紅白戦1
中西
「っしゃ始めるぞー!」
俺、中西毅義は叫ぶ。
今日は珍しく監督が紅白戦をやろうと言い出し、実施に至った訳だが、矢垣監督が実戦練習をやろうとするのは極めて珍しい。普段は大体基礎練習で終わる。実戦は大会のみで、練習試合すらやらない。しかし、と思う。紅白戦は18人必要だ。今部員は15人だ。どう見ても足りない。それ所か割り切れない。
矢垣
「じゃあ、始めるぞー!今日は緊急助っ人として場穴君と多尾留君と田無君に来てもらった。コイツラは初体験だが田無は運動神経が良い。チーム分けは籤引きだ」
って言われてもバケツとタオルと初心者を混ぜてやれってか、おい。
クジを引くとビックリ、場穴も多尾留も田無も野比も皆こっち。こりゃあきついぞ。オーダーは赤が
1右 場穴
2三 田無
3投 鎌ヶ谷
4二 中西
5左 野比
6捕 轆轤
7中 明智
8遊 多尾留
9一 剣持
白が
1中 佐々田
2二 村山
3遊 高田
4捕 奈良
5三 中野
6左 野牧
7一 野間
8投 利根川
9右 川山
だ。明らかに釣り合わない。主力対補欠だ。場穴や多尾留が戦力になるとは思えん。ちなみに場穴のフルネームは『場穴ポリ』、多尾留は『多尾留百円』だ。ポリバケツと百均のタオルという事が丸分かりの名前だな。
野比
「てか何で僕が5番なの!?」
剣持
「テキトー」
今回選手兼監督を務める剣持太郎がサラリと答える。相手の監督は奈良、球審は矢垣監督だ。
矢垣
「プレイボール!!」
さあ、久々の実戦だ。