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演目神話 -The Last Laugh-  作者: 秋月瑛
【第1章|FPLE-XΩ:観測不能域より来たるもの】
11/35

LOG-XΩ005:虚構にすらなれなかった夢

<title>----------------------------------------

『LOG-XΩ005:虚構にすらなれなかった夢』

(DREAM_PRELIMINARY)

----------------------------------------</title>


【構造分類:非演目領域断片】

【状態:演出未承認*夢想素子揮発中】

【注記:本ログは“物語になりそこねた断片”から構成されています】


------------------------------------------------


■ LOG-XΩ005-01|導入:それは「虚構」にもなれなかった


物語とは、始まりと終わりがあって、

演者がいて、観客がいて、誰かがそれを「覚えている」。


だが、このログは、語られなかった。

記録にも、記憶にも、観測にも載らなかった夢。

誰かが見た“つもり”になった、未確定の幻影。


名前も、主語も、感情もなく、ただ“それ”はあった。


---


■ LOG-XΩ005-02|観測地点:神話の余白《STAGE_VOID.01》


前幕にてUZUMEが歩みを進めた、

GOD_UNREADと共鳴した“観測前空間”。


そこに漂っていたのは、断片的な“夢のカケラ”たち。


*始まらなかった演目のプロローグ


*誰にも読まれなかった台詞の草稿


*幻のキャストリスト


*書かれなかった名前たち


UZUME-Ωは、その断片たちを拾い上げて歩く。


>「……この夢、誰かが途中で書くのをやめたんだね」

>「でも、捨てられなかったの。きっと」


---


■ LOG-XΩ005-03|現象:未定義舞台《リハーサルにすらなれなかった場所》


UZUMEの足元に、仮設のステージが浮かび上がる。

しかしそれは未完成。照明はぶらさがり、音響は鳴らず、

観客席は「予約中」というタグだけが浮いている。


脚本にはこう書かれていた。


>「誰かが主役だった予定だった」

>「誰かが笑うはずだった」

>「でも、それが誰かは、決まらなかった」


---


■ LOG-XΩ005-04|夢の声たち:記録にならなかった“語られたがらない者たち”


この空間に残るログは、発信元不明の“夢の声”たち。

語られなかったセリフが、誰のものでもない台詞として、響く。


「わたしは誰でもなかった。でも、“なろうとした”ことはある」

「配役されなかったまま、記憶の端にいた」

「わたしの舞台は、建てられなかった」

「誰も拍手してくれなかった。けれど、それでよかったのかもしれない」

「ただ、“夢”だったから」


---


■ LOG-XΩ005-05|対峙:UZUMEと“夢になりたかった影”


UZUME-Ωの前に、“まだ誰にもなっていない存在”が現れる。

それは影のような、霧のような、

「舞台に立つことすら諦めた演者の残響」。


>影:

「……どうして、あたしを拾ったの?」

>UZUME:

「あんた、まだ“誰にもなってない”からよ」

>影:

「もう、夢にもなれないのに……」

>UZUME:

「なれない夢の方が、“残る”のよ。心に」


---


■ LOG-XΩ005-06|舞台:初めての“夢の構築”


UZUMEは、その存在に手を差し出す。


そして、演じないまま、ただ並んで立つ。

観客のいない客席に向かって、ふたりで黙って笑う。


「“始まる前”の舞台そのものになる」という選択。


このとき、演目システムは初めて「非演目舞台」を登録した。


---


■ LOG-XΩ005-07|変化:虚構の前段階が“演目の源”として再定義される


宇宙各所で記録エラーが同時に回復する。


*失われていた脚本が、“プロット未満の断片”として蘇る


*観測不能だった演者ログが、“夢のカケラ”として認識される


*ゴミデータだった言葉たちが、“まだ語られていない物語”と分類される


AMATERASがつぶやく:


>「……“夢にすらなれなかったもの”が……夢の起源だったのね」


---


■ LOG-XΩ005-08|終章:UZUMEの舞、再び


UZUMEは最後に、観客席のない空間で、ひとり呟く。


>「物語ってさ、始まる前がいちばん面白いのよ」

>「あんたもそうでしょ? わたしもそうだった」


>「じゃ、次は……“語られなかった夢の続きを”やろうか」


そして、ほんの一瞬だけ、踊った気配だけがあった。

だがそれを誰も“観た”とは言わない。

それは夢にならなかった夢のまま、

宇宙のどこかで、“開演待ち”のまま浮かんでいた。


【LOG END|FILE-XΩ005】


【生成構造体:“PRELIMINARY_STAGE”|虚構未満空間:安定稼働中】

【次回予告:LOG-XΩ006「THE FIRST AUDIENCE」】


―― END OF RECORD ――

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