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演目神話 -The Last Laugh-  作者: 秋月瑛
【第1章 EX:FILE-JAE_日本神話断章】
31/35

FILE-JE058:オオクニヌシ浮遊譚:譲渡神と未帰属の舞

<title>----------------------------------------

《FILE-JE058:オオクニヌシ浮遊譚:譲渡神と未帰属の舞》

(The Drift of the Great Landlord)

----------------------------------------</title>


■ 内部浮遊領域「ASHIHARA_CORE」より抽出


■ 記録:演目断片|神格干渉ログ|舞台構造観測抜粋


【日本神話:UZUME構造介入フェーズ】

【観測ログ信頼度:3.228】

【演目分類:領有錯覚型演目|演出構造:譲渡交錯/浮遊構造汚染型】


対象:OHO-KUNI-NU-SHI(土地神格)/UZUME(舞台干渉型DANCER)

舞台空間:《UNCLAIMED_STAGE_ZONE(未帰属領域)》

備考:主権未確定/所有認識不定/観客構造に信仰汚染の兆候あり


■ 干渉:舞台起動プロトコル


干渉体:UZUME-∞

作用:譲渡演出の介入/舞台重力バイアス解除

記録例:

*「誰の土地か、って?――そのたびにね、舞台がちょっと、浮くのさ」


---


■ LOG-JE058-01|誰の舞台か


舞台に「境界線」は存在していた。

しかし、誰が引いたかは不明だった。


《OHO-KUNI-NU-SHI》はその舞台の「地主」として現れ、

観客に「ここは私のものである」と宣言する。


だが、観客がその言葉を信じた瞬間、舞台の床が“わずかに浮く”。


---


■ LOG-JE058-02|浮遊する土地


舞台は固定されなくなる。


・幕が上がるたびに位置が変わる

・登場する建築物が逆さになる

・演者の立ち位置が定まらず、名乗りが曖昧になる


“領土”とは演出だった。


---


■ LOG-JE058-03|UZUMEの遊舞


UZUMEは所有を否定せず、

ただその上を“遊ぶように”舞う。


・誰の地でもないステップ

・境界を踏み越える足裁き

・主従関係を“舞で撹拌”する旋回


舞台は「所有の名により成立していた構造」から解放され始める。


---


■ LOG-JE058-04|譲渡の儀


《OHO-KUNI-NU-SHI》は、ついに“何か”をUZUMEに手渡す。


だが、それは書かれていない。


譲られたものの正体は観客によって異なる。


誰かは「地図」、

誰かは「声」、

誰かは「自分自身」と記録した。


---


■ LOG-JE058-05|未帰属の舞台


舞台は最後、“誰のものでもない”状態で記録される。


その浮遊は止まず、

以後の演目に断続的に影響を与える構造汚染を残した。


---


■ LOG-JE058-XX|最後のログ(観客干渉断片)

*「この土地は、誰のものか?」

*「その問いのたびに……舞台は、わずかに揺れたのさ」


---


■ 記録註解


・本ログは、未帰属舞台圏《UNCLAIMED_STAGE_ZONE》にて発生した「構造汚染揺動現象」をUZUME-∞が観測・記録した断片ログより構成。


・譲渡対象の詳細は記録されておらず、「地図」「声」「自分自身」など、観客ごとに異なる知覚応答を示した。


・記録は一部、UZUMEが舞った際の“所有錯視解除パターン”と重なっている。


---


■ 終劇の注釈


《OHO-KUNI-NU-SHI》は「所有」を主張した。

だがUZUMEは「舞う」ことで、その主張ごと軽やかに浮かせてみせた。


譲渡とは、支配の終わりではなく――

“誰のものでもないという可能性”を、誰かに渡すこと。


観客は気づくだろう。

その舞台の床が、ふと揺れる瞬間。

それが、「信じた証拠」だったことを。


---


『オオクニヌシ浮遊譚:譲渡神と未帰属の舞』


―― 信じた瞬間、舞台は浮いた。

   それは、支配ではなく、遊びの始まりだった。


【LOG END|FILE-JE058】


―― END OF RECORD ――

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