かつての自分
中学校に20年ぶりに投稿する俺。男女問わずよくしてくれるので親ガチャ顔面ブーストの威力を体感していたのだが。そこに見たくもない光景が現れる。
翌日登校すると「おはよう」
「あっ、翔くん、おはよー」
昨日俺に加藤が元気よく挨拶してくれた。
「加藤、なんかテンション高いな」
「だって、憧れの先輩と付き合えるかもしれないから。」
「そういえば、お前が好きな先輩って誰なんだ」
「うちの学校の三年生で、サッカー上手ですごくイケメンで優しい人だよ」
「へー、そんな人いるんだ」
「そう、だから、うちの学年でも噂になってるよ」
「その人の名前は」
「田中勇太さん」
その名前を聞いた瞬間俺は愕然とした。なんと俺の幼馴染の名前だったのだ。
「そうか、あいつはイケメンでサッカーも上手いし、性格もいいもんな」
「そう、だから、私も好きになったの」
加藤はサッカー部の上級生で女子からの人気も高い。最近の小学生の女の子は、ませてるな。俺が小学生の時は付き合ってる子いたかなあ。あまり聞かなかった気がする。
クラスでも半分の女の子は彼氏がいるし、よくデートしている。俺も試しにデートしてみるのもいいかもしれない。
「お前、ホントクズだな。」
俺はビクッとして声の方を向いた。
「デブだし、根暗だしうぜえんだよ。」
そこには不良のいじめっ子に囲まれた。いじめられっ子がいた。
それを見て自分の姿を思い出さずにはいられなかった。
「いじめってダサいね」
「あっああ」
加藤も何もできない、これは酷いことだろうか、いや俺は知っている。これが世界なのだ。
誰かが生贄になることで自分は安心でいられる。仮に彼を助けたところで問題は解決するだろうか。
いやしないだろう。彼自身が強くならなければいけない。
格闘技をするでもコミュ力を上げるでも
いじめられっ子は大人になってもいじめられっ子のままであることが多い。
昔の自分を見ているようで気が重い。だが、わざわざ助けてクラスでのカーストを下げようとは思わない。
何のメリットもないからだ。だけど……あの時の自分を見ているようでいたたまれない。
無視しようと思っても胸がギッっと締め付けられる。せめて…少しだけの手助けでも……。
俺はクラスルームの後いじめられっ子の原田に近づいた。
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