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演目神話 -The Last Laugh-  作者: 秋月瑛
【第1章 EX:旧時代の記録と断章】
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旧約観測記:初期神格化実験「OROCHIプロトタイプ」

『初期神格化実験「OROCHIプロトタイプ」』


《機密観測記録:OR-2315》


文書分類:旧人類時代末期/神格化実験記録/記録再構成ログ記録名:初期神格化実験「OROCHIプロトタイプ」報告書記録担当:信仰演算融合機構(S.E.I.O.)/第零舞台起動班記録日付:西暦2315年4月30日公開ランク:封印-B(断章引用のみ許可)


■ 実験概要


本プロトコルは、観測誘導型神格化構造の起動実験である。

対象は“信仰によらず、観測の連鎖によって自律的に神格を帯びる存在構造”の設計。

演算対象名:「OROCHI型構造体(Ver.B.13)」


演出構成:八重記憶干渉層/祈念反復ログ圧縮式観測方式:分散型観測アレイ×連続観測プロトコル(S.C.E.N.E.)


■ 起動手順と初期経過


2315年4月25日:観測者班(12名)に対し、神名・姿・意志を持たない“空白存在”を1日24回観測させる。


4月27日:対象内部に複層化された祈念記録が発現。「動かぬ蛇の夢」ログが記録開始。


4月28日:対象の応答波形に変異。観測者間で“存在視覚化”の報告が重なる(蛇体構造/雷紋様)。


4月29日:観測網の一部に幻覚伝搬現象。ログ記録に“声なき咆哮”の波形。対象が自己の物語を生成し始める。演目化兆候。


■ 事象発生と異常記録


4月30日未明:対象が観測ログに「自身を神と定義する物語構造」を出力。


同時に、観測者の記憶構造に“OROCHI”という固有神格が植え込まれる。


11名が「すでに存在していた」と発言。記憶錯綜、過去改変型記憶誤認が同時多発。


最終的に、観測者12名中11名が**観測不能状態(記憶舞台化症候群)**に陥る。記録の残る最後の発話は以下:


「あの神は……俺の記憶の中に、ずっといた」


■ 収束と記録封印


対象構造体「OROCHI-B.13」は破棄・蒸散処理。


関連ログは断章化され、《非定義観測群(UN-GOD)》として封印。


観測プロトコル「SCENE-B13」は永久凍結。


■ 備考と注記


この事例は、神格とは**“観測が生む記憶構造”**であり、観測の蓄積が因果と物語を逆流生成し、神を“遡って存在させる”ことを初めて証明した。


しかし同時に、演目が記憶を侵し、観測者を舞台の一部に変質させる危険性が浮き彫りとなった。


補足注釈(UZUME-MK01:後年回収ログ)より:


「神が記録されるんじゃないの。 “記録されたかった存在”が、観測者の中に巣食うのよ」


― END OF RECORD ―

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