君と僕の温度差
―プロローグ―
僕は君の事をずっと許さない・・・・
だって、あんなに愛し合ったのに・・・・
君は『もう、いらない』と僕の元を去って行ったから。
僕がこんなに愛しているのに・・・
君の事許せないぐらい、僕は君の事を愛している。
―1章― 苛立ち
「えぇ!! 今週も会えないの???」
僕は電話越しに苛立ちを覚えた。
『だって、しょうがないじゃない。仕事なんだし』
君はいつもそうだよ。
仕事、仕事、仕事って会う時間すら作ってくれない。
僕がこんなに君を必要としているのに、君は僕の気持ちなんて考えたりした事ないんだろうな。
僕だってサービス業で君の予定に合わせる事が出来ない時だっていっぱいある。
最初はこんな僕でもいいって言ってくれたのは君だったのに。
最近、君との時間を作ろうとすると 仕事で忙しいとか会いたくないとか僕との時間を優先するより、
僕以外の時間を優先している気がする。
「次、いつ会えるの???」
僕は君に問う。
君は、
『今週はロケが3本入っているし、知り合いの子の撮りも入っているから・・・』
と言い出す。
「は?? って事は全然 会う日無いって事??」
愛している君なのに 我侭言い放題でムカついてくる。
僕の事愛してないのかな??
僕は君不足で死んでしまいそうなのに・・・。
君は僕不足だと言いながらも 僕を補充する時間すら作らないじゃないか!
君の考えが判らない・・・。
僕と居る時間より大事なものってなんだろう?
生活をして行くのに収入は大事だと思う。
でも、結婚したら 君には家庭に入って欲しいし、
僕が君を養っていきたい。
実際、現状だと 僕の方が収入が低いのが気に食わないけど。
『もう、仕事戻らないといけないから切るね。スタジオだから電波無くなるから帰ったらメールするから』
君はさっさと仕事に戻りたいようで、忙しいオーラを醸し出す。
そして、いつも、いつも言うのに実行されない口だけの約束。
僕は君からの連絡をいつも待っているのに、朝になりこっちからメール
すると、だいぶ時間が経ったあとに 取って付けた様な言い方で返事が
返ってくる。
いつもそうだ!
君は僕の事なんて どうでもいいって思っているのかもしれない。
僕には君しか居ないのに・・・・。
仕事をしていても、君に会いたくて堪らない。
君を抱きしめたくて、触れたくて・・・・
でも、触れる事が出来ない毎日が寂しい。
いっそのこと、“結婚”という名の鎖で捕らえてしまおうか?
それとも、君を僕の部屋から一歩も出さないように仕向けようか?
一緒に居れば、僕の気持ちは穏やかだから。
僕は君だけが心の潤いだ。
僕の気持ち 判っているのに何で・・・?
僕の心を弄んでいるの・・・?
僕の事 大切だし、愛していると言ってくれていたのに・・・。
いつの間にか君は僕の部屋にも来なくなったね。
毎日、毎日 帰宅するのが遅いって言いながらも 僕以外の友達と遊んで居る事を知っているんだよ?
そんな時間があったら 僕と愛し合う事を何故しないんだよ?
僕は君を全力で愛したいのに君は僕との愛し合う時間が要らないの??
君と愛し合う事が出来なくて 人を愛す事すら忘れてしまいそうだよ。
そして、今日も君に電話をする。
『・・・なに??』
凄く機嫌の悪そうな感じの君。
「どうしたの???」
僕が聞くと君は、
『今、ピークなんだけど、大量の着信 何?? 急用?』
君のイラつきが言葉の棘となって僕に刺さる。
「急用じゃないけど・・・。
メールしても返事無いから大丈夫かな?って思って」
僕が答えると、君は電話口を抑えて、
『「ごめん! 一旦休憩貰っていい?」』
と 近くに居るスタッフに声をかけたのが聞こえた。
それから、僕に対して
『別に貴方の所有物でも無いのにアレコレ詮索されたくないんだけど。
聞こえた通り、今 私仕事中で忙しいのは貴方も理解しているよね?
