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1話 お子ちゃ魔王の力

ファティ「そこの人間!今何が起こってるのか述べよと言っておるのが聞こえんのか!?」

エスロン「ねえファティ…そんなに怒鳴ってるから人間が怖がって喋れないんじゃないの?」

ファティ「なるほど流石魔王様、しかし地上の人間はここまで腰抜けとは…」


なんだろう…とガルトクスと大臣が思うのも無理は無い、地上にも天人がいるし変わり者の

天人だっているのだがここまで口が悪くて威圧的な天人は今まで見た事が無い、この天人が

魔王なのかと思ったのだが足元の小さな魔族を魔王と呼ぶのだからその答えは間違いと分かる

それでも頭では理解してるのだがどうしてもこの小さな魔族を魔王として見れないのである


エスロン「ねえおじさん達、この地で一体何があったの?もしかして戦争?」

ファティ「戦争ですと!?魔王様危険です!今すぐにこの場から避難しましょう!!」

エスロン「あ!ちょっちょっと待ってよファティ!!」


確かに戦争の真っ最中だがファティと呼ばれた天人はエスロンという幼児魔族を抱えて

今すぐにでも飛び立とうと羽を広げる途中で我に返ったガルトクスはすぐに呼び止めた


ガルトクス「まっ待ってくれ!そなた達は地底に住む魔王とその従者か!?」

ファティ「その通りだ、このお方はエスロン・リストブルック・シートチャード3世

現代の魔王様だ!私達は急ぎの用事があるからもう行くぞ」

「お待ちください!我々はとても困っているのです、どうか……」

ファティ「貴様等の問題など私達には関係の無い事だ!貴様等の手で解決しろ!!」

エスロン「ファティ、話だけでも聞いてあげようよ」

ファティ「流石魔王様!こんな人間の言葉にも耳を傾けるとはなんと慈悲深い!!

このファティはかんぷくしました♪というわけで人間さっさと話せ!!」


本当にこの天人は天人なんだろうか悩むがガルトクスは正体不明の侵略者達と

交戦中で戦況は不利と言う事を伝えて力を貸して欲しいと頼んだが天人の反応は


ファティ「この愚か者!!魔王と言えど幼い子供を戦争に利用しようと言うのか!?

魔王様、いや子供の手を血に染めろと言うのか!?貴様等の人徳はどうなっておる!?」

「そっそれは…確かにあなたの言う通りですが…我々には」

ガルトクス「大臣止めよ!」

「陛下しかし!」

ガルトクス「その天人の言う通り子供にさせる事ではない、いかに力があるとはいえ

血生臭い惨劇の場は子供には必要の無い事だ……私が間違っていたのだ…」

エスロン「………」

ガルトクス「私は魔王の手を借りずともこの国を救うと誓ったばかりだ!!それなのに

魔王が現れた事でその気持ちを忘れてしまった私は不甲斐無い!!」

「陛下……」

ガルトクス「呼び止めてしまってすまなかった、戦場は北西の方角で起こっている反対の

南東には港町がある、もしもの為の船がまだ残っている筈だ、それで逃げると良い」

ファティ「……阿呆、私も魔王様も空を飛べる、いらぬ気遣いだ…だがその気遣いは感謝する」


いままで厳しい顔しかしてなかったファティは礼を言う一瞬だけその表情を緩めた

そして今まで黙っていたエスロンはその口を開いて驚く事を言った


エスロン「戦場は北西だね?ファティ戦場に行くよ」

ガルトクス「なっなんと!」

ファティ「まっ魔王様なりませぬ!!あなたは魔王といえどまだ幼い子供です!

戦いの世界とは無縁で良いんです!お考え直して…」

エスロン「でも僕は魔族の王様だよ!王様は困った人、弱い人を守らないといけないんだよ!

僕はおじいちゃまの様な魔王になるって決めていたんだもん!おじいちゃまは関係の無い

地上と天界の人達を命を懸けて助けて世界を救ったんだよ!僕はおじいちゃまみたいに強くないから

この人達を助けられないかもしれないけど僕はおじいちゃまの様な強くて優しい心を持ちたい!!」

ガルトクス「幼いとはいえなんと立派な……」


幼児であるエスロンの決意の前にガルトクスを始め、大臣や近くにいた国民達も

感動に胸を打たれているいる中であるが…


ファティ「ご立派御座います魔王様ああああああああああああああああああ!!

