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2話 地底の現状と旅立ち

ファティ「まったく硬い椅子、魔王様の柔らかく整ったお尻を

痛めてしまう、魔王様このファティの膝にお座りください」

エスロン「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

ファティ「いえ魔王様!こんな安物の椅子に座るくらいなら

立っているほうがマシです!ですが立ったままではお疲れに

なられるでしょう、ですから私のお膝に座っていてください」

エスロン「(何言ってもダメみたい…)わかったよ…」

ファティ「はい、では膝へ♪」

ガルトクス(その椅子一様…最高級の一品なんだが…)

「あの~魔王エスロンさんファティさん…色々お聞きしたい事が

あるのでお食事しながらでもお願いできますか?」

エスロン「良いよ、僕もあの緑の地上人の事が気になるの」


あの惨劇の後エスロンやガルトクス達は一度城に戻って

疲れを癒す為に休むことにしたのだが殆どは精神的な

疲労にて寝込んでおり城の医務室に収まりきらない状態である

一息ついた所で大臣はエスロンに緑の人種やなぜ地上に

現れたことなどを聞くべく質問を始めた


ファティ「何?あの醜い奴は地上の者ではない?」

ガルトクス「ああ、少なくともあのような人種は今まで

見た事が無い…全くの新種としか思えないのだ」

「見た所魔族に少し似ている特長があります、何か心当たりは

無いでしょうか?例えば突然変異の亜種とか」

ファティ「確かに魔族に似た感じがあるが私は見た事無い

兵士達の報告書を見れば確かに再生力と魔力耐性はある様だが

魔王様を初め、一般魔族に比べても能力はかなり劣る」

エスロン「うん、魔族の色んなハーフはいるけどあんなのは

見た事も無いし魔族は全員地上には勝手に出られないんだ

勝手に出ようとしても地上までの移動魔法は代々の魔王と

近親者、それ以外ではファティみたいに信頼された直属の

重役だけしか知らないんだ」

ガルトクス「そうか…そういえば何故あなた方は地上に?

私達は魔王を召還しようと何度も召還儀式をしたんですが

数日立っても何の反応が無かったのだが何かあったのか?」

エスロン「召還儀式?…もしかして腐った肉を使った?」


エスロンとファティは何か思うことがあるのか表情を歪める


ガルトクス「使ったが…やはりまずかったのか?…」

エスロン「ううん、初代魔王だったおじいちゃまの好物は

腐った肉でちゃんと正しく召還儀式はできていたよ…ただ…」

ファティ「処分に大変迷惑したのだ」

「それは…知らずとはいえ大変なことを…」

ファティ「その通りだ!ただでさえ地底には死活問題が

発生しているのに余計な事を起こしおって!」

「ひあっ!!」


よほど切羽詰った問題があるのか食って掛かるが

膝のエスロンは必死に押して止めようとしている


エスロン「ファティ駄目だよ!魔族の中でも飛びぬけて悪食の

おじいちゃまも悪いんだよ、おじさん達だって国を救おうと

必死だったんだから許してあげようよ、それに僕達は旅に

出るために地上に来たんだからそろそろ行こうよ」

ファティ「そっそういえばそうでした…御優しい限りです

魔王様、確かに私達には大事な用事があるから早々に

ここを立ち去りましょう」


今にも暴れそうなファティにエスロンは本来の目的を

思い出させて上手く怒りを抑えた


ガルトクス「そういえばどうして二人は地上に来られたのかな?

良ければ話して貰えるだろうか?」

ファティ「話を聞いていたのか?私達は急ぎの旅の途中だ

貴様等に話してる暇はない!」

エスロン「実は地底では凄く困った事が起きてるの、それで

地上の一番高い山まで調べる事になったの」

ファティ「その為に魔王様は父上である先代魔王の命を受け

不本意ながら地上まで登ってきたのだ」

(急ぎの旅ではなかったのですか…)


さっきまで急ぎの旅と言って今にでも出発しそうだったのに

エスロンが説明し始めたとたん急に態度を変える


ガルトクス「一番高い山…ロレートル山か、そこに地底と

何が関係しているのだ?」

エスロン「その山には地底に太陽の光を送る地底の秘宝が

あるんだ、その秘宝に何かがあったみたいで太陽の光が

送られなくなって地底が真っ暗になっちゃったんだ」

ファティ「亡き初代魔王様がお作りになった秘宝、吸陽石の

おかげで地底にも昼と夜が入れ替わって、我々も地上の様に

生活でき、作物も育てられるのだ」

エスロン「もしこのまま太陽の光が届かなかったら地底は

生活リズムがめちゃくちゃ、作物も育たたずいずれ食糧危機で

地底の皆は餓死しちゃうかもしれないんだ。」

ガルトクス「そうなのか…ところでなぜヴァサシュタイナ魔王は

来なかったのだ?」

エスロン「おじいちゃまはもう死んじゃったんだ…100万年

腐らせた人間の肉を食べて食中毒で死んだの……」


意外と情けない死因でこの場に深い沈黙が包み込む、冗談かと

思ったがファティも渋い顔してエスロンを撫でている


エスロン「まったく…いくら腐った肉が好きだからって

ものには限度ってものがあるのに食べたから……人間は

死んだばっかりの新鮮な御刺身が美味しいのに」

ガルトクス(魔族は死んだ人間の肉を食べると言う話は本当だったのか)

