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土曜・1

朝、目が覚めて1階のリビングに向うと人の気配がした。

ハルトさんかな? そう思い声を掛けた。

「おはよー、早かったんだね」

「雫。随分、早起きだね」

その声に私は凍りついた。

そこに居たのはハルトさんではなく祖母だった。

「お、お婆ちゃん……」

ソファーにゆったりと腰掛けて紅茶を飲んでいる。

祖母の姿は優雅と言う言葉以外に現しようが無かった。

北欧の血が入るクォーターらしくウェーブした髪の毛は白髪でもなく銀色と言えばいいのだろうか不思議な色をしていた。

彫りの深い顔には人生の皺が刻まれていたが、品のある顔つきだった。

祖母の年齢は良く知らない、何度聞いても『レディーに歳を聞くなんて、マナー違反だよ』の一点張りで教えてくれないのだ。

そんな事より、祖母は礼節を重んじる人で曲がった事が大嫌いな人だった。

それでも、私には優しくしてくれるから私も大好きなのだけど……

「雫、そこに座りなさい」

「は、はい」

いつに無く静かで威厳のある声に気圧されて、祖母の前に座り俯いて祖母の顔色を伺う。

「誰か居るのかい?」

「…………」

「ガレージのミニは誰のだい?」

「ミニ?」

「ミニ・クーパと言うんだよ、あの車の名前だ」

「それは、その……」

どう説明していいのか判らずに押し黙ってしまった。

ここに連れて来たのはお礼のつもりだったけれど、一緒に居て欲しいと言ったのは私だ。

私が連れ込んだと思われても仕方が無いだろう。

でも、吸血鬼なんて言っても信じてはくれないだろう。

それにそんな訳の判らない人を連れ込んだなんて……

「上に居るのだろう。起こして連れてきなさい」

「は、はい。判りました」

祖母に言われて重い腰を上げる。

恐らく朝の散歩の途中で家の前を通りガレージに止めてあったハルトさんの車を見つけて不審に思い、合鍵で家に入り私が起きるのを待っていたのだろう。

溜息をつきながら階段を上がる。

ハルトさんが先に祖母に出くわさなかったのが不幸中の幸いなのかもしれない、そんな事を考えながら私はハルトさんが寝ている両親が使っていた部屋に向った。

ハルトさんを起こして二人でリビングに向う。

私の鼓動は乱れたままだった。

そして、私は目を疑った……



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