹿かお前は!」
「はっ馬鹿はテメーだ!!」
ズドン。
「ストライーク!」
「何だよあんだけ言っといて見逃しかよ!せめて振れ!」
「やかましい!こっちゃこっちゃでやりてえ事があんだよ!」
「ならやれよ!」
スパァン。
「ストライークツー!」
「スライダーとはまたまたイカすね」
「つーか手ぇ出せよ」
「へいへい振りゃ良いんだろ振りゃ」
軽沢が振りかぶる。そして腕を振り抜いて投げる。しかし軽沢の球はキャッチャーミットには入らなかった。
カキィーン!
「はああああああああああ!?」
「スタンドイン!!」
中西の打った球はそのまま一直線にバックスクリーンに直撃。
「はははは参ったか軽沢!」
「流石だな中西毅義」
「まあな」
「ちょっとは謙遜しろよ!」
「無理だな」
「はははは馬鹿だ」
「何だと!?」
『5番、ショート、中野君』
そしてここから凄まじい反撃を見せた加美高校。中野がレフトスタンドにぶちこむと、野間、轆轤、剣持が連続ホームラン。
『9番、ピッチャー、川山君』
「くそっ、今度は抑えてやる」
しかしその思いも虚しく川山はセンター前にヒットを放ち、それから加美打線は右に左に乱れ打ち。一挙13点を挙げこの回を終えた。