このファティは死する時までお供いたしますよおおおおおおお!!いざ初陣へ!!」

エスロン「ファティ顔拭いて、涙と鼻が掛かる……」


感動の場をぶち壊しつつもファティはエスロンを抱えてそのまま戦場の方まで

走り去って行った、残されたガルトクスと大臣は気を持ち直してすぐに戦場に向かった

ガルトクスと大臣が外へ出ると既に居たファティとエスロンが2人を待っていた



ファティ「遅いぞこの鈍間!」

「はぁ…はぁ…あなたがいきなり走ったんでしょう!!」

ガルトクス「止めよ大臣」

エスロン「ファティもだよ、話が進まないよ」

ファティ「もっ申し訳ありません魔王様!」

「失礼しました…」

エスロン「それより現状説明してください、今こっちの方に人間達が来てるけど

負けてこっちに逃げてきているの?」

「いえ、中庭に向かう前に通信で城の兵器を利用しながら侵略軍を討つ為に

我が軍を城まで撤退させたんです」

エスロン「なるほど…念の為に聞くけどあの緑の大きい人達は敵だよね?」

ガルトクス「ああ…間違いなく敵軍だ……」


エスロンが指差す先には撤退しているシェラルブール兵思われる人間と天人に

地上の様々な獣人達などが見える中、その後ろには緑の肌に遠めでも2メートルは

あるのがわかる巨体の侵略軍の姿が有った、ごついし顔も怖いから正直気色悪い


ファティ「なんと醜悪で醜い姿…魔王様のくりっとした御目々が汚れる!!」

エスロン「僕も近くで見るのはやだ…ファティ、使っちゃダメって言ってた

あの闇の魔法を使っても良いかな?現状では一番正確に狙えるし…」

ファティ「承知いたしました、ですが今回だけですよ」

エスロン「うん…」


エスロンは自分の羽で10メートルほど空に飛び立つと目を閉じて

詠唱を始めた、何かの魔法で侵略軍を先制攻撃して足止めをするのだと

ガルトクスと大臣はそう思ったが上空から急に寒気が放たれた

上を見ればエスロンの周りに黒い霧の様な物が漂いその黒い霧は

さらに上空へと上ると霧は太陽を背にして影を生み侵略軍だけを覆う


エスロン「孤独なる闇に残された死者達よ、光から見放され影の上に立つ者達は

彷徨う君達の仲間である、さあ今すぐに迎えに行きこの世から連れ出してあげて」


エスロンが詠唱を唱え終わると侵略軍の行進が突然止まった


ガルトクス「なんだ?敵軍が全員止まって…いや転んだぞ!」

「いえ!なんだか様子が変です!?これは一体…」

「うわあああああああああ!!」


何が起こったか遠目では分からなかったが近くまで撤退していた

前衛軍はその場を見れたのか急に悲鳴を上げている


「てっ敵軍が捕まった!!俺等も捕まるのか!?」

「なんなんだこれは!?魔法か!?こんな魔法が存在するの!?」

「にっ逃げろ巻き込まれるぞ!!」


その惨劇に恐怖した兵士達は急いで城まで戻っていった、逃げてきた兵士達は

ガルトクスに避難するように伝えるがガルトクスは何があったか問いただした


「国王お逃げください!あれはやばすぎます!この世の地獄です!!」

ガルトクス「落ち着け!一体何が起こったのだ!?」

「急に侵略軍が影に覆われたと思ったら突然転んだんですがただ転んだんでは無いのです!

影から手が現れて侵略軍を捕らえて影の中に無理やり引きずり込んでいったんです!!」

ガルトクス「なんだと!?そこをどいてくれ!!」

「王!危険ですお止めください!!」


ガルトクスは兵士達の制止を聞かずに兵士達の中を掻き分けてその場までたどり着くと

先ほどの話通り、侵略軍は影から現れた手に捕らえられて引きずり込まれていた

侵略軍は必死にもがいて脱出しようとしているがその分手が増えてさらに引きずり込む

侵略軍の殆どは下半身が埋まり、中には腕や首だけ影から出ている者もいる

ガルトクスはこの光景に言葉が詰まった…その次の瞬間


「ぐっぐぎゃあああああああ!!グバァッ!」

[ブシュシュ!!ブチィィィ!!]

ガルトクス「………え?……」

「ーーーーーーーー!!ッ!??」

[グシャッ!ブッシュー!!]

[ゴキゴキゴキ!!グシャ!!]


ガルトクスと兵士達の目の前はまさにこの世の地獄と呼べる程の光景になった

影に捕らわれた侵略軍は次々と影から出た部分から切り離されて宙を舞う

上半身・腕・手・首・顔の半分などが血潮を散らしながら宙を舞うのだ、正常な

人間ならまずこの光景耐えられる筈が無い、事実兵士達の殆どはこの惨劇に

腰を抜かして失禁して震えてたり嘔吐して崩れ落ちる者がいる、恐怖によって気絶して

いる者はまだこの惨劇を見る時間が少ない分運が良い方であろう、その中ガルトクスは

思考が凍りついているがこの惨劇を前にしても立っているだけあって賞賛に値する


ファティ「流石魔王様!華麗に一瞬で決着をつけましたね♪」

エスロン「でも…気持ち悪くてついこの魔法は使っちゃったけど…

止めとけばよかった…おじさん達凄く怖がってる……」


既に降りてきてこちらを心配してる目でこちらを見ているのだが私達は

この幼児が間違いなく魔王であるのを脳裏に焼き付ける思いで確信した

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