第16話 人に化ける者
人狼――ファンタジーの魔物としては、位置づけが難しいです。
RPGでは強さの幅があり、人狼ゲームではいやらしい頭脳戦になりますし。
さて、ルイはどう戦うのでしょうか(`・ω・´)
ルイが訪れたのは、エテルナ冒険者ギルドから馬車で約半日かかる村だった。
夕方に出発し、ルイは馬車の中で一夜を過ごしてから、朝に到着した。
馬車から降りたルイは、村の様子を見渡した。
そして、独り言を言った。
「――さて、汝、人狼なりや?ってやつだね。」
そして、御者の男性に振り返って告げた。
「まず、村長さんに会ってきます。相手が相手なので、先に宿を確保しますね。」
それから、ルイは村の中央にある大きな家に向かった。
入り口の呼び鈴を4回鳴らすと、少し時間が経って、中から男性が姿を現した。
ルイの姿を見た男性は、少しだけ眉をひそめて、それから微笑した。
ルイは口元をつり上げて、自己紹介を始めた。
「はじめまして。エテルナ冒険者ギルドから派遣されたルイと申します。」
「ご苦労様です。私が村長のダンです。――中でお話ししましょう。」
村長のダンは、挨拶もそこそこにルイを招き入れ、ルイに背を向けた。
すると、即座にルイは槍に手をかけて繰り出し、ダンの胸を背後から貫いた。
「ぐ、がっ……!」
ダンは、その場に倒れてのたうち回った。
その様子を冷たい目で見下ろしながら、ルイは言った。
「――ギルドの依頼で指定されていた呼び鈴の回数は、5回だったんだよね。」
そして、ダンは人の姿を保てず、人狼の姿を露わにしてゆく。
ルイは躊躇なく、その頭を槍で貫いた。
頭を貫かれた人狼は、ぴくぴくと痙攣した後で、動かなくなった。
「訪問して早々に、1体をあぶり出せたのは運がよかったなぁ……」
そして、頭を振った。
「――だけど、もう少し早ければ……」
それから、ルイは人狼の死骸を引きずりながら家の中を見回った。
「――いやな臭いがするね。」
ルイはそう言って、納戸の方向に向かった。
そして、納戸に入ると、そこには村長のダン――本物の変わり果てた姿があった。
「死体の損傷の具合を見る限りだと、昨日か一昨日、か。――ごめんなさい。」
ルイは、黙禱を捧げた後で、踵を返した。
玄関に近づくと、ルイは歩きながら詠唱を始めた。
――重ねて纏え遍く光、形どる土、混沌への放縦――
――一つの標、鎖の戒め、逃れ得ぬ責め苦――
――潜め、囲め、搦め捕れ――
人狼の屍を引きずりながら外に出ると、一体の人狼がルイに飛び掛かった。
「――『戒めの鎖』!」
ルイに飛び掛かった人狼は、突如として中空に現れた鎖に巻き付かれた。
槍の柄を長く持って構えたルイは、槍を勢いよく振り下ろした。
人狼は、縦一文字に切り裂かれて、その場に崩れ落ちた。
やがて、村の人々が集まってきた。
ルイの足元にある、2体の人狼の死体に、村人たちはどよめく。
困っていたルイの目の前に、一人の男性が進み出た。
ルイは、首をかしげた。
「あなたは?――あ、ボクはエテルナ冒険者ギルドから派遣された冒険者のルイといいます。」
「ご苦労様です。村長の友人のユーリと言います。」
ルイは、ユーリと周りの村人を見回しながら、言った。
「村長さん――ダンさんは、こうなるかもしれないと予見していたのですね。」
ルイの言葉に、ユーリは肩を落とした。
「ええ……一体目を見抜いて処刑したのはダンでした。また、その時点でいくつかの取り決めを私とだけはしていたのです。」
「……遅くなってごめんなさい。」
ルイが頭を下げると、ユーリは何度も首を横に振った。
「――危険を冒して来てもらったのです。そんなことは……」
言葉が続かないユーリをしばらく見守った後で、ルイは言った。
「ということは、3体も居たのですね。」
「ええ。一体は見ての通りで、人に化けられない、少し弱めの個体でしたが。」
ユーリの言葉を受けて、ルイは苦笑した。
「――それでも、何の訓練もせず、正面から戦えば、犠牲が出ますよ。」
「ええ。――ダンは、見つけても手出しをするなと言っていました。」
ユーリがそう言うと、ルイはうなずいた。
「そうですね――本当に、いい村長さんだったんですね。」
「ええ。――ダンの代わりにこちらを。」
ルイは、ユーリから依頼の完了を証明する紙を受け取った。
すると、ルイは少し心配そうに言った。
「本当に、人狼は3体で終わりでしょうか?」
ルイの問いに、ユーリは少し困った表情で言った。
「どちらにせよ、ルイさんがいる限り潜伏するでしょう。――それに、依頼自体は二体討伐するまでのことになっているはずです。」
「それはそうなんですけどね。」
ルイが苦笑すると、ユーリは肩をすくめて言った。
「被害が収まらないようなら、また、別途依頼させていただきますよ。」
「わかりました。――ところで、今日は泊まらせてもらえませんか?」
ルイがそう言うと、ユーリは目を丸くしたが、すぐに苦笑した。
「なるほど、馬を休ませる必要がある、と。」
「ええ。――ボクは、無償の慈善活動をする人ではありませんので。」
ユーリはルイの首飾りに気づいた。
そして、苦笑した。
「なるほど。拝金教の方でしたか。」
すると、ルイは苦笑で返した。
「おや、鋭いですね。――もっとも、今は破門されている身ですが。」
そう返したルイに、ユーリはうなずいた。
「わかりました。――それでは、宿を手配しましょう。――と言っても、私の家に泊まっていただくことになりますが。」
人狼、まさかの出オチ。
ただ、今回のMVPは故人になりましたが、村長さんです(`・ω・´)
実質上、荒事の部分だけをルイが受け持った形です。
ちなみに作者は、人狼ゲームには弱いです(ーー;)
あのゲームは、印象操作によるところが大き過ぎて、苦手意識しかありません。




