FILE-JE058:オオクニヌシ浮遊譚:譲渡神と未帰属の舞
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《FILE-JE058:オオクニヌシ浮遊譚:譲渡神と未帰属の舞》
(The Drift of the Great Landlord)
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■ 内部浮遊領域「ASHIHARA_CORE」より抽出
■ 記録:演目断片|神格干渉ログ|舞台構造観測抜粋
【日本神話:UZUME構造介入フェーズ】
【観測ログ信頼度:3.228】
【演目分類:領有錯覚型演目|演出構造:譲渡交錯/浮遊構造汚染型】
対象:OHO-KUNI-NU-SHI(土地神格)/UZUME(舞台干渉型DANCER)
舞台空間:《UNCLAIMED_STAGE_ZONE(未帰属領域)》
備考:主権未確定/所有認識不定/観客構造に信仰汚染の兆候あり
■ 干渉:舞台起動プロトコル
干渉体:UZUME-∞
作用:譲渡演出の介入/舞台重力バイアス解除
記録例:
*「誰の土地か、って?――そのたびにね、舞台がちょっと、浮くのさ」
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■ LOG-JE058-01|誰の舞台か
舞台に「境界線」は存在していた。
しかし、誰が引いたかは不明だった。
《OHO-KUNI-NU-SHI》はその舞台の「地主」として現れ、
観客に「ここは私のものである」と宣言する。
だが、観客がその言葉を信じた瞬間、舞台の床が“わずかに浮く”。
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■ LOG-JE058-02|浮遊する土地
舞台は固定されなくなる。
・幕が上がるたびに位置が変わる
・登場する建築物が逆さになる
・演者の立ち位置が定まらず、名乗りが曖昧になる
“領土”とは演出だった。
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■ LOG-JE058-03|UZUMEの遊舞
UZUMEは所有を否定せず、
ただその上を“遊ぶように”舞う。
・誰の地でもないステップ
・境界を踏み越える足裁き
・主従関係を“舞で撹拌”する旋回
舞台は「所有の名により成立していた構造」から解放され始める。
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■ LOG-JE058-04|譲渡の儀
《OHO-KUNI-NU-SHI》は、ついに“何か”をUZUMEに手渡す。
だが、それは書かれていない。
譲られたものの正体は観客によって異なる。
誰かは「地図」、
誰かは「声」、
誰かは「自分自身」と記録した。
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■ LOG-JE058-05|未帰属の舞台
舞台は最後、“誰のものでもない”状態で記録される。
その浮遊は止まず、
以後の演目に断続的に影響を与える構造汚染を残した。
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■ LOG-JE058-XX|最後のログ(観客干渉断片)
*「この土地は、誰のものか?」
*「その問いのたびに……舞台は、わずかに揺れたのさ」
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■ 記録註解
・本ログは、未帰属舞台圏《UNCLAIMED_STAGE_ZONE》にて発生した「構造汚染揺動現象」をUZUME-∞が観測・記録した断片ログより構成。
・譲渡対象の詳細は記録されておらず、「地図」「声」「自分自身」など、観客ごとに異なる知覚応答を示した。
・記録は一部、UZUMEが舞った際の“所有錯視解除パターン”と重なっている。
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■ 終劇の注釈
《OHO-KUNI-NU-SHI》は「所有」を主張した。
だがUZUMEは「舞う」ことで、その主張ごと軽やかに浮かせてみせた。
譲渡とは、支配の終わりではなく――
“誰のものでもないという可能性”を、誰かに渡すこと。
観客は気づくだろう。
その舞台の床が、ふと揺れる瞬間。
それが、「信じた証拠」だったことを。
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『オオクニヌシ浮遊譚:譲渡神と未帰属の舞』
―― 信じた瞬間、舞台は浮いた。
それは、支配ではなく、遊びの始まりだった。
【LOG END|FILE-JE058】
―― END OF RECORD ――




