第21話 過ぎた吹雪と、受付嬢
さて、これでレティとはひとまずお別れです。
何だったんでしょう、この人――正直、作者もそう思っています(`・ω・´)
でも、冒険者ギルドなんて、一期一会でもいいのかもしれません。
というか、そのつもりでテキトーに書いていきますから。
「――おかえりなさい。首尾のほどは?」
エテルナ冒険者ギルドの受付で、ルナークが微笑した。
「ええ、無事に魔石も採集できたし、魔物も討伐できたわ。」
レティはそう言って、小金貨を2枚、ルナークの前にそっと置いた。
それを見てルナークは首をかしげた。
「おや?冒険者を貸し出す約束でしたから、報酬は結構ですが?」
ルナークの言葉に、レティは肩をすくめた。
「心付けよ。――ウィル君とルイ君にも報酬が必要でしょう?」
「それはそうですが、それはこちらの問題ですから。」
ルナークが苦笑すると、レティは頭を振った。
「私を誰だと思っているの?表面的な約束を盾に、取引で相手に損をさせるほど行儀は悪くないわよ。」
「――わかりました。お心遣い、感謝いたします。」
ルナークはレティに頭を下げて、二枚の小金貨を引き取った。
それから、思い出したかのように、わざとらしくため息をついた。
「――はぁ。あの街も、レティさんのようであれば、出禁にすることなく済んだのですがね。」
ルナークがそう言うと、レティは首を傾けた。
「あらあら。冒険者ギルドから出禁だなんて。――ちなみに、アークス侯爵領かしら?」
「ええ、残念なことに。――少々、躾がなっていなかったのかもしれませんね。」
ルナークがそう言って苦笑すると、レティはニヤリと笑った。
「あら?躾は子供か愛玩動物に対してするものでしょ?――調教と言いなさい。」
「確かに。道を踏み外した大人には、調教がふさわしい。訂正しましょう。」
その様子を見ていたルイは、リックにボソッと言った。
「ねえ、リック君。――調教って、二人とも辛辣じゃない?」
「殺さずに改めさせるって意味だから、温情だよ。」
リックがそう言うと、ルイはこめかみを押さえた。
「いや……尊厳ってあるよね……一体、何したのさ……」
「依頼の完了証明を盾に、追加の依頼を無償でやらせてたんだってさ。」
リックが肩をすくめて言うと、ルイは急に真顔になった。
「それはお金と価値に対する冒瀆だね。処するべきだと思う。」
「うん、やっぱり君にあの街の依頼を受けるの、やめさせて正解だったよ。」
その一方で、反対側に立っていたウィルにクラリスが声をかけた。
「お疲れ様、ウィル君。どうだった?ルイ君との依頼は。」
「あー……ちょっとぎこちないけど、やりやすかったよ。」
その言葉に、クラリスは満足そうに何度もうなずいて、それから言った。
「これから、少し組んでみたら?一人だけで処理できる依頼は限られてるから。」
「あ、それいいかも!」
ウィルはルイの方を見ると、ルイがウィルの視線に気づいた。
「どうしたの?」
「これから、一緒に依頼受けようぜ!」
ウィルの言葉に、ルイも顔をほころばせる。
「え!いいの?うん、一緒にやろう!」
「やった!」
と、自分を挟んで盛り上がる二人をしり目に、レティは肩をすくめた。
「それじゃあ、ルナーク君?――その街、近いうちに“別の街”になると思うけど、その時は相手にしてやってちょうだい。」
「ええ。“別の街”であれば、取引を拒絶する理由もありませんからね。」
それからレティは、盛り上がるウィルとルイに、順に目をやった。
「ウィル君も、ルイ君も、お疲れ様。今後の活躍を祈るわ。」
そう言われて、ルイとウィルはレティの方を向いた。
「あっ、ご、ごめんなさい。……ありがとうございます。頑張ります。」
「ありがとう!レティさんも元気でな!」
レティはくすっと笑った。
「ええ。また、ご縁があれば頼りにさせてもらうわね。」
そう言って踵を返すと、レティは足早に入り口に向かい、出て行った。
少しの間、ルイとウィルはレティの後姿を見送った後、互いに顔を見合わせた。
「じゃあ、これからよろしくね、ウィル君。」
「おう、改めてよろしく!ルイ!」
その様子を見ながらルナークがうなずいていると、クラリスが言った。
「ルナーク君?二人のことは、しばらく私が担当していいかしら?」
「おや、珍しい。二人のこと、気に入りましたか?」
ルナークが首をかしげると、クラリスは肩をすくめた。
「まあね。――あとは、ルナーク君は手をかけ過ぎない方がいい、ってこと。」
「おや、どういうことでしょうか?」
ルナークが首をかしげると、クラリスはうなずいた。
「ルナーク君が世話を焼けば、確かに伸びるでしょうね、二人とも。」
クラリスは一息置いて、それから続けた。
「――でも、あまり効率重視だと、息切れするわよ。私みたいにね。」
「一般論として、クラリスさんの経歴を息切れしたとは言いませんがね。」
ルナークが頭を振ると、クラリスは言った。
「そうかもね。――とにかく、私が言いたいことは、ルナーク君やリック君だと、先を読み過ぎるから、もう少し手探りでやらせなさい、ってこと。」
「確かに、それはぼくらの悪い癖です。――わかりました。お任せしましょう。」
ルナークはうなずくと、ルイとウィルに言った。
「ウィルくん、ルイくん、聞いての通りです。しばらくの間、きみたちはクラリスさんを窓口にしてくださいね。――あと、こちらは報酬です。」
ルナークは、大銀貨を8枚二人の前に差し出した。
二人は、報酬の銀貨を受け取って、それからクラリスの方を向いた。
クラリスは、目を細めて言った。
「それじゃあ、しばらくの間、私が二人を担当するから、改めてよろしくね?」
今まで、ほぼ置物同然だったクラリスが喋りました(`・ω・´)
作者自身は、ルナークのようにある程度計算づくで育ててもらいたい派です。
とはいえ、それが当然になると、カオスな現実への耐性が下がるんです(ーー;)
そのため、今回のクラリスの発言は、作者自身にもグッサリ刺さってます。
――どちらにせよ、ここからは、ルイとウィルのバディに期待しましょう。




