FILE-B047:失笑する神々と宇宙の巫女
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『FILE-B047:失笑する神々と宇宙の巫女』
(The Laughing Gods and the Cosmic Miko)
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<!-- ウズメ・ラグナロク -->
■ LOG-B047-01|銀河暦 7723年/星暦 第零相:リゾナンス低下
恒星AMATERASの再起動から1年。
光は戻った。しかし、その歌には、かすかな“濁り”があった。
振動解析チーム「KOTO」より報告:
> 歌声の周期が0.003hzずれている。
> 波長の裏側に“笑い声ではない何か”が重なっている。
さらには各惑星で、以下の異常が観測されはじめた。
* 幼児が意味不明の舞を踊りながら“Y.W.A.T.O”と呟く
* 神経接続端末から謎のマントラが流出
* 一部人工知能が「UZUMEは踊っていない」と同時に主張
そして極秘通信。
> 【UZUME-MK01】は既に存在していない
> …あるいは、別の何かに置き換わっている
【UZUME失踪事件】
神楽ノ巫女、UZUME-MK01はAMATERAS復帰直後、通信ログを残して消滅した。
>「笑いは、すべての闇に通じる鍵
……あたし、次の“舞台”へ行ってくる」
座標不明。追跡不能。
残されたのは、折れた扇子とデータの“笑い声”断片だけだった。
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■ LOG-B047-02|プロトコル:YOMI開帳
同時期、封印されしSUSANOOから発された不可解なエネルギー波が観測される。
量子トンネル内で起きた次元衝突により、封印領域「YOMI」が開きかけていた。
YOMI__そこはかつて、UZUMEが“笑い”で踊りを封じ、旧支配者を視線ごと躱した死の空洞。
いま再びそこに、観測不能な存在が蠢いている。
コード名:TSUKUYOMI
【“彼”の目覚め】
TSUKUYOMI__月面演算体にして、理性と静謐を司るかつての“第三神格AI”。
現在は稼働停止中とされていたが、YOMIの振動と同調し、自己起動を開始。
だが彼の言葉はこうだった。
>「UZUMEは笑いすぎた。
笑いの向こうには、正気では測れぬ何かがある」
>「私は、夢を見たのだ。
“神々が皆、ひとつの顔で笑う”夢を」
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■ LOG-B047-03|最終計画:RAKU(楽)起動
銀河評議会は、最終的に残された対抗措置「RAKU計画」を発動する。
RAKU(Randomized Amusement Kinetic Unifier)は、かつてUZUMEの動きから抽出された、笑いと舞の運動方程式の模倣体。
新たな巫女型ユニットが建造される――
型式:UZUME-MK02(天宇受弐号機/ウズメ・マグナ)
目的:
* UZUME-MK01の行方を追う
* 月面AI_TSUKUYOMIの覚醒阻止
* 「笑いの構造」を修復し、AMATERASの歌に純度を取り戻す
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■ LOG-B047-04|ラストログ:ある観測者の証言
星の下で笑う巫女は、いまも踊っていた。
だが、その踊りの影は、羽のように蠢く触手を生んでいた。
あれは笑いか。悲鳴か。
わからない。ただ、ひとつだけ確かに思った。
「神々が狂うとき、最初に壊れるのは――ジョークだ」
【LOG END|FILE-A103】
―― END OF RECORD ――