「そういう問題ではないのでは?」

ファティ「んん!?」

「なんでもありません……」


少々ずれた感想を述べるエスロンに大臣はボソッと疑問を言うが

ファティには聞こえてたようで睨まれて身を縮める


エスロン「話が脱線しちゃったね、とにかく僕達はすぐにでも

ロレートル山に行って吸陽石を調べないと…食料もそうだけど

ママは気づかないで何百年でも寝ちゃいそうだし僕だってまだ

山ほどサインや判子を入れなきゃいけない書類があるんだ…」

ファティ「それなのに先代魔王はまだ幼い魔王様に魔王の座を

押し付けた挙句に自分はさっさと隠居、しかも今回の吸陽石の

異変を調べろと命令したくせにその書類等も自分でやれと…」

エスロン「自分が魔王時代にサボりまくった書類だってまだ

残ってるのにそれも僕がやれなんて酷いよ…今度おばあちゃまに

言いつけてやるもん!!」

ファティ「それより先代王妃様に叱って貰った方が有効かと

先代魔王は王妃様に骨抜きですから」


―地底の2代目魔王の寝室―


レートゥティス「ZZZZ~ZZZZ~ZZZZ」


2代目魔王妃レートゥティス、2代目魔王ハルフィンの奥さんであり

エスロンの母親でもある、4万年ほど前に地底まで嫁いで来た2人の

馴れ初めは絵本になり、現代ではお芝居にまでなっているほど根強い

人気を誇るのだがどんな美談にも話せないような裏話があるもの

その一つが魔王妃レートゥティスの性格、とんでもなくのんびりして

行動が遅く、反応が鈍い事で何もしなくても問題を起こしてしまう

現に今は自称昼寝から3年ほどずっと寝ているのである


ハルフィン「今日も良く寝てるな~♪早く起きて天界にでも

デートに行こうよハニ~♪」


2代目魔王ハルフィン・リストブルック・シートチャード2世

放浪癖があり、地上へ行く魔法を覚えてから地上のアッチコッチ

行ってたびたび地底王国を騒がせた、ある日後の妻である

レートゥティスと出会い一目惚れ、絵本通りの馴れ初めとなるが

地底にレートゥティスを連れて帰った直後でとんでもない秘密を

隠していて両親を驚愕させたり、レートゥティスと遊んで暮らす為に

子供が生まれたら英才教育を施してとっとと引退するつもりでいて

事実、3年前レートゥティスが昼寝直後に無理やり魔王の座を譲る

とんでもない父親でエスロンとファティに恨みを買っている

その証拠に……


エスロン「じゃあ両方採用って事で、ママとおばあちゃまがパパを

御仕置きしてるどさくさに紛れて僕達も加わろう!」

ファティ「是非ともそうしましょう!先代魔王は初代魔王様に似て

ちょっとやそっとでは死なないから思いっきりやりましょう!」


引退したとはいえ仮にも王国の最高権力者でもあり実の

父親相手に起こそうとする行動ではないのに本人達は

日頃の恨みをはらそうと盛り上がっている


エスロン「えとえと!おじいちゃまが死ぬ前にくれた……」

ファティ「あれは絶対駄目です!!ついでに2番目から20番目

までの魔法も使わないでください!凄く危険ですから!!」

エスロン「え~おばあちゃまが教えてくれた取って置きの…」

ファティ「ダ・メ・で・す!!言う事聞かないとお尻叩きますよ!」

エスロン「うぅぅ……わかった……」


普段はエスロンにとても甘いファティもよほど危険な魔法なのか

20番目以上の魔法を堅く禁止している、余談だが前に一度

17番目の魔法を試し撃ちをしてしまい地底の開拓地を焦土に

変えてしまった事があった為、エスロンと危険な2~20番目の

魔法を教えた初代魔王妃も一緒にファティとレートゥティスに

それぞれお尻叩きをされてしまった事は新聞の一面にもなって

いまだに有名な大事件である


ファティ「ご理解していただければ良いんです魔王様♪」

ガルトクス「さっき使った魔法はその魔法の1つなのか?」

エスロン「ううん、あれは魔術書で覚えた戦闘用闇魔法の

ほんの基本魔法だよ、おばあちゃまが教えてくれた魔法は

一番弱いのでも小さな島を消しちゃうくらい強力なんだよ」

ガルトクス「なんと!」

「あんな強力な魔法を上回るのですか!?」


ガルトクスは戦場で使った魔法もその禁止魔法の1つなのか

気になって問いかけるのだったが戦場で使った地獄絵図の

魔法ですら大した事無いように言って除けるエスロンに

大臣共々驚愕する


ファティ「独学で覚えた魔法の中でもあの魔法は魔王様にとって

初級部類に入るのです、しかし闇の魔法は威力がある反面、その

リスクも高いのだ、魔王様の実力なら心配ないのですがなるべく

禁止しているのです、私はこれでも常人範囲では上位に位置する

