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ファフニールの息吹  作者: 伊吹 ヒロシ
第一章 ドラゴンの留学生
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1.いにしえの大戦にて

 世界には大きく分けて三つの世界がある。

 神界・魔界・人間界である。

 神界とは神が統べる世界である。

 魔界とは魔王が統べる世界である。

 そして、人間界は地球上で進化した生物の中で、もっとも勢力を増大させた人間たちが統べる世界である。

 しかし、人間界は他の世界とは異なることがあった。

 絶えず戦争を起こし、統治者が変わること。

 自らを絶対とはせず、他の世界の神、稀に悪魔を信仰することである。

 その信仰対象も永続的ではなく、呆れる程脆弱な種族であった。

 但し、脆弱であるが故にであろうか、もっとも進化し、数を増やし、文明・文化を発展させたのも人間であったのだ。


 嘗て、その人間界を巡り、神の軍と魔王の軍による戦争があった。

 世界はそれぞれが独立しているが、神界と魔界は直接行き来することが出来ず、人間界を経由しなければならなかったのである。

 常に対立していた両勢力にとって、治めて起きたい世界であったことは言うまでもない。

 神と魔王の軍の戦争は熾烈を極め、お互いが出方を覗う膠着状態が続いた。

 そしてそんな折、不意にどこから現れたのか。

 第三の勢力によって人間界は奪われたのである。

 第三の勢力の彼らは自由気ままに、それぞれが気に入った場所で生活を始めた。

 その行動や嗜好は様々な違いを見せる。

 彼らは互いに干渉することはほとんどなく、個々に活動範囲を作っていた。

 神と魔王は人間界の争奪は容易であると高を括っていたが……。

 彼等はあまりに強かった。

 そのため神は勢力を集中させ、単独で活動する彼らを各個に退け。

 次第に自由を奪われつつある事を知った彼等は激怒した。

 これまで同胞にもほとんど関心を持たなかった彼等であったが。

 その中からひと際身体が大きく強大な力を持ったモノが中心となり、単独で活動をする彼等を纏め上げた。

 それがティフォンである。

 そして、決戦があった。

 彼等の纏め役となったティフォンが、神の軍の盟主を倒したのである。

 神の軍は戦意を喪失させて、神界に撤退した。

 魔王軍も人間界を断念し、魔界に篭ったのである。

 そして、彼等は自分たちを脅かすモノたちを撃退したのであった。

 彼等の名前は『ドラゴン』と呼ばれている――


 ――いにしえの大戦後。

 ティフォンは人間界を神々や魔王たちに侵略されないよう、守護することを生業とする様になった。

 そして、自分の縄張りを守ることだけを考えて生きてきたが――。

 そんな生活が数千年続き、次第に考えに変化が生じる。

 観察対象の人間の進化、成長する様子を見ている内に、愛着を持つ様になった。

 人間たちは脆弱でありつつも懸命であり、脆弱であるが故に文明・文化を築いて発展させたのである。

 いつしかティフォンは自分も人間たちと生活し、人間たちを育ててみたいと思う様になったのだ。

 それでも流石に種族の違いを理解しており、自分が人間の子供を作り育てることは考えなかった。

 そこでティフォンが考えたのは、学校の先生になるということである。

 これは人間との間に子を持つことより、他のドラゴンたちを驚かせた。

 だが、ティフォンは気にも掛けない。

 何故なら、ドラゴンだからである。

 ティフォンは魔法で自分の姿を人間に変えると、これまで眺めていた人間界の知識を活かし、人間の世界の中で地位を確立させ、学校を創った。

 その名は……『私立昇竜学園』である。

 都内の郊外に造られた高校は、生徒に昇る竜の様に力強く育って欲しいという願いからつけられた。

 ティフォンによって創られた高校は膨大な魔力にも支えられ、文武両道の有名高校になり、留学生もやってくる様になる。

 そしてティフォンは学校の理事長兼校長として、熱い教育者となり活躍していた――。

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