第25話 5+2の夕食会
平和な場面が続きますが、たまにはいいかな、と(`・ω・´)
「――たまにはこういうのも悪くありませんね。」
ルナークが微笑すると、ルイは言った。
「ねえ、ルナーク君、この二人は誰なの?」
ルイが首をかしげた。
ルイとウィル、受付の三人に加えて、栗色の髪の真面目そうな青年と、緑色の髪の優男風の少年が、なぜか同席していた。
栗色の髪の青年は、申し訳なさそうに苦笑していた。
すると、クラリスが口を開いた。
「そう言えば、ルイ君はまだ知らなかったわね。」
一息置いて、クラリスが栗色の髪の青年に向かって言った。
「キリル先生?こちら、最近、エテルナ冒険者ギルドに登録したルイ君です。」
キリルの名前を聞いて、ルイは思い出したかのように言った。
「あ、薬草採取の時にお名前だけ伺っています。ギルドの薬師さんですね。ボクはルイと言います。はじめまして。」
「ああ。僕はキリル。ルイ君がいうように、エテルナ冒険者ギルドの薬師だ。」
栗色の髪の青年・キリルはうなずいて、それから続けた。
「確かに最近は、冒険者登録試験が休止されていたね。――だから、ルナーク君が冒険者登録にかこつけて薬草採取を課していたね。」
「はい。二度手間でひどい目に遭いました。」
ルイがジト目でルナークを見ると、キリルは笑った。
「あはは……すまないね。だけど、助かっているんだ。感謝しているよ。」
「あ、いえ……課題ですし……」
ルイは率直に感謝を伝えられて、毒気を抜かれたように継ぐ言葉を失った。
リックが口を挟んだ。
「もう一人、アルトさんを置き去りにしないようにね。――アルトさん、聞いての通りですが、彼がルイです。まあ、適当に気にかけてやってください。」
リックの紹介に、不満そうにしながらもルイは、緑色の髪の少年・アルトに挨拶をした。
「ルイです、はじめまして。これからよろしくお願いしますね、アルトさん。」
「うん。オレはアルト。これからよろしくね、ルイ。」
そして、最低限度の紹介が終わった後で、ルナークは言った。
「キリル先生?――この集まりの趣旨はウィルくんとルイくんの慰労です。用件があってのこととは思いますが、後半でお願いしますね。」
「――やはり、隠し事はできないね。」
キリルが肩をすくめると、ルナークはうなずいた。
「偶然を装うならば、もう少し上手に気配を消すことをお勧めします。――無下にするつもりはありませんが、まず、彼らを労わせてください。」
「わかった、こちらは割り込んでいる身だ。聞いてくれるだけでも感謝するよ。」
――そうして、五人に二人を加えた夕食会が始まった。
八人用の席に、七人。
最初に座った位置取りで食事が始まり、ルイとウィルに話題が集まる。
やがて、二人についての話題から、雑談に変わると、各々が席を替わり始める。
いつの間にか、ルイ、ルナーク、ウィル、アルトの四人で塊を作った。
結果として、リック、クラリス、キリルがもう一つの塊になった。
ルイが、首をかしげながら口を開いた。
「――え?この塊は、どういう集団なの?」
「実は、オレたち、同期なんだよ。」
ウィルの言葉に、ルイは目をパチパチとさせた。
「……え?同期?」
「ええ、同期ですよ。ウィルくんも、アルトさんも、約三年前に、ほぼ同じ時期に冒険者登録した仲です。」
ルナークが目を細めて言うと、ルイは首をかしげた。
「えっと、不躾だと思うけど聞いていい?ルナーク君とアルトさんの階位は?」
すると、ルナークは肩をすくめた。
「ええ、構いませんよ。ぼくは青銅の第一位です。なお、最初から青銅の第一位でそのまま受付になったので、ルイくんの参考にはならないかもしれません。」
「そ、そうなんだね……」
ルイが困ったように苦笑しながらアルトに目をやると、アルトは微笑した。
「オレも青銅の第一位。でも、ちゃんと黒鉄から昇格してきたから、助言もできるかもね。聞きたいことがあったら聞いてよ。」
「あー……ルイ。一つだけ言っとく。」
ウィルの言葉に、ルイは首をかしげた。
「なに?」
「――アルトさんの昇格の仕方は、まねすんな。死ぬ。普通は死ぬ。」
ウィルの言葉に、ルナークは苦笑した。
「ええ。確かに。――大怪我を負うほど向こう見ずに、強力な魔物の討伐依頼を遂行するものですから、実績だけは積みあがりますが……」
「ここ一年でついた渾名が、『傷だらけの狂犬』だからなぁ……」
ルイはその渾名を聞いて、アルトをジト目で見た。
「アルトさん、自分の身体は大事にした方がいいですよ……」
「大丈夫だよ、ルイ。オレ、キリル先生の役に立てるなら本望だから。」
アルトが照れくさそうに頬をかくと、ルイは目をパチパチさせた。
「え?――言っていることが繋がらないんですが?」
「キリル先生が開発してる新薬を試すためには、怪我人が必要だろ?」
当然そうに言い切ったアルトの言葉に、ルイはウィルの方を向いて言った。
「……え?ウィル君、何この人。ちょっと何いってるかわからない。」
「ルイはわからなくていい……っていうか、オレもわかりたくない。」
頭を振ったウィルとルイに、アルトは肩をすくめた。
「心外だなぁ……」
「ご心配なく。度が過ぎれば、受付で昏倒させて強制的に休ませていますから。」
ルナークがそう言うと、ルイとウィルはさらに頭を抱えた。
「いや、昏倒させるって……」
「これでも折衷案ですよ。人が動機であること自体は、一つの美しさですから。」
ルイはジト目で言った。
「いや、やり方が……」
「独善であろうが上等です。同期のよしみですから。」
ルナークは肩をすくめた。
さて、第5話から名前だけ出ていたキリル先生がついに登場。
つまり短編で出ていた、ドクター・座薬。
――でもまあ、裏方ですし。
なんか、それ以上に狂気を感じる新キャラが出てきましたし……(`・ω・´)




