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幕間4 受付嬢のため息

さて、受付三人衆の中で、ただ一人だけ通常業務をこなすクラリス。

なお、幕間は作者の息抜きではありません(`・ω・´)

エテルナ冒険者ギルドの受付、その中央(ちゅうおう)にクラリスが(すわ)っていた。

その両隣(りょうどなり)では、黒髪の少年と銀髪の少女がそれぞれ、手元の冊子(さっし)を食い入るように見つめていた。


受付台の前に歩いてきたノエルに、クラリスは微笑した。

「――あら、来てくれたのね、ノエル君。」


ノエルは、自分の髪を(かす)かに()でた。

そして、意匠(いしょう)()らされた封筒(ふうとう)を取り出して、苦笑した。

「ギルド長から直々(じきじき)召集(しょうしゅう)とは恐れ入りますが。――同じお(さそ)いならば、クラリスさんからの逢瀬(おうせ)のお誘いの方が魅力(みりょく)的ですよ。」


ノエルの言葉に、クラリスは肩をすくめた。

「昼間から、配偶者(はいぐうしゃ)のいる相手を口説(くど)くんじゃありません。――もちろん、夜でも受け付けていないけどね。」

「これは失敬(しっけい)。」


気取った動作でクラリスに一礼してみせると、ノエルは続けた。

「ところで、ルナーク君たちがいませんね?」

「その手紙にも関係のあることだけどね。――ちょっと、王国軍(おうこくぐん)とのお付き合いで出張(でば)ってもらっているの。」


クラリスがそう言うと、ノエルはうなずいた。

「エテルナ王国が小鬼(こおに)討伐(とうばつ)のためにイースの大森林(だいしんりん)進軍(しんぐん)した件ですね。」

「ええ、話が早くて助かるわ。」


肩をすくめたクラリスに、ノエルは首をかしげて言った。

「しかし、あの二人が向かっているのならば、僕の出番などありますか?」

「今回、王国軍と足並(あしな)みを合わせて、青銅階位(せいどうかいい)の冒険者を数百名ほど派遣(はけん)しているからね。そのお世話をしているってわけ。」


クラリスの言葉に、ノエルは片目を(つむ)った。

「それはまたずいぶんと、贅沢(ぜいたく)な使い方というか、ズレた使い方というか。」

「まったくだわ。それに、あの二人が特殊(とくしゅ)なだけ。本来(ほんらい)は冒険者に期待(きたい)される能力(のうりょく)じゃないもの。」


苦笑するクラリスに、ノエルはうなずいた。

「ええ。――まあ、冒険者ギルドは人種(じんしゅ)坩堝(るつぼ)ですから。」

「それもそうね。」


クラリスが相槌(あいづち)を打つと、ノエルは受付台を一瞥(いちべつ)した。

それから、クラリスに向き直った。

「――ところで、こんなところでしていい話ですか?」


ノエルが(まゆ)をひそめると、クラリスは肩をすくめた。

「もう言い(ふく)めてあるわよ。――今回の派遣でギルド側が作戦(さくせん)成否(せいひ)を決めることなんてないんだから。」

「それは、あまり人に聞かせる話ではない気もしますが。」


ノエルが苦笑すると、クラリスは淡々と言った。

「受付に座る以上は応援(おうえん)であっても、その程度(ていど)で動じてもらっては困るわね。」

「――かなり、ルナーク君に()まってきたのでは?」


ノエルがこめかみを押さえると、クラリスは苦笑した。

「そうかもね。――まあ実際、口は悪いけれど冒険者ギルドの受付としては大事なことをやってくれていると思うからね。学ぶべきことは学ぶわよ。」

「それはおっしゃる通りですが。」


そして、クラリスは息を大きく吐いた。

「――まあ、軍事(ぐんじ)作戦への対応はあの二人に任せるわ。私の手には負えないし。」

「そもそも、冒険者向けのやり方ではありませんからね。」


ノエルの言葉に、クラリスはうなずいた。

「そうよね。わかりやすい元締(もとじめ)がいて、少数(しょうすう)精鋭(せいえい)暗殺(あんさつ)する――私たち冒険者にはその方が向いているわ。」

「つまり、僕は暗殺作戦のために召集されたわけですか。」


ノエルが肩をすくめると、クラリスは微笑した。

「ええ。黄金(おうごん)階位に(せま)腕前(うでまえ)白銀(はくぎん)階位を十名強、召集したみたいだから。」

「それは光栄(こうえい)ですね。評価(ひょうか)(あかし)と受け取りましょう。」


ノエルが目を細めると、クラリスは少しだけため息をついた。

「はぁ。……できれば、黄金階位も一人か二人、参加して欲しいわぁ。」

「ギルド長からの打診(だしん)はされているのでしょう?」


ノエルがたずねると、クラリスは頭を抱えてみせた。

「それがねえ……ほとんど全部、お断りの返事がきているらしいのよ。」

「それはまた……いえ、まあ、黄金階位は仕方ないかと。」


ノエルが苦笑しながらそう言うと、クラリスはだらしなく(つくえ)に突っ伏した。

(ひま)じゃないのはわかるけど、一人くらい受けてくれてもいいのに。」

「ちょっと、ちょっと、クラリスさん。隣に人がいるんですが。」


ノエルが(あわ)てるが、クラリスはそのままの体勢(たいせい)気怠(けだる)そうに言った。

「嫌ぁ……黄金階位が誰か引き受けてくれないと、私に回ってくるの。あぁもう、面倒くさいわぁ……」

「召集されて選択権(せんたくけん)のない人間の前でその発言(はつげん)はいかがなものかと。」


ノエルが(あき)気味(ぎみ)にそう言うと、クラリスは大きくため息をついた。

「はぁ……」


それから身体を起こして、(かぶり)を振って顔を上げた。

「まあ、仕方ないわ。あの子たちを前に行かせておいて、いい大人がみっともないことをいってられないわ。」

「おや?久しぶりにご一緒(いっしょ)できると期待(きたい)していいですか?」


ノエルが微笑すると、クラリスは肩をすくめた。

「期待しないでちょうだい。むしろ、そうならないことを願ってるんだから。」

久しぶりにノエル登場――

とはいえ、今回はクラリスの雑談相手です。


二人とも小鬼騒動に参戦しそうなことを言っていますが……

まあ、本編ではルイの近くでやらないことは幕間でしか扱いません(`・ω・´)

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