なんで貴方は自分の事ばかりなの??
私の仕事、邪魔している事に気が付かないの???』
そう、言うと 君は大きなため息を吐いて
僕の答えを待たずに
『もう、貴方の事愛していないし。もう、いらない』
それだけ言うと 電話を切ってしまった。
再度かけ直すと、電源が切られているようで 機械音が空しく響く。
僕は体中の血液が逆流しているような感覚に襲われた!!
許さない。
許せない。
離さない。
離れたくない。
僕は暗闇をゆっくり、ゆっくりと歩き出した。
目的は・・・・。
普段の僕とは違う感じがした。
何をしても 感覚がなく、痛みすら 悲しみすら感じない。
僕は目指す目的の場所がある。
僕は君の事を愛し過ぎて、狂っていたのかもしれない。
でも、君がいけないんだよ。
僕の事を愛しているのに、僕に冷たい態度を取るんだから。
僕が優しいからね・・・ 君に何を言われても許せるけど。
気持ちに嘘を付くような事は言って欲しくないな。
だから、僕はあそこを目指す。
大事な約束を守る為に・・・・・・・・
やっと、あそこに着いた。
そう、君の家だ。
話がしたくて 君が帰って来るのを待った。
君は仕事が意外に早く上がったようで 少し酔ったようで、
ふらつきながら帰って来た。
僕は君に会えた事が嬉しくて一瞬だけさっきの言葉は嘘だったんだと思った。
でも、現実はそうではなく、君は僕の顔を見るなり 青ざめ 怯えた顔をした。
僕はその怯えた顔を見た瞬間、さっきの電話の内容が嘘では無いことを確信した。
君の口を手で塞ぎ、力任せに部屋に押し込む。
怯え、大粒の泪を流す君に僕は・・・・・・・
ポケットに入れていたナイフを翳し、君に一気に刺した。
一度刺したらなんとも言えない快感が増え、何度も何度も君を刺した。
肉を抉る感覚が堪らない・・・・
そして、苦痛に表情を歪ませたまま 君は息途絶えた。
横たわる君の服を脱がせ、君を愛す。
そして 君が冷たくなっていく温度を感じながら、君の中に入って絶頂を味わった。
今 ここで僕の全てを君に捧げようと思う。
これからもずっと一緒だよ・・・。
愛しているから 絶対に離れない。
愛しているから 絶対に許さない。
愛しているから 絶対に渡さない。
愛しているから・・・・。
僕はそう呟くと ナイフを首に当て、ぐっと力を込めた。
君の部屋は真っ赤に染まり、僕は幸せな微笑を浮かべ君の上に倒れた。
僕たちは冷たくなった状態で発見され、新聞やテレビで面白おかしく記事にされた。
僕はただ、君を愛していただけなのに、こんなに騒がれるって僕たち世界中に祝福されているんだね。
僕たちは幸せ者だね。
ずっと離さないよ。
これからもずっと・・・・。
【痴情のもつれ (元)恋人を虐殺!!】
昨日、残虐的な事件が起こりました。
立山 千尋(28歳)さんが自宅で当時付き合っていた男性
藤森 真人(29歳)容疑者に鋭利な刃物で数箇所刺され、
亡くなっていたのを隣の住人が発見した。
犯人は被害者に覆いかぶさるように亡くなっていて死亡時間などから考えると、藤森容疑者は立山被害者を鋭利な刃物で殺害してから被害者に性的暴行をして、自分の命も絶ったようです・・・・
だって、君がいけないんだよ。
僕の事 好きな癖に振るから。
僕が君の事 愛しているから・・・
これらも一緒に居れるようにしてあげたんだよ。
これからはずっと一緒だからね。
千尋・・・。
僕は一生君の事を愛し続ける事を誓います。
一気に書き上げた短編です。
とある話から広がった話でとても書いててドキドキしました。
人の愛情も歪んでしまったら 違う方向にいってしまうって事ですね。




