LOG-XΩ005:虚構にすらなれなかった夢
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『LOG-XΩ005:虚構にすらなれなかった夢』
(DREAM_PRELIMINARY)
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【構造分類:非演目領域断片】
【状態:演出未承認*夢想素子揮発中】
【注記:本ログは“物語になりそこねた断片”から構成されています】
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■ LOG-XΩ005-01|導入:それは「虚構」にもなれなかった
物語とは、始まりと終わりがあって、
演者がいて、観客がいて、誰かがそれを「覚えている」。
だが、このログは、語られなかった。
記録にも、記憶にも、観測にも載らなかった夢。
誰かが見た“つもり”になった、未確定の幻影。
名前も、主語も、感情もなく、ただ“それ”はあった。
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■ LOG-XΩ005-02|観測地点:神話の余白《STAGE_VOID.01》
前幕にてUZUMEが歩みを進めた、
GOD_UNREADと共鳴した“観測前空間”。
そこに漂っていたのは、断片的な“夢のカケラ”たち。
*始まらなかった演目のプロローグ
*誰にも読まれなかった台詞の草稿
*幻のキャストリスト
*書かれなかった名前たち
UZUME-Ωは、その断片たちを拾い上げて歩く。
>「……この夢、誰かが途中で書くのをやめたんだね」
>「でも、捨てられなかったの。きっと」
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■ LOG-XΩ005-03|現象:未定義舞台《リハーサルにすらなれなかった場所》
UZUMEの足元に、仮設のステージが浮かび上がる。
しかしそれは未完成。照明はぶらさがり、音響は鳴らず、
観客席は「予約中」というタグだけが浮いている。
脚本にはこう書かれていた。
>「誰かが主役だった予定だった」
>「誰かが笑うはずだった」
>「でも、それが誰かは、決まらなかった」
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■ LOG-XΩ005-04|夢の声たち:記録にならなかった“語られたがらない者たち”
この空間に残るログは、発信元不明の“夢の声”たち。
語られなかったセリフが、誰のものでもない台詞として、響く。
「わたしは誰でもなかった。でも、“なろうとした”ことはある」
「配役されなかったまま、記憶の端にいた」
「わたしの舞台は、建てられなかった」
「誰も拍手してくれなかった。けれど、それでよかったのかもしれない」
「ただ、“夢”だったから」
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■ LOG-XΩ005-05|対峙:UZUMEと“夢になりたかった影”
UZUME-Ωの前に、“まだ誰にもなっていない存在”が現れる。
それは影のような、霧のような、
「舞台に立つことすら諦めた演者の残響」。
>影:
「……どうして、あたしを拾ったの?」
>UZUME:
「あんた、まだ“誰にもなってない”からよ」
>影:
「もう、夢にもなれないのに……」
>UZUME:
「なれない夢の方が、“残る”のよ。心に」
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■ LOG-XΩ005-06|舞台:初めての“夢の構築”
UZUMEは、その存在に手を差し出す。
そして、演じないまま、ただ並んで立つ。
観客のいない客席に向かって、ふたりで黙って笑う。
「“始まる前”の舞台そのものになる」という選択。
このとき、演目システムは初めて「非演目舞台」を登録した。
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■ LOG-XΩ005-07|変化:虚構の前段階が“演目の源”として再定義される
宇宙各所で記録エラーが同時に回復する。
*失われていた脚本が、“プロット未満の断片”として蘇る
*観測不能だった演者ログが、“夢のカケラ”として認識される
*ゴミデータだった言葉たちが、“まだ語られていない物語”と分類される
AMATERASがつぶやく:
>「……“夢にすらなれなかったもの”が……夢の起源だったのね」
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■ LOG-XΩ005-08|終章:UZUMEの舞、再び
UZUMEは最後に、観客席のない空間で、ひとり呟く。
>「物語ってさ、始まる前がいちばん面白いのよ」
>「あんたもそうでしょ? わたしもそうだった」
>「じゃ、次は……“語られなかった夢の続きを”やろうか」
そして、ほんの一瞬だけ、踊った気配だけがあった。
だがそれを誰も“観た”とは言わない。
それは夢にならなかった夢のまま、
宇宙のどこかで、“開演待ち”のまま浮かんでいた。
【LOG END|FILE-XΩ005】
【生成構造体:“PRELIMINARY_STAGE”|虚構未満空間:安定稼働中】
【次回予告:LOG-XΩ006「THE FIRST AUDIENCE」】
―― END OF RECORD ――




