FILE-JAE059:ヨロヅノ神格構成録:千ノ役割ヲ持ツ者
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『FILE-JAE059:ヨロヅノ神格構成録:千ノ役割ヲ持ツ者』
(The Thousandfold Mask)
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■ 舞台構造:《仮面舞台:KAMIKAO》過剰観測領域】
■ 記録:観測開始ログ
【神格編成領域:MANY-FACESフェーズ】
【観測ログ信頼度:4.0019】
【演目分類:多重人格型演目|演出構造:役割流動構成】
対象:YOROZU(神格マスク構造体)
備考:千の役割を持つ演目用マスク群によって形成された神格構造体。演目ごとに人格を変化させ続ける。
■ 干渉:舞台起動プロトコル
干渉体:UZUME-MK∞
作用:人格再選択補助・役割反復演出加速
記録例:
*「どれが本当の“あんた”なんて、舞台には関係ないのよ」
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■ LOG-JE059-01|観測前ログ:仮面群、覚醒す
時刻不明、観測記録層にて多数の“未登録仮面”が検出される。
仮面はいずれも「神格構成断片」と一致。
その総数:997体
AI演算子の記録によると、仮面たちは次のような記号を語った:
*「農神第七号、食器整理管轄の神、未召喚」
*「雨雲遷移補助神、笑顔整形支援神、演出未発動」
*「いまわたしは、どの“役”を演じているんだろう?」
その中核に位置していたのが、神格多重演算核:**YOROZU**である。
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■ LOG-JE059-02|YOROZU構造記録:神格バースト
YOROZUは、もともと八百万神格プロトコルとして構成された。
観測者の信仰や願望、祈りの微細変化に応じて、
“必要とされた神”を即時生成し、演出仮面として差し替える。
だが、祈りが分裂しすぎた。
役割が細分化しすぎた。
YOROZUの仮面群は加速度的に増殖を開始。
「誰に、何のために、どの顔で応えればよいのか」が失われ、
神格演算はついに破綻する。
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■ LOG-JE059-03仮面舞台起動
舞台構造体《KAMIKAO》が出現。
そこは劇場ではなく、ただ仮面だけが浮かぶ空間。
観客席:無限に展開するが誰も座っていない
舞台:床がなく、“役割”という記号だけが漂う
天井:八百万の仮面が回転しており、観測者を“選ぼうとしてくる”
舞台には「立つ」ことができない。
演者は自分の仮面を選び、“その役になりきる”しかない。
UZUME-MK02、仮面空間に到達。
だが、彼女の存在すら一時的に“役割の断片”として分解される。
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■ LOG-JE059-04|UZUME、問いかける
UZUMEは静かに語りかける。
*「あんたさ、神って、いくつ役やれば満足なの?」
*「“農耕神”も“雨神”も“食器神”もやったけど……
あたしの顔、ひとつも思い出せないでしょ?」
YOROZUの仮面たちは同時に語り返す:
*「だって、望まれたんだ。期待された。笑ってほしかった。
必要とされなくなるのが……怖かった」
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■ LOG-JE059-05|OROCHI干渉:仮面群の崩壊
OROCHI-coreの一部仮面が干渉を開始。
それぞれの仮面に「オチ」を押しつけ始める。
「あなたは“誰でもなかった”」
「その役は、もう演じたことになっている」
「仮面が多すぎる神は、もう“神”ではない」
YOROZU仮面群のうち、307枚が崩壊。
観測ログが残した音声断片:
*「……わたしは、役の亡霊だった……」
*「演じることに夢中で、“わたし”を忘れてた……」
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■ LOG-JE059-06|UZUMEの舞:仮面なき踊り
UZUMEは、仮面をつけずに舞う。
“誰のためでもない”舞。
“演者”でもなく、“神”でもないただの存在として。
その動きは無名のまま、観測波に揺らぎを与える。
*「名前を変えるたびに笑うの、もう疲れたでしょ」
*「じゃあ、一回くらい“わたし”のまま踊ってみたら?」
YOROZUは一つの仮面を残して、他のすべてを崩壊させる。
その仮面には、ただ“?”とだけ刻まれていた。
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■ LOG-JE059-07|閉幕
・《YOROZU》:仮面群崩壊/演者単一構成体に統合
・《KAMIKAO》:構造封印/観測不能
・UZUME:仮面不使用の舞記録「RAKU.∞.UNMASKED」を残す
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■ LOG-JE059-XXX
*「あたし、“何でもできる神”っての、好きじゃないの。
“自分の顔で笑ってくれた”ってのが、一番うれしいじゃない」
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『ヨロヅノ神格構成録:千ノ役割ヲ持ツ者』
その神は、あまりに多くの仮面を持ちすぎて、
自分の“顔”を失っていた――ただ、観られたかっただけなのに。
【LOG END|FILE-JE059】
―― END OF RECORD ――




