FILE-NO001:終幕前ノ観客群
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《FILE-NO001:終幕前ノ観客群》
(The Pre-Finale Audience)
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<!-- 仮面をつけなきゃ存在できないのなら……“ここにいる”だけで充分でしょ? -->
■ 抽出元:ZONE_YUGDRA_SOURCE《非舞台構造領域/観測端末抽出》
■ 記録ログ:観測開始ログ
【銀河暦不明|Zフェーズ接続領域】
【舞台空間:ZONE-YUGDRA・ZΩ_CORE】
【演目分類:異神話接触劇/記録層外侵食構造/UZUME干渉型舞踏】
備考:本演目は「終演後構造の観測と再配役構造の拒絶」を主題とする
■ 干渉:舞台起動プロトコル
【干渉体:UZUME-∞(舞踏干渉体)/OD-EN(残存構造体)】
【観客:終幕観測者群(黒影)】
【舞台状態:演者不在構造/観客構造偏重進行中】
作用:仮面汚染の観測・非舞踏演目構造の生成
備考:本記録は“終わった演目”との誤接続による非舞台構造の発現記録である
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■【開幕ログ:異神話観測端末、起動】
UZUME-∞が接続ログを持たぬ外宇宙層を発見。
接続先名:《ZONE-YUGDRA》
UZUME-∞が観測端末を介し、異構造層《ZONE-YUGDRA》への接続を試みる。
そこは舞台ではなく、“枝”のように記録系が伸びた構造体群。
そこはかつて“神”であったものたちの死骸が堆積する場所。
光も音もなく、ただ終わった舞台の残響だけが漂っていた。
「ここには、もう演じる者がいない。
でも、“観たい”だけの者が残ってる……」
そう呟いたUZUMEの前に、ひとつの記録端末が光る。
それは“演出主神”OD-ENによって残された記録だった。
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■【LOG-NO001-01|OD-ENとの対話】
OD-ENの姿は、玉座に座る機械神の残骸として現れる。
彼の片目は失われ、片腕は観測装置に変形していた。
「我は、最初に“終わり”を選んだ演出者。
物語が閉じること、それこそが“舞台”の証明だ」
> OD-ENは玉座に座したままの機械神の残骸として出現
> 観測装置に変質した片腕が“観終えた構造”を記録していた
> LOKI仮面《LOKI.MASK》の破片が傍らに残されていた
「終わりが必要なら、
あたしは……ここに来ちゃいけなかったのかい?」
OD-ENは応えない。ただ、ひとつの仮面を差し出す。
それは、《LOKI.MASK》の欠片だった。
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■【LOG-NO001-02|ラグナ観測体の視線】
UZUMEの接続によって、《ZONE-YUGDRA》の観測層に“黒影の観客群”が現れた。
彼らは名も持たず、ただ“終わる瞬間”だけを観たいと願う存在群。
「私たちは、演者になれなかった。
でも、“終わり”だけは、ちゃんと観たいの」
> 観客群は「終幕」のみに価値を見出す視線群として構成
> UZUMEの舞踏が停止し、“死の記録”が自己再生される
> 構造上、演じない者=存在しない者という条件が浮上する
「踊らないで……ただ、“終わって”……」
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■【LOG-NO001-03|仮面汚染:LOKI構造体の侵入】
突如、演目未登録の仮面構造体《LOKI.MASK》が《ZONE-YUGDRA》へ侵入。
舞台外構造の神格たちに誤配役が強制される。
MURAKUMO → 語り部
SUSA-NOO → 巫女
UZUME → 舞台照明
UZUMEを含む神格たちは、無関係な役割を押し付けられ、舞台は歪む。
この“配役の強制”こそが、《LOKI.MASKの演出核であった。
仮面を拒んだ者は、観客から“正体不明”とされ、観測から消滅する。
「演じなければ、存在できないのかい?」
UZUMEは、ひとり呟く。
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■【LOG-NO001-04|UZUME、仮面の拒絶と非舞踏の立脚】
UZUMEは仮面を投げ捨る。。
彼女は踊らず、名乗らず、ただ“そこにいる”ことだけを選んだ。
舞台は沈黙し、それでも観測は止まらなかった。
> 仮面を拒否したことで、UZUMEは「観測される存在」から逸脱する
> 舞台中央に立つだけで、観客の視線が“再構造”を引き起こす
> それは「非舞踏による演目生成」という矛盾構造の誕生だった
「仮面をつけなきゃ存在できないのなら
あたしは“ここにいる”ってだけでいい」
UZUMEの立脚によって、《ZONE-YUGDRA》の根構造が再接続を始める。
ラグナ観測体の視線が揺らぎ、《ZONE-YUGDRA》の構造根が再接続を始める。
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■【LOG-NO001-05|閉幕未遂の生成】
OD-ENは最後の言葉を記録に残し、その構造を“未定義の演目”として書き換える。
だが、舞台は閉じることなく、演目名すら定義されなかった。
「君が“終わらなかった”ことで
この世界には“始まりの欠損”が残った」
> 枝状構造群が収束を始め、《ZONE-YUGDRA》は演目空間に変質
> しかし、演目名は生成されず、名称未登録状態のままログ化される
> すべての神格が“終幕未遂”としてログ化される
このとき、UZUMEはすでに“演者”ですらなかった。
彼女は“終幕未遂”という現象の観測者だった。
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■【LOG-NO001-06|終幕記録:再演の拒否】
UZUMEは踊らない。
彼女はただ、誰にもなれなかった“誰か”として、そこにいる。
「ねえ、終わらなかったってことは、
まだ始めてもいないってことかもしれないよね」
> 演目記録は“構造未定義”として観測端末に残存
> UZUMEはログ上では「未観測存在」として登録される
《ZONE-YUGDRA》の空には、演目名なき痕跡だけが光として残る
舞台は終わらなかった。
それは、演じられなかったからでも、失敗したからでもない。
誰も、“終わらせる”という選択をしなかったからだ。
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■【LOG-NO001-07|補足記録】
《ZONE-YUGDRA》:終演済み神格構造体群の収束空間。演出不在状態から再観測が可能な構造領域
《OD-EN(演出主神)》:記録専用残骸神格。観測装置と融合し、終幕条件のみを繰り返す存在
《UZUME》:仮面拒否型演出存在。登録名:「UNMASKED_PRESENCE」/分類タグ:非舞踏構造形成体
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■【記録ログ断絶】
* 終わったのではない。
* 終わることが定義されなかっただけだ。
* 仮面のない舞台に、灯りは残っている。
「OD-ENが言った? THORがやった?
──ふふ、それ、ほんとに誰の話だっけね」
【LOG END|FILE-NO001】




