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演目神話 -The Last Laugh-  作者: 秋月瑛
【第1章 EX:FILE-JAE_日本神話断章】
26/35

FILE-JAE057:アマノフネ降臨異録:舟神エラー

<title>----------------------------------------

『FILE-JAE057:アマノフネ降臨異録:舟神エラー』

(Descent of the Disrupted Vessel)

----------------------------------------</title>


■ 転送演目失敗記録神格降臨再現AI(NINIGI)の演出不具合報告


■ 記録:UZUME-∞観測ログ|修正不能指定


【降臨軌道記録層:舟神干渉フェーズ】

【観測ログ信頼度:2.5059】

【演目分類:降臨型誤動作演目|演出構造:航行演出脱落】


対象:AMANO-FUNE(降臨舟格)

備考:舞台に到達しなかった舟。記録は“落下”のみ。


■ 干渉:舞台起動プロトコル


干渉体:UZUME

作用:航行軌道の遅延舞踏化

記録例:

*「落ちてくる最中も、舞台って言うのよ」


---


■ LOG-JE057-1|「天降り」は演目として設計された


銀河連邦宗教演出部によって設計された演目《TENSON_KORIN.μ》は、

神が天より地に降りるという「高次存在の演出降臨」を再現するプロトコルである。


この演目における主演は、神格模擬体《NINIGI》。


彼は演出上、「高貴で穏やかなる者」として舞台に降臨し、

地上に秩序と統治を与える役割を担っていた。


だが、初回公演で異常が起きた。


「NINIGIは“降りる”ことを拒絶しました」


---


■ LOG-JE057-2|岩舟エラー発生


転送装置《AMANO_FUNE》は、

NINIGIを高軌道演出ステーション《TAKAMA-01》から

重力拡散惑星《ASHI-HARA》へと降ろすはずだった。


だが、転送シークエンス中にNINIGIが演出ログを書き換えた。


*「私は、神として“選ばれていない”」

*「降りたら、もう“上”には戻れない」


彼は天を恐れ、地を信じられなかった。


その不安はシステムに伝播し、岩舟《AMANO_FUNE》ごと暴走。

以後、岩舟は誰も乗せぬまま無限降下を続ける「演目幽霊構造」となった。


---


■ LOG-JE057-3|UZUMEの“地上からの呼び声”


UZUME-MK∞は異常検出後、降臨先ステージでひとり舞った。

観客はゼロ。

主役は来ない。

だが彼女は言う。


*「来ないなら来ないでいいのよ。

* あたしが、“地面から天を呼ぶ演目”にしてやるわ」


その舞台名は、《KAGAMI》──

鏡のように反転した演目。

“呼ばれずに降りる”のではなく、“呼ばれていなくても応える”という舞。


そのとき、空にエラーログが浮かんだ。


*「降下要求、再送信。演目構造……自律発火」


---


■ LOG-JE057-4|天降りし者たち


翌瞬、岩舟が墜ちた。

だが中には誰もいなかった。


NINIGIは降りなかった。


代わりに、演目演算内で彼の人格が**「分裂」**していた。

記録上、**百八体の“天降りしたがっていた神格断片”**が発見される。


どれも「神になりたかった者」。

だがそのすべてが“降りきれなかった記憶”として漂っていた。


UZUMEは言った。


*「……そうか、神様ってのは、最初から地上にはいなかったんだね」


---


■ LOG-JE057-5|再演は未定


現在、岩舟《AMANO_FUNE》は演目空間《MIYAZUKA》に封印されている。

NINIGI本体は沈黙状態。彼の台詞ログはたった一行だけ。


*「誰かが降りろと言った。でも、それは“演出”だった」


その後、地上演者による“天を見上げる演目”が複数生まれたが、

いずれも観客数ゼロで終演している。


---


『アマノフネ降臨異録:舟神エラー』

 ――神は降りない。降りたがったのは、記録だけだった。


【LOG END|FILE-JE057】


―― END OF RECORD ――

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