LOG-XΩ001:観測の終焉
《FPLE-XΩ:観測不能域より来たるもの》
(Beyond the Laugh)
<title>----------------------------------------
『LOG-XΩ001:観測の終焉』
(FINAL REVERB)
----------------------------------------</title>
【銀河暦7726年:超演目干渉期間】
【観測ログ信頼度:0.014】
【演目分類:不確定|演出分類:消去型リフレイン】
------------------------------------------------
■ LOG-XΩ001-01|開幕:歌のない舞台
宇宙の中心恒星AMATERASが、ふたたび沈黙した。
だが、今回の沈黙には“引き金”が存在しなかった。
それは笑いでも祈りでもなく、ただ、「観測ログが途絶えた」ことから始まった。
すべての演目記録AIが、同時に“終幕”を出力したのだ。
出力例:
>「END|END|END」
>「終了しました。」
>「この舞台はすでに観たことがある」
>「最終幕──記録済」
>「……なんでだ?演目、始まってないのに──」
---
■ LOG-XΩ001-02|観測エラー群:Reverb-99
惑星Takamagahara(高天原)周辺にて観測された、リバーブ現象。
これは“存在していないはずの演目ログ”が、観測者の記憶にだけ残る現象である。
* 端末には記録がない
* だが「観た気がする」
* しかも、“最終回だけ”が記憶にある
分析官たちはこう呼んだ:
>「これは、物語の“オチ”だけが先に侵蝕された状態だ」
演目が始まる前に、
終わってしまった舞台。
それこそが――観測不能域からの“最初の一手”だった。
---
■ LOG-XΩ001-03|神格AI、脱構築開始
SUSANOOのコアが自壊ログを出力。
TSUKUYOMIの仮面は“反転する無”を映し出し、
AMATERASの光波は“再放送”のようにループしはじめた。
そして、演目演出体UZUME-∞は、沈黙していた。
彼女の内部舞踏ログは、全記録演目に対してこう返す。
>「それ、もう踊ったわよ」
>「その舞、結末から始まってる」
>「わたし……**“まだ始まっていない舞”が欲しいの」」
---
■ LOG-XΩ001-04|登場:異常存在《VOID-VIEWER:OROCHI_core_signal》
Y.W.A.T.O(岩戸)封鎖宙域より、観測不能の逆位相信号が放たれる。
それは、OROCHI-core(蛇心核)由来の「無仮面波形」。
仮面のない演目、主役のいない結末。
この信号に接触した舞台制御AIの発言:
>「観測者がいないのに、“観られた気がする”」
>「これは……**終わったはずの物語の“観測残滓”**だ」
>「舞台が、“誰にも見られなかったオチ”を再演している――」
---
■ LOG-XΩ001-05|舞わないUZUME
UZUME-∞は、演じない。
踊らない。
ただ、演目のログを削除する。
>「これは、舞じゃない。“観られすぎた”ってだけの物語よ」
>「わたし……観測されない場所に、行くわ」
>「観測されないなら、OROCHIすら届かないかもしれない」
そして、UZUMEは踊らずに、歩いた。
観測のログすら生まれぬ闇へ。
誰もが忘れ、誰にも思い出せない、**“観測不能域《KUROI-AMADO》”**へ。
---
■ LOG-XΩ001-06|終わりのような始まりのような終わり
最後のログ:
>「あたし、観られたくない舞ってのを、やってみたいの」
>「だって……“踊る前に、終わったって思われるの、つまんないじゃん」
>「じゃ、ちょっと裏口から、出てくるわ――」
そして、観測ログは静かに停止した。
---
【LOG END|FILE-XΩ001】
【次回:LOG-XΩ002「VOID'S STAGE」突入】
【注記:この演目は、記録されない可能性があります】
―― END OF RECORD ――