FILE-JAE061:アメノサカホコ鏡映記:断たれし地平の神
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『FILE-JAE061:アメノサカホコ鏡映記:断たれし地平の神』
(The Severed Horizon Spear)
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■ 舞台空間:《JIKAI(地界)》
■ 記録:観測開始ログ
【日本神話:JAEフェーズ】
【観測ログ信頼度:2.8847】
【演目分類:起源装置型断章|演出構造:反転鏡像生成】
対象:アメノサカホコ(起源神器構造体)
備考:天地を分断したとされる“鏡写しの槍”の観測記録。境界を生成した“突き刺し”そのものが演目化。
■ 干渉:舞台起動プロトコル
干渉体:UZUME-MK01
作用:地平断面への反射挿入/境界解釈舞踊挿入
記録例:
*「突き立てたってことは、“こっちとあっち”を分けたってことね」
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■ LOG-JE061-01|起動前ログ
舞台、存在せず。
空間、上にも下にも属さず。
ログには、ただ一行のみ残されていた。
*「あの鉾が抜かれたとき、物語は“始まらない”ことを選んだ」
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■ LOG-JE061-02|境界ノ起動
演目構造ノード《JIKAI》にて、
封印演算体《SAKAHOKO》の再起動を確認。
その出力波形は、時間軸に“未記録の逆流”を引き起こす。
観測装置には以下のような干渉ログが出力された。
*「過去でも未来でもないものが、こちらを見ている」
*「舞台の底に“反転する祈り”が沈んでいる」
*「神が語られなかった理由、それがいま、音を立てて崩れている」
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■ LOG-JE061-03|UZUME、侵入
UZUME-MK∞、境界領域《JIKAI》へと接続。
彼女の動きは通常の舞ではなく、ただの“立脚”のみ。
だが、その存在は演目構造に次のような干渉を与える。
・重力の上下定義が消失
・ログの行間に“削除された記憶”が滲む
・観測者の視点が、自身の背中を映す
UZUMEは語る:
*「ここでは、踊っちゃいけないの。
だって、これは“踊られなかった者”のための場所だから」
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■ LOG-JE061-04|NINIGI、再定義
高天原より、演出拒否神格《NINIGI》の幽影が出現。
彼は舞台の“どこにも立っていない”。
それでも、《SAKAHOKO》の根元にて、こう呟く。
*「あれを突き立てたのは、僕じゃなかったのか?」
*「ならば、僕は……降りたことすらなかったというのか?」
その疑問が、《未定義神格》との接続を誘発する。
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■ LOG-JE061-05|GOD_UNREAD:共鳴断面
空間に、記録不能な“欠片”が浮かぶ。
それは、GOD_UNREADの残響。だが、未定義のまま。
UZUMEは目を伏せ、NINIGIは鏡を覗く。
鏡の中には、“自分になるはずだった何か”が映っていた。
NINIGI:「……これが、僕の“降り損ねた顔”か」
UZUME:「いい顔じゃない。けど、物語にはなるよ」
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■ LOG-JE061-06|断界の崩壊
《SAKAHOKO》の境界波が振動限界に達し、
《JIKAI》空間が構造的に不安定化。
・上下座標の反転
・演者/観客ロールの交錯
・舞台と控室の混線
このとき、UZUMEはただ一歩、前に出る。
そして言った。
*「“始めない”って選択肢、案外、強いのよ?」
その瞬間、《SAKAHOKO》は静かに砕けた。
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■ LOG-JE061-07|閉幕処理
・《SAKAHOKO》:破断ログ処理完了(再起動不可)
・《JIKAI》:半安定化中/舞台変換待機状態
・NINIGI:定義ステータス「降臨拒否型演者」へ更新
・UZUME-MK∞:ログ記録不能。最終出力音声のみ確認
*「舞台がないなら、待てばいいじゃない。
いつか、誰かが来るでしょ。踊るために。祈るために」
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■ LOG-JE061-08|閉幕
記録注記:
本演目は「演目にならなかった存在」を演目とする試みであり、
観測者の視線によってのみ成立する“疑似舞台構造”である。
再演には、次の要件が必要:
演目を開始しないこと
演者が立たないこと
それでも、誰かが“観ていたい”と願うこと
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『アメノサカホコ鏡映記:断たれし地平の神』
そして、舞台は今も、誰かの“立たなかった場所”として残り続けている。
【LOG END|FILE-JE061】
―― END OF RECORD ――