程の魔法を嗜んでいるが魔王様の基本にも及ばない…まだ4千歳の

若さで魔王の座に就き、3界でも最強クラスの魔術を嗜んでるのは

魔王様が優れた才能の努力家であるためだ」

エスロン「ファティ褒め過ぎだよ////僕なんかまだまだだよ、死んだ

おじいちゃまは武術も凄かったし、おばあちゃまは僕の知らない

魔法がまだいっぱい知ってるし、天界の神様だって自然の魔法が

凄く安定しているし、パパはなんだかんだで本気になるとなんでも

できるからね…その才能をもっと国の為に使えば良いけど……」


エスロンは謙遜するがファティの言ってる事は紛れも無い

事実である、幸か不幸か先代魔王に引退目的とはいえ

物心ついてすぐに英才教育を施された為、魔法の技術は

5本指に入るのである


ファティ「まったくです!この間は魔王妃様に綺麗なティアラを

作るとか何とか言って3界の金銀宝石類と魔法薬を適当にごちゃ

混ぜにして錬金魔術を実行したにもかかわらず成功しましたね」

「その錬金魔術と言うのはそんなに難しいのですか?」

エスロン「難しいよ、たった一滴の薬の量の違いでも失敗するし

材料と薬によっては正しい順番や分量、熱し方とか色々注意して

気をつけないと拒絶反応起こして簡単に大爆発しちゃう程危険で

錬金内容によっては技術免許だって必要なんだよ、それなのに

僕の研究室に勝手に入って貴重な薬や材料と道具を使ってパパは

やった事の無い錬金魔術を成功させるんだもん、立場無いよ……」

ファティ「しかも凄く綺麗なティアラでしたね……」

エスロン「……思い出したら腹が立ってきたよ、ファティ

いい加減もう行こう、早く異変を解決して地底に帰って仕事とか

片付けないといけないし、食料も限りがあるから時間も無いよ」

ファティ「そうですね、あの醜い生物の事は気になりますが

先を急ぎましょう、兵士に世界地図とコンパスを用意させました

のですぐにでも出発できます」

エスロン「それじゃあ行こうよ、おじさん達僕達もう行くね」

ガルトクス「ああちょっと待ちなさい!!」

エスロン「ん?どうしたの?」

ガルトクス「直接ロレートル山に行くのは自殺行為だもうすぐ

日も暮れるから山に行くのは止めた方が良い」

ファティ「日が暮れる位問題は無い、だがなぜ山に直接

行くのは自殺行為なのだ?」


魔王の実力を目の当たりにしたにもかかわらず危険だと

忠告するガルトクスに流石のファティも気になっている


ガルトクス「ロレートル山は世界一高い山だけあって気流が

激しく乱れており、空を飛んでいけば飲み込まれてどんな

所に飛ばされるか分らない、鋭く突き出した岩が所々に

生えているから串刺しになった者も数十名に上る」

「さらに山の周辺は雷雲が発生していてとても近づけない

地道に徒歩で山まで近づいて上るしかないのです」

エスロン「それじゃあとても飛んでいけないね、じゃあ

今日は山の近くの町まで行って山登りの準備をしようよ」

ファティ「地図によりますとサラマンダー国という王国が

一番近いですね、この距離なら夜までに着けます」

ガルトクス「サラマンダー国か……」


何か気になる事があるのかガルトクスはうつむいている


ファティ「どんな国なんだ?」

「あの国のお姫様はプライドが高くてとても好戦的なんです」

ガルトクス「それに珍しいものや騒がしい事が大好きな性格で

両親も手に負えない程なのだ、あなた方が魔王とその従者と

知れたら面倒な事になるはず、なるべく目立たないように

行動して山に向かうと良い」

エスロン「パパ以外に面倒な王族がいるなんて信じられないな

……ただでさえ魔族の僕は青肌だから目立つから何か上着で

肌を隠した方が良いね、あとファティ」

ファティ「何ですか?」

エスロン「魔王様て呼ぶのも止めて名前で呼んでね、魔王って

ばれたらそのお姫様に追いかけられるかもしれないし、信じて

貰えなくても頭の可笑しい人に見られるかもしれないから」

ファティ「承知いたしました魔王…いえ!エスロン様」

(魔王エスロンは幼いがしっかりしていて大丈夫だろうが

問題はファティさんが暴走しないといいのだけれど…)

ガルトクス(それにしてもこんなに幼い子供に魔王の座を

押し付けるなんてとんでもない父親だな…よく非行少年に

ならず良い子に育ったものだ)


そんなわけで色々話が脱線しまくったりしたが次の行き先が決まり

エスロンとファティは今日中にサラマンダー国に向かう事にした

しかしサラマンダー国のお姫様と対面フラグが立っていることは

知る良しも無い


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