トラウマ
親ガチャに恵まれた俺だが、いまだに過去に追われている。かつての虐待、毒親、いじめの記憶がよみがえってくる。だが負けはしないと心に強く決意する
俺は早めに眠りについた。
「この出来損ないが。」
俺の親が怒鳴りつけてくる。また別の声が聞こえる。
「90点?残り10点はどうしたの?」
母親だ。もうやめてくれ。そんなの聞きたくないっ……。
「お前は勉強しか能がないんだから」
最後は中学のクラスメイトだ。
「このぼっちが死ねよ。」
俺は悪夢で目が覚めた。最悪な夢を見たな。もうあんな親も糞みたいなクラスメイトもいないっていうのに。
どうして、こんな夢を見るのだろう。背中にはびっしょりと汗をかいていた。
翌日俺は母親と近所のキックボクシングジムを見学に行った。
「こんにちはー」
元気よく挨拶をした母親は早速体験を申し込むようだ。
「あら、可愛い坊ちゃんですね」
インストラクターのお姉さんが話しかけてきた。
「この子、今度キックボクシングを始めるんです」
「そうなんだ、頑張ってね」
高校生くらいのお姉さんが笑顔を向けてくれる。シャツを肩までたくし上げ、キックボクシングの用具をタオルで消毒している。スタイル抜群ですごく美人だ。チー牛の俺だったら話しかけるのも出来なかったろう。中学生のイケメンの俺にお姉さんのガードもゆるくなる。
こういうチャンスもコミュ力を上げるにはいいかもしれん。
「はい」
「じゃあまずは準備体操からだね」
そう言うとお姉さんはマットを用意してくれた。
「はい、押してあげるから、前にきて」
俺は言われた通り前に行き腰に手を当ててもらう。
「よいっしょ」
ぐいっと前に押され体が伸びた。
「痛ててて」
「ごめんなさい、強かった?」
「大丈夫です」
「はい、終わり。柔軟は大事だよ」
「わかりました」
「まずは、パンチからしようか」
今思ったのだがこの綺麗な女の子はコーチなのか??
「先生、格闘技経験は?」
「私は中学のときボクシングやってたの。今も時々練習してるわ」
なに、この美女ボクサーは、そんな経歴があったのか。これは期待できそうだ。
「グローブつけてみようか。」
俺は初めてつける黒い革製のグローブを手にはめてみた。結構重い。
「おお、かっこいいな」
「うん似合ってる。かっこいいよ」
なんか、この美人コーチ褒めるのも上手いな。これはやる気が出て捗りそうだ。
「よし、次はキックだ」
「はい」
キックミットにローキックを入れる。ドゴッという音がして足に衝撃が走った。
「うわっ」
「すごい音したけど、大丈夫?」
「はい」
「もっと強く打っていいからね」
俺は言われるがままにキックを繰り出した。
「せいっ」
「はい、オッケー」
「次はサンドバッグを打ってみようか」
「はい」
俺はサンドバッグの前に立つ。
「いい、私が合図したら打つんだよ」
「はい」
「ワン、ツー」
ドンッ
「もう一回」
「はいっ」
「ワンツー」
ドンッドンッドンッ「はい、おしまい」
「えっもうですか」
「まだ、始めたばかりだし今日はこれくらいにしとこう」
「ありがとうございます」
「また、来週も来るよね」
「はい、お願いします」
俺は家に帰って考えた。いじめられないため、身を守るためキックボクシングをに身に着けることは大事だ。寝技に関しても何処かで習おうと思っている。
あんな美人なトレーナーなんて幸運だ。しかも体は子供なので気軽に警戒させずに話しかけられる。
「格闘技は毎週2回程度行けば十分だろう。」
あまり習い事や塾に能力を振りすぎてもコミュ能力の伸びに影響を及ぼすから友達との時間も大事にしていこう。
まずはサッカー部で仲間を中心に交友関係を広げていこう。
明日は学校だ。俺はまだ自分のすでに持っている交友関係を把握していない。まずはそこからだな。
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