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【暗殺者の女 part11】

「『あなた』『あなた』『あなた』」

「……………………」


突然の襲撃に怪物は何が起こったのか理解出来ず術者に呼びかけ続ける。憐れにも感じるところだろたうが生憎暗殺者である私に慈悲など無い。


【射殺】。

目標の警戒範囲外からの無慈悲な長距離狙撃。

スキル【夜霧の射手】の恩恵を受け、雪の中でも精密な射撃が可能になる。

防御姿勢を取る事さえ出来ない不意打ち。矢は深々と男の胸を貫いていた。一撃必殺。最初で最後の攻撃。


(ほう。 まだ顕現し続けるとはな)


余程大量の魂を貪り食ったのか術者不在の中怪物が停止する気配はない。急所を外したのか。まあいい、致命傷を与えた事に変わりはない。

多少の知性を持ち合わせているのか怪物は次弾を避けるため男を引きずりながら部屋を出ようとする。だが……


バゴォォォォォォォン!!!!!


【爆殺】。

未だ狼狽えている目標に一切時間を与えない追撃。

スキル【破壊工作】の恩恵を受け、予め数多の致命的な罠を屋敷に仕掛けておいた。

二本目の矢が散らした火花が隣部屋の爆薬に引火し目標のいる部屋の区間を巻き込んだ大爆発を起こす。


燃える炎の中女性のシルエットが浮かび上がり怪物が術者を抱き抱えて飛び出す。豪炎に巻き込まれながらも男を庇ったのか。話には聞いていたがなんて耐久力だ。


「『こういうのは』『苦手なのだけど』」


怪物が疾走する。なんとか回避行動をとり安全地帯まで移動しようという算段だろう。炎の灯りが届かない暗闇を目指して屋敷の廊下を駆ける。

だが暗闇は暗殺者にとっては狩場でしかない。

私は素早く屋内に移動し怪物を追う。


ガシャァァァン!!!


【圧殺】。

逃走する目標に巨大なシャンデリアが激突する。

スキル【重量落下】の恩恵を受け、通常の何倍もの質量を持った燭台が男諸共怪物を押し潰す。オークすら潰し殺す絶対的な質量攻撃。


「『あらあら』『勿体ないわ』」


恐ろしい事に未だ怪物は健在。それどころか軽口を叩く余裕さえ見せ付ける。

やはり怪物への攻撃は効果が薄いらしい。全く効いている様子がない。それに先程から違和感がある。あれだけの攻撃を受けて男に傷一つ付いていないのだ。まるで見えない防壁に守られているかのよう。

しかしそんな中でも私は冷静に次の行動に移る。

怪物が殺せなければ術者に狙いを絞り仕留めるまで。それに時の女神は私に味方している。


「うぐっ…………!」

「『あなた』『大丈夫』『どこか痛いの』?」


【毒殺】。

目標の傷口から体内に神経毒が侵食し身体を蝕む。

スキル【毒蛇の牙】の恩恵を受け、致死性のあるものを含めた数多の毒物の精製が可能になる。

術者である男の躰は徐々に毒に侵されていき、いずれ事切れるだろう。そうなれば私の勝ちだ。


見えない敵からの変幻自在の攻撃。それこそが暗殺者の真骨頂。正体不明の暗殺者の殺意が絶え間なく怪物を襲い続ける。


【刺殺】。

目標の死角から数多の短刀が煌めき襲い掛かる。

スキル【気配消失】の恩恵を受け、対象は高速で暗闇を移動する私の姿を捉える事が出来ない。

怪物は負傷した男を守りながら無秩序に襲い来る刃に対応する事を強いられる。


【呪殺】。

同時に目標を取り囲み闇色の棘が迫り来る。

スキル【呪い火】の恩恵を受け、不可視の魔力武器を任意の位置に出現させる。予備動作なしの立体攻撃。


放たれる短刀と棘の弾幕攻撃。その全てが怪物を捉え、男を守る何かにほんの一瞬隙間が出来る。

私はその機会を待っていたかのように一切の防御を捨て、怪物の眼前に躍り出た。

握る短刀は絶対なる死をもたらす教団の秘宝。

【死の君主】。当代の暗殺者ただ一人のみが振るう事を許される正真正銘の魔剣。



「─────────!!!!」



【暗殺】。

目標を仕留める回避不能な超至近距離からの一撃。

スキル【影の祝福】の恩恵を受け、これまでの全ての攻撃により蓄積された隠密ボーナスが加算されドラゴンすら屠る威力を実現させる。際限なく増幅されたそれははまさしく必殺となる。


すべてを賭けた一撃が振り下ろされる。

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