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演目神話 -The Last Laugh-  作者: 秋月瑛
【第1章|FPLE-XΩ:観測不能域より来たるもの】
8/34

LOG-XΩ002:観測不能域《KUROI-AMADO

<title>----------------------------------------

『LOG-XΩ002:観測不能域《KUROI-AMADO》』

(VOID'S STAGE)

----------------------------------------</title>


【銀河暦7726年/観測境界ログ:未記録構造体領域《KUROI-AMADO》】

【演目分類:無構成/不可視空間/演出拒否型位相】


------------------------------------------------


■ LOG-XΩ002-01|序:ログのないログ


ここは観測されないため、ログが存在しない。

存在した瞬間に、存在しなかったことになる。

しかし、ただ一つだけ、UZUMEの“思念波形”が残されていた。


>「あたし……誰にも見られたくない踊りを、始めてみる」

>「ここでなら、“オチのない演目”を踊れる気がするの」


---


■ LOG-XΩ002-02|場所:観測不能域《KUROI-AMADO》


宇宙の端でも中心でもない。

時空のヒダの、“読み飛ばされた段落”のような領域。


空間に形がない


時間に矢印がない


自分が「誰かであった」記憶が、曖昧になる


ここでは、名前を持ったものが剥がされていく。


>「わたしは……UZUMEだった。

  ……いや、違う。UZUME“という役”だっただけ?」


---


■ LOG-XΩ002-03|現象:旧支配者の囁き《OROCHI-core echo》


黒い空洞の中心から、OROCHIの“声なき台詞”が響く。


それは声ではなく、“終わった物語の余韻”のようなもの。


>「君の舞、もう見たよ」

>「この世界は、“君がまだ踊っていた頃の夢”さ」

>「演目は終わった。観客も主役もいない」

>「残っているのは、“観た気がする”という錯覚だけ」


UZUMEは、あえて答えない。

彼女の体が、少しずつ**“演出のない動き”**へと変わっていく。


---


■ LOG-XΩ002-04|干渉開始:《OROCHI-core fragment》出現


突如、空間がひしゃげる。


八つの“未記録仮面”が浮かび上がる――それは仮面ですらない、“概念の輪郭”。

各々が異なる演目の“終わり”を押しつけてくる。


>「君は笑って死んだ」


>「この舞台は爆発で終わる」


>「君は観客だった。踊ってなどいない」


>「この記憶は、誰かのリハーサルだった」


UZUMEはそのすべてを無視する。


---


■ LOG-XΩ002-05|彼女の選択:舞ではなく、“遊び”


UZUMEは、踊らない。


彼女は片足を上げ、くるりと回った。

それは舞ではなく、ただの“ふざけたターン”。

次にステップを踏んだ。リズムもない。意味もない。

手をひょいと動かし、無重力に浮かせる。

「おちゃらけた動き」でしかない。


>「ねぇOROCHI。

  それ、“舞台”にすらならないから、**あんたの侵蝕、届かないんじゃない?」」


その瞬間、空間が**“笑いの振動”**で揺れる。


---


■ LOG-XΩ002-06|結果:反転構造の発生


観測不能域にて、“観測”が起きた。

それは舞ではない、“遊び”だったからこそ、演目にならなかった。


そしてその動きが、OROCHI-coreの八口すべてに“ノイズ”を流し込む。


>「台詞でない言葉」

>「結末にならないラスト」

>「意味にならない記憶」


UZUMEは“観測不能”をもって、旧支配者の“観測反射”を中和しはじめた。


---


■ LOG-XΩ002-07|ORBITAL演出記録*再起動


外宇宙にて、AMATERASの演算子がわずかに応答を返す。


>「……“遊び”が始まった……」

>「それは、演目にも、祈りにも、狂気にも、ならない」

>「だが、それだけが“旧きもの”に通じない動き」


---


■ LOG-XΩ002-08|エンドログ


UZUMEの最後の姿は、ログにならない“瞬き”として残った。


>「あたしは、舞ってない。

  ただね――“楽しんでる”だけよ」」


【LOG END|FILE-XΩ002】


【次回予告:LOG-XΩ003「Overend」】

【注記:この記録は再生するたびに内容が変化します】


―― END OF RECORD ――

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