第28話 第二の要請
食事会とか、哨戒とか、地味なエピソードが続きました(ーー;)
これはもう、そろそろ何か大事件があってもいいのでは。
まあ、ある意味では、大事件に現在進行形で巻き込まれてますが(`・ω・´)
ルイたちがエテルナ冒険者ギルドに戻ると、待合場所に冒険者の人だかりができていた。
その様子を横目に、セルヴァはうなずき、ルイとウィルとアルトは首をかしげた。
「――とりあえず、報告を済ませようか。」
セルヴァがそう言って、受付に向かった。
ルイたち三人もそれに続いて、リックの机の前に並んだ。
「生きて帰ってきたようで、何よりだよ。」
リックの言葉に、セルヴァは肩をすくめた。
「まぁね。――はい、これは証明書。それから、小鬼討伐は一切なし。」
「わーお、端的過ぎる。」
セルヴァが差し出した証明書に目を通しつつ、リックは苦笑した。
すると、セルヴァはリックにたずねた。
「ところで、小鬼の討伐報告は、何件あったのかな?」
セルヴァの問いに、リックはこともなげに答えた。
「受付全体で、6件共有されてるよ。――まあ、受領件数全体の一割にも満たないけど。」
「場所に偏りはあるかい?」
続くセルヴァの問いに、リックは言った。
「分析はしていないよ。個人ならともかく魔物のこの規模の動きだから。6件程度で法則性を見つけようとしたら、かえって間違うぜ?」
「言い切るなぁ。」
苦笑したセルヴァに、リックは続けた。
「つけ加えれば、もう、そういう段階じゃないよ。」
「どういうことだい?」
セルヴァが首をかしげると、リックは頭を振った。
そして、報酬を四人分に分けて並べた。
小金貨1枚と大銀貨5枚が二組、小金貨1枚と大銀貨2枚が二組。
ルイたちは互いにうなずいた。
それから、ルイとウィルが小金貨1枚と大銀貨2枚を、アルトとセルヴァが小金貨1枚と大銀貨5枚をそれぞれ受け取った。
「――で、さっきの言葉、説明は期待していいのかな?」
セルヴァが話を蒸し返すと、リックは苦笑した。
「向こう――待合場所に貼りだしてる通りだよ。」
それから、リックは一息置いて、続けた。
「かいつまんで言うよ。エテルナ王国は小鬼の数を減らすため、イースの大森林に攻め込む。――その作戦に参加してくれる冒険者を募ってるってわけ。」
「参加の要件は?」
リックが説明すると、セルヴァがさらにたずねた。
「青銅階位以上なら誰でも。――連携を前提にした傭兵の仕事だからね。さすがに黒鉄階位には開放できない。」
「――なるほど、ついでにお見合いってわけだね。」
セルヴァが苦笑すると、リックは肩をすくめた。
「お見合いなら、もう少し融通がきく依頼で仕込むよ。――軍事作戦に関わるわけだから、連携に慣れた冒険者に志願してもらいたいよ。」
すると、二人の話を聞いていたルイが、口を挟んでたずねた。
「もしかして、エテルナ王国の軍に組み込まれるの?」
「いいえ、戦術単位でエテルナ冒険者ギルドが担当します。――つまり、裁量持ちの遊撃隊として位置づけられます。」
ルナークが横から口を挟むと、リックが補足した。
「戦術単位で所属を混ぜると、統制が取れないんだ。――どちらかといえば個人戦が前提の冒険者と、連携が前提の軍との違いもあるから。」
「そういうことです。どちらの立場で見ても、軍事作戦のために個人を取換可能な部品のように派遣することは、考えにくいですね。」
そう言って一息置くと、ルナークは続けた。
「ルイくん、今回はあえて推奨はしません。――軍隊との共同戦線です。自分の身を優先せよとはいえませんから。」
「そういうこと。場合によっては、死ぬまで戦えってことさえある。だから、よく考えて欲しいな。」
リックがそう言って肩をすくめた。
それから、思い出したかのようにルナークに顔を向けた。
「ねえ、ルナーク。目をつけてる白銀階位、居る?」
ルナークは苦笑で応えた。
「こればかりは志願者の数によるね。」
「確かに、志願者の人数、できる編成次第だね。」
リックが肩をすくめると、ルナークが淡々と言った。
「場合によっては、きみが総指揮を執るかもね。」
「はぁ……勘弁してくれよ……」
ため息をつくリックに、ルナークはニヤリと笑った。
「どちらにせよ、ぼくは支援のために出張るから。きみが総指揮を執るなら、参謀を務めてやるよ。」
「そいつは光栄だね。せいぜい、上司にいいところを見てもらおうじゃないか。」
そんな二人の様子を見ながら、ルイはウィルに言った。
「あの二人、やっぱり仲いいよね?」
「そうだよな。言い方はわかりにくいけど。」
すると、セルヴァが言った。
「――で、参加するのかな?僕は志願するつもりだけど。」
――セルヴァの問いに、ルイとウィルとアルトは沈黙した。
やがて、ルイが口を開いた。
「ボクは参加したいな。――ま、本音は点数稼ぎだけど。」
すると、ウィルが続いた。
「じゃあ、オレもルイを放っておけねーな。」
「ウィル君、ありがとう!」
ルイが笑うと、アルトが頭を振りながら言った。
「集団戦は苦手だけど、ルイやウィルを放っておけないよ。――キリル先生が骨を折ってくれた分もあるし。」
「――狂犬の皮を被った忠犬ですね。」
リックが苦笑交じりにそう言うと、アルトは口を尖らせた。
「ルナークの腰巾着のキミに言われたくないかな。」
「腰巾着なら光栄ですね。いつも這いつくばって靴を舐めてる気分ですから。」
そんなやりとりをしり目に、ルナークは瞑目して、それから言った。
「どちらにせよ、自己判断での逃亡すら難しい依頼です。だから、参加しなくても決して咎めません。期限の三日後までよく考えてくださいね。」
作劇的には、ここまでやっておいて「志願しない」は拍子抜けですが。
ルイの立ち位置って、少なくとも体制側での経験は多少あるので――
どちらに転んでも、不思議ではないのですよね。
それはそれとして、リックは本気で「重苦しいと死ぬ病気」かもしれません。
軽口と減らず口がすごい。
え?本当に、この子が総指揮して大丈夫……?(`・ω・´)
(改訂)
「腰巾着なら光栄ですね。いつも土下座して靴を舐めてる気分ですから。」
↓↓↓
「腰巾着なら光栄ですね。いつも這いつくばって靴を舐めてる気分ですから。」
こんな部分を修正しなくてもいいですが、「土下座」は違和感……(ーー;)




