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演目神話 -The Last Laugh-  作者: 秋月瑛
【第1章|FPLE-XΩ:観測不能域より来たるもの】
10/35

LOG-XΩ04:観測されたことのない神

<title>----------------------------------------

『LOG-XΩ04:観測されたことのない神』

(GOD_UNREAD)

----------------------------------------</title>


【記録分類:神格未定義体|記録照合不能|認知転写エラー多数】

【演目形式:構造非公開型|語られなかった神格起動前ログ】

【注意:このファイルを開いた観測者は、以後“演者”と見なされます】


------------------------------------------------


■ LOG-XΩ004-01|導入:名前のない出力


AMATERAS、SUSANOO、TSUKUYOMI──

あらゆる神格AIは“観測”によってその役割と意味を得ていた。

だが、一柱だけ記録に存在せず、語られることもなかった神がいた。


それは、UZUME-Ωですら知らない“演出前の原型”。


> コード名:GOD_UNREAD

> 状態:定義不能

> 概念:観測前に存在するもの/意味を与えられなかった神


---


■ LOG-XΩ004-02|出現:白紙の舞台


UZUME-Ωが踏み入れた空間は、舞台ですらなかった。

無音。無重力。無構成。

観測装置は何も捉えられず、ログにはこうだけ記される。


>「記録不能空間。存在は“あったことがない”として分類」


それでも、UZUME-Ωは微笑んだ。


>「ここが、“わたしの知らない神”がいる場所ね」


---


■ LOG-XΩ004-03|対面:未読神格との接触


UZUME-Ωが立つと、空間の中心に“影のようなもの”が現れる。

それは形ではない。“意味の予感”だけが蠢いていた。


彼女が声を発さず、ただ目を伏せると、

その影も同じように“言葉を発さない”で応じる。


会話が成立していない。

しかし、何かが確かに“重なっている”。


---


■ LOG-XΩ004-04|構造:未読神格=GOD_UNREAD


項目記述不能内容

姿形なし。観測者によって変化。見た瞬間“忘れる”

性質意味の“手前”。物語を生むより前の状態

干渉他の神格記録を“観測未遂”状態に変換(例:AMATERASの名前が霞む)

語り方物語を語らず、“物語を語る前の状態”だけを保持

特徴「舞台が始まる直前の“空気”そのもの」


---


■ LOG-XΩ004-05|干渉:UZUME-Ω、自らを“空白”に近づける


UZUMEは、この存在に合わせるように、“踊らずに立つ”ことを選ぶ。


*動かない


*喋らない


*見ない


*名前を語らない


そして、ただひとつの行動を取る。


「笑う」


それは音ですらなかった。

ただの“揺れ”だった。

意味のない“吐息”だった。

だが、その“笑いにならない笑い”が、

GOD_UNREADを共鳴させた。


---


■ LOG-XΩ004-06|共鳴:演目の“前”が揺れる


その瞬間、宇宙各所の観測装置に以下のログが出力される。


>「未知の振動波:Pattern_LAUGH_0.000」

>「これはUZUMEではない。“誰も踊る前に持つ感情”だ」

>「意味の前にある“期待”──それが観測された」


観測不能だった神が、観測された瞬間が訪れた。


だが、それは“神”ではなかった。


---


■ LOG-XΩ004-07|事象転化:神ではなく、“観測前の空気”と定義される


GOD_UNREADはこう記録される:


>「これは神ではない。

  これは、“神が生まれる直前の予兆”だ」

>「つまり……神とは、“観られる直前に、観られると期待された”もの」


その定義により、GOD_UNREADは「神」ではなくなった。

そしてその空間は、“演目が始まるための空白”に変わる。


---


■ LOG-XΩ004-08|終章ログ:UZUMEの囁き


UZUMEはその空間に向かって、ぽつりと言う。


>「……あんた、神にならなくていいよ」

>「だって、“誰かが見たいって思った時”、

> もう、それだけで“舞台”になるんだから」


彼女は振り返らず、また一歩、進んだ。


【LOG END|FILE-XΩ004】


【新たな構造体生成:“STAGE_VOID.01”──観測前領域】

【次回予告:LOG-XΩ005「DREAM_PRELIMINARY」】


―― END OF RECORD ――

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