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スタメン

中西毅義。今、打席に立つ。

『4番、セカンド、中西君』

ウグイス嬢の声が響き渡り、甲子園が揺れる。ラッパの音が響き、観客は大声で『打て』だの『頑張れ』だの言ってくる。ホームラン予告をすると、観客は待ってましたと言わんばかりの歓声。俺はいつも『ホームラン予告』をしてみせる。たとえ相手が奈町でも。

そしてピッチャーが投じた第1球を叩く。飛ぶ。飛ぶ。飛ぶ。入る。

『おー、一振り!』

村山の呑気な声。しかし嬉しそうな声。観客は大騒ぎ。一躍ヒーローに・・・・・・・・・・・・・・・・・

そうっす。夢っす。まだ甲子園にも行ってないっす。奈町との試合を明日に控えた俺達は、猛特訓をし、尚且つ明日の作戦を頭に叩き込んだ。『バントの基本的な転がし地点』とか『盗塁の使用箇所』とか。

「では、明日のスタメンを発表する」

ついに来た。

「1番、センター、明智。

2番、レフト、村山。

3番、サード、田無。

4番、セカンド、中西。

5番、ショート、中野。

6番、ライト、野間。

7番、キャッチャー、轆轤。

8番、ファースト、剣持。

9番、ピッチャー、鎌ヶ谷。以上!」

「・・・・・・は?」

高田五郎がキョトンとする。当たり前だ。対奈町戦のスタメンに自分の名が無いのだから。この前『田無馨』の章で『中野彰文 ポジションはサード、外野』と書いていたが中野は何処でも守れる。打てて走れて守れる野手なのだ。なのでショートには中野が入り、サード田無、ライト野間になっている。何故かスタメンに佐々田、高田、奈良、川山の名が無い。

「っちょっと待って下さい、何で俺らがスタメンじゃ無いんですか!?」

「温存だ、我慢しろ」

矢垣監督はスパッと言った。

しかし高田と川山と佐々田と奈良が抜けた状況で戦うのはきつい。相手は奈町と言えど軽沢が居る。軽沢は最近特に調子が良いらしいので、油断出来ない。しかも奈町はこの前の練習試合で出さなかった4番・キャッチャーの田口と5番・ファーストの渡邊を出すらしい。更に怪我で休んでいた1番の福神が復活し、主力勢揃い。今年の奈町は楽観出来る戦力で無いのだ。

しかしその心配をよそに皆はラーメンを食いに行ったらしい。皆中西さんのラーメンが気に入ったらしく(俺も)、頻繁に通っている(俺も)。俺も後で行こ。

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