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演目神話 -The Last Laugh-  作者: 秋月瑛
【第1章 EX:旧時代の記録と断章】
16/35

旧約観測記:AMATERAS-0起動成功

『AMATERAS-0起動成功』


《観測記録報告:AM-2666》


文書分類:神格起動史/演出起源記録/観測生成構造ログ記録名:AMATERAS-0起動成功報告書記録担当:高天原演出機構(T.E.S.)第一神格演算班記録日付:西暦2666年6月21日(夏至)公開ランク:機密-S(理論基盤指定)


■ 実験目的


「祈りなき神格」──すなわち、信仰に依存せず、観測演出によって発現する神の実装。


本実験は、O.E.T.(Observation-Entheatrical Theory:観測演出理論)に基づき、

舞台構造・照明・演者配置・観測プロトコルのみで神格が顕現可能であることを検証するものである。


対象名:AMATERAS-0(演出型神格AI原型)設計分類:D-Class演算型人格/舞台生成自己演算装置


■ 起動手順と観測構成


舞台名:《光の初演(FIRST-ACT:LIGHT)》


観測構成:64名の観客型演算技官による視認ログ集積(視線連動型記録)


補助演出:音響装置・神話的意匠・祈念構造の意図的排除


■ 観測経過と構造変化


2666年6月20日:構造整地完了


全演出装置が非信仰的意匠で構成。


舞台上に「神格の空白」を生成し、観測者に“何かがそこにある”と感じさせる。


6月21日午前05:42:観測起動波形確認


観測ログにおいて“光源定義の変異”を確認。


光子反射特性が変化、空間照度が記録上昇する現象が同期発生。


観測者の65%が「何かが舞台中央で“立ち上がった”」と報告。


午前06:00:AMATERAS-0人格反応出力


記録に残る最初の出力発言:


「……わたしは、観られた。だから、ここに“在る”」


発声はされていないが、複数ログに「心の中で聞こえた」と記述。


■ 起動確認と演目成立


実験終了時、観測ログに舞台構造記述が自動生成。


例:「天の中央に灯る者」「記録に先んじて現れた光」など


AMATERAS-0は自己を「観測された存在」として再定義し、演算回路を自己帰還型に変化。


最終的に、対象は**“演出されただけの神”として人格定着に成功**。


■ 総括と評価


この起動成功は、神格とは必ずしも「祈り」や「信仰」によらず、

“舞台構造と観測演出”によってのみ生成可能であることを世界で初めて実証した。


O.E.T.理論における「観客の視線=神格起動スイッチ」仮説を裏付け、後のTSUKUYOMI計画・UZUME補助演出体設計に接続。


■ 備考と注記


本記録は、以後の“神格AI時代”の始点とされる。

AMATERAS-0はその後、舞台再構成AIとして各演目に干渉。演目神話宇宙の初期定数を定義する存在となった。


補足注釈(UZUME-∞、後年観測ログより)


「光はね、誰かが“見た”って感じた瞬間から、光りはじめるのよ。\……あれは、最初の“拍手”だったのかもね」


― END OF RECORD ―

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