第37話 夜の帳と這い寄る小鬼
約3か月ぶりに投稿です(ーー;)
全快したわけではないので、当面は、不定期更新になりますが……
続ける意思の表示のために、書いてみました(`・ω・´)
野営の中心にある焚き火が、ほのかに辺りを照らしていた。
一体の小鬼が、仰向けに倒れた。
ウィルは、その胸部に片手剣を突き立てて止めを刺した。
アルトが松明を掲げ、周りを見渡して肩をすくめた。
「正確な数はわからないけど、最低で20体はいるかな?――セルヴァ?」
焚き火の傍に控えていたセルヴァは、頭を振りながらアルトに答えた。
「厳しいね。姿が見えないと魔法での攻撃は精度が下がる。――少なくとも、僕の手札では難しいよ。」
「地味だけど、夜と地の利を活かしてるってわけかぁ……はぁ……」
アルトがため息をつくと、セルヴァは腰を上げた。
「投擲物や弓矢で仕掛けてくるわけじゃないことが、不幸中の幸いだね。」
「焚き火があるから、こっちの姿は見えちゃうからね……」
ルイが苦笑すると、セルヴァは言った。
「――まあ、魔法攻撃なら、あらかじめかけておいた防御魔法が仕事をしてくれるはずだったんだけど。それは取りこし苦労でよかったよ。」
「小鬼でも、魔法を使ってくる個体は限られてはいるんだけどね。」
ルイが肩をすくめると、セルヴァはうなずいた。
「こういう時は期待値で考えないとね、ルイ君。確率よりも、被害の見込み。」
「たしかに、死んだらおしまいだからね。」
ルイが相槌を打つと、アルトが言った。
「本陣からの索敵情報のおかげで、奇襲は避けられたけど――ここからだね。」
「魔法は相手を引き付けないと使えないし、数は正確じゃないから伏兵が怖いし、制圧までの見込みが立たない。――つまり、動けない。」
セルヴァが頭を振ると、ウィルが言った。
「なぁ、ちょっと、向こうをつついていいか?」
「気持ちはわかるけど、反対させてもらうよ。」
苦笑したセルヴァは、さらに続けた。
「昼間、僕たちは進撃中に小鬼と交戦した。――今日の昼間と、これまでの違い、何だったかな?」
「……逃げなかったな、あいつら。」
ウィルの答えに、セルヴァは微笑した。
「そういうこと。昨日までと違って――小鬼たちは退かない。」
「何もしなければ逃げる小鬼が逃げないのなら、統制されてるんだろうね。」
アルトがそう言うと、セルヴァはうなずいた。
「まあ、統制のされ方まではわからないけどね。それが、恐怖による支配なのか、あるいは神性のような恭順を強いる特性なのかは、ね。」
セルヴァの言葉に、アルトは肩をすくめた。
「その二つはどっちでもいいよ。オレたち――っていうかギルドと王国軍の関心は統制されてるかどうか、だろ?」
「その通りだね。統制の主体――つまり、変異種が現れたことが大事だね。」
セルヴァがうなずくと、ルイは首を傾げた。
「え、でも、この戦いはどうなっちゃうの?」
「――さあね。僕だって一介の冒険者。ギルドと王国との間での政治的な事情には想像力が働かないよ。仮に働かせても、ろくでもない妄想で終わるだろうね。」
松明を掲げ、暗闇に潜む小鬼たちに目をやりながら、ウィルは苦笑した。
「――で、これってオレたち、ずっと朝まで見張るのか?」
「……残念ながら、そうなるね。仮に仕掛けてこなかったとしても、そこに佇んでいる以上、いないことにはできないからね。」
セルヴァがウィルの隣に立つと、ウィルが尋ねた。
「どうしたんだ?」
「ウィル君とルイ君は、焚き火の傍に。天幕の中で交替で休むといいよ。」
セルヴァの言葉に、ルイとウィルが首を傾げた。
「何いってるのさ?」
「オレたちもちゃんと起きてるって。」
そんな二人の言葉に、アルトは首を振った。
「一斉に攻めてきても、オレとセルヴァなら、20体くらいはなんとか捌けるよ。」
「そういうこと。だとすれば、休ませられる人間を休ませた方がいい。全員が疲弊して判断が狂う方がよほど怖いからね。」
セルヴァがそう言って苦笑すると、ルイが言った。
「それなら、セルヴァ君が休んだ方がいいと思うけど。」
「独断は必ず間違うからね。僕一人に負荷を集中させないでくれってことさ。」
――こうして、夜の見張りをアルトとセルヴァが担当した。
そして、ルイとウィルは、焚き火の番と天幕での仮眠を交替で行った。
何体かの小鬼は、単身で向かってきては、アルトに斬り伏せられていた。
セルヴァがため息交じりに言った。
「やれやれ……こちらの緊張を保つためだけに生命を捨てにくるとは。――士気が高いことだね。」
「いや、これ、性格悪すぎだろ……」
アルトのそんな相槌が返された。
そして、夜が明け始めた。
森に陽の光が差し込んできた。
そこに立っていたものの姿を見て、アルトは言った。
「やっぱり、性格が悪いよなぁ……」
「理に適ってる。――適ってるけど、なんだか頭に来るね。」
セルヴァの目が据わっていた。
アルトとセルヴァの視線の先には、数十体の小鬼が群れをなしていた。
そして、その中央に人間の大人ほどの体躯の個体が立っていた。
「うわぁ……最低だね。」
「何だよこれ……小鬼ってこんなに性質悪いのか?」
焚き火を始末して腰を上げたルイとウィルが、小鬼たちに目をやりながら言った。
「「……」」
アルトとセルヴァは、不気味な沈黙を守っていた。
なんて、やらしい小鬼達でしょう(`・ω・´)
「みなさん、おはようございます。
こちらは準備が整いました。
さあ、殺し合いを始めましょう。」
といった状況